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論文を書く前の下準備から校正まで~後編~

論文を書く前の下準備から校正まで~後編~

前編では英文論文を書く際の下準備のポイント、論文で使用する英語表現、そしてイントロダクションとMethodsの書き方に関して説明しました。後編では前編のまとめの後、研究内容の結果(Results)とDiscussionの書き方を述べます。また論文には欠かせないAbstractの書く際の留意点とタイトルのつけ方も併せて説明します。

前編の振り返り

まずは前編を簡潔に振り返ってみましょう。論文を書き始める前の下準備では、「論文への興味と貢献」を考慮したテーマ決めと、それを元にした参考文献の見つけ方と読書の仕方を説明しました。読む工程からすでに論文作成は始まっているので、書くことを意識して文献を読んでいきます。また英文の頻出表現リストの作成も論文校正においては欠かせません。英文の論文作成において、Fool-proof Englishの表現技術は必須です。論文校正では冗長かつ曖昧な表現は徹底的に排除し、読み手の立場になって書き進めなければいけません。読み手が誤解してしまうような論文は書き手の表現不足です。広義の意味のある英単語は可能な限り避けましょう。そして最後の論文の構成に関しては、イントロダクションとMethodsの書き方について記述しました。イントロダクションは読み手への論文の地図のようなものです。研究の背景、動機、目的、そして論文の構成について明記し、キーワードを各パラグラフに入れ込んで論文の主旨を確実に伝えます。Methodsのパートでは、研究方法、研究が行われたセッティングと曝露、そして研究参加者について正確に記述します。Methodsの再現性を最重要視し、アウトカムの定義と測定法を明記して、統計解析方法を完璧に記述します。情報を正確に明記することで、より信頼性のある論文へと仕上がります。

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Resultsの書き方

Resultsは研究の結果について書きます。ここに書き手の個人的な判断や意見および主張は必要ありません。既成事実を客観的に淡々と書きます。書く手順としては、Methodsの順に沿って、実験・観察結果を簡潔に読み手が分かりやすく理解できるように記述します。冗長、曖昧な表現の一切を排除しなければいけません。しかし、冗長な英文を避けたとしても、やはり文章だけだと重く、読み手は研究結果を想像するのが大変です。より簡潔にResultsを読み手に伝えるためにはTableとFigureを入れることが欠かせません。self-explanatory(一目瞭然)なTable と Figureの作成を心がけましょう。研究結果を分析した内容を正確に視覚化するということがResultsのパートにおいて重要な点です。そして、Resultsの記述には定型表現を用いてfool-proof Englishに徹します。複雑な言い回しは一切必要なく要点だけを端的に述べます。定型表現などを下調べしリストアップしておくことで、時間をかけずに研究結果について書くことができます。論文校正では、第三者の目から見ても研究結果が一目瞭然か、曖昧さは一切ないかをしっかり見直します。

Discussionの書き方

Resultsを書いたらそのままDiscussionに移ります。Discussionでは、Resultsに基づいて議論することが必須です。全体を通じて論理一貫性を強く意識しなければいけません。ここで曖昧なことを書くと研究内容もその結果も意味をなしません。MethodsとResultsで記述されていない内容をここに組み込むことも絶対してはいけません。蛇足は禁物です。そして「言えない内容は言わない」ということが重要です。さもなければ一気に弱い論文になってしまいます。研究結果の観点から改善点などを述べることは問題ありません。ただ確証のないことは何も書かないということを忘れないでください。さらにDiscussionで重要なのは研究のnoveltyを強調することです。Noveltyを強調しなければ過去の研究や先行文献との差異がないと言うことです。自分の研究の発見、結果、そしてそれによる貢献をDiscussionのパートで明記しましょう。Discussion全体を通して徹底するのが冗長、曖昧、蛇足の一切を排除し、Limitationの記載を省いてはならないということです。Discussionの後はConclusionですので、全トピックをConclusionに向かって一直線につなげていきます。一貫性はDiscussionでは必須です。

Abstractの書き方

Abstractとはつまり論文全体の要約です。論文を書き終えたらAbstractの作成に入ります。Abstractを書く際は完全、正確、明快を追求し、肝となる統計分析結果を厳選して示さなければいけません。つまり少なすぎても多すぎてもよくありません。研究結果は後々Resultsのパートで詳しく書きますので、Abstractでは読み手が読んだだけで大まかな論文と研究の内容および簡潔な結果がわかるように作成します。可能な限り、相対リスクだけでなく絶対リスクも示し、AbstractのConclusionに論文のすべてを凝縮します。論文の主旨、目的、研究内容を冗長な表現を一切省いた英文で述べ、論文の構成も簡潔に記述します。すべて書き終わり論文校正する際は、Abstractの内容と論文の内容に一切の相違がないことを確認します。

Titleの書き方

Titleは読み手が読んだだけで論文のテーマが理解できるものでなくてはいけません。しかし、すべての情報を数文字しか与えられていないTitleに入れることは不可能です。Titleには一語たりとも無駄なワードを含めてはなりませんが、必要十分な情報を含むことは必要です。簡潔にキーワードを含めます。日本語の論文にも共通して言えますが、Titleは体言止めが基本です。例えば「Coffee effects on blood pressure」だと文章になっています。これを「The Effect of Coffee on Blood Pressure」や「Caffeine’s Effect on Blood Pressure」のように書き換えます。書き換えられたタイトルは文章になっていません。これが体言止めの例です。Titleを決める際はブレインストーミングをして可能な限りのキーワードを出し、何度も書き直してみると、自分の論文を正確に表したTitleは作成できるはずです。しかし、自己主張の強い表現を避けて、慎重な記述を心がけるようにしましょう。

論文の下準備から校正までの工程を前編、後編に分けて説明しました。論文校正では一貫して、冗長性を排除します。論文の内容が読み手にすんなりと入っていくよう簡潔な表現を心がけます。誤解を避けるために曖昧な表現も避けなければいけません。常にFool-proof English の表現を意識します。特に研究内容と結果に関しては徹底しなければいけません。既成事実を客観的に簡潔に書くことが必要です。Discussionでは論理一貫性を強く意識し、Conclusionへと一直線につなげていきます。最後にAbstractとイントロダクションが論文の内容と完全一致し、尚且つ無駄な情報が含まれていないことを論文校正で確認していきます。一貫性がなく冗長な論文は避けましょう。

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