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2021 3月

投稿規定に従うために

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研究成果がまとまり、いざ論文を書こう!となったときに、投稿予定のジャーナルが指定する書式にしっかりと整えて行く作業が必要になります。今回は論文を書き始める前に確認すべきポイントについて概説したいと思います。

1.投稿規定はすべて読む

これはもう当然のことなのですが、投稿→リジェクト→投稿→リジェクト…のサイクルを繰り返してくるとうんざりしてくるものです。しかし、残念ながらジャーナルごとに見事なほどに投稿規定が異なりますので、すべて整え直さなければならないのが現実です。

その現実を踏まえ、みるべきポイントをいくつかご紹介します。

1.字数制限

本文、アブストラクトそれぞれに字数制限を確認する必要があります。アブストラクトは200~300 wordsのことが多いですがそれも本文に含まれるのか、またreference listや acknowledgementも本文にカウントすべきなのか、投稿規定を確認する必要があります。不明ならばエディトリアルに問い合わせをするのもよいでしょう。

2.タイトルページ

タイトル(±ショートタイトル)、著者名、所属、Corresponding authorはほとんどの雑誌で必要とされていますが、キーワード、字数なども入れる必要がある場合があります。

3.アブストラクトは構造化書式か否か

Rationale & Objective, Study Design, Setting & Participants, Exposures/Predictors, Outcomes, Analytical Approach, Results, Limitations, Conclusionsと分けて記載する場合もありますし、小見出しはつけないように指定してくる場合もありますので、従いましょう。

4.リファレンスの書き方

件数、本文中での書き方(文末の右肩に載せる、カギ括弧[]にする、など)、著者の数、First name, Family nameの順番や略し方、年・号・ページの並べ方など、書式が異なりますのでこれも確認が必要です。

最近では多くの研究者が活用している文献管理ソフトを用いて管理する方法もあります。特定のジャーナルの書式に合わせて整えてくれるので時間節約になります。(もちろん登録されていない場合もありますし、最新の投稿規定に従っていない場合もありますので、必ず最終的に目視確認をすることをオススメします。)

5.図表の描き方

manuscriptとは別にアップロードすることを求められたりしますので、そういったことを確認します。色つきにすると費用がどのくらいかかるか、色はRGB、CMKYなど指定がある場合があるので、確認しましょう。

 

2.統一投稿規定とは?

医学雑誌編集者国際委員会 International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE) が「医学雑誌掲載のための学術研究の実施、報告、編集、および出版に関する勧告」というものを出しています。多くのジャーナルでは個々に準拠した投稿規定にしていますので、ここで概要を把握しておくとよいでしょう。

この勧告の「IV. 原稿の作成および投稿 A. 医学雜誌に投稿する原稿の作成」に詳しくかかれています。

 

3.論文作成の声明と指針について

これまでにさまざまな研究デザインを対象とした報告ガイドラインが作成されています。

  1. 無作為化試験を対象としたCONSORT(www.consortstatement.org)
  2. 観察研究を対象としたSTROBE(http://strobe-statement.org/)
  3. システマティック・レビューおよびメタアナリシスを対象としたPRISMA(http://prisma-statement.org/)
  4. 診断の精度に関する研究を対象としたSTARD(www.stard-statement.org/)
  5. 予測指標の報告のためのガイドライン、TRIPOD声明(https://www.tripod-statement.org/)
       など

それぞれの研究デザインに合わせて報告ガイドラインに沿って論文が書かれているかを確認しておくとよいでしょう。また、ジャーナルによってはこれらの声明の出しているチェックリストを一緒に提出することを求めてくることもあります。

 

4.EQUATORネットワークについて

EQUATOR Networkは「Enhanching the QUAlity and Transparency Of health Research(健康研究の品質と透明性を強化する) Network」の略です。

健康・医学研究の透明で正確な報告を促進することによって、医学研究の信頼性を高めることを目指す国際団体です。主に診断、疫学研究、ランダム化比較試験、観察研究などを対象に、研究デザインや報告に関する新しい声明の作成や改訂を支援することを使命として活動しています。

 

5.CONSORT声明について

最後に1つだけ代表的なCONSORT声明についてご紹介しておきます。

これは、無作為化比較試験の報告のためのガイドラインです。

タイトルの付け方、背景・研究目的の記述、方法(対象者の集め方、無作為化割付の方法、評価項目、統計手法)、結果(対象者が決まって割り付けられるまでの流れ、ベースラインデータ、アウトカム、害)、考察(解釈、一般化可能性、限界)、その他(資金源、試験登録、試験プロトコル)などをどのように報告すべきかについて細かく規定しています。

無作為化試験を行う際には必ず確認しておかなければなりません。そして試験が終わって論文を書いて英文校正に出す前までにこれらのチェック項目を一つずつ確認しておく必要があります。

投稿先の雑誌の選択

3799971_s研究結果がまとまり、いよいよ論文化!という段階になったとき、どんな雑誌に投稿するかというのは非常に大きな選択になります。今回は、投稿する雑誌を選ぶ際にどのようなことを念頭に置くべきか、まとめてみました。

 

1.日本語雑誌か外国語雑誌か?

日本国内の学会に所属するジャーナルも近年では英語版のものが随分と増えてきましたが、それでも一般的には日本語でまとめることが多いかと思います。

外国のジャーナルであればどこの国のものであれ、ほとんどの場合英語でまとめることになるかと思います。

英語にすることのメリットは、読んでくれる人が増える可能性が高いということです。Pubmedなどでもアブストラクトを掲載してもらえますから、一部でも読んでくれる人が世界中にいることになります。その点は日本語雑誌を遙かにしのぐメリットとなります。

しかし英語といっても米国英語と英国英語で分かれますので、投稿する際には注意が必要です。英文校正を出す際にもBritish EnglishとAmerican Englishを指定する必要があるので必ず確認するようにしましょう。

また、単位系も異なることがあるため注意が必要です。投稿規定をしっかり読んで確認するようにしましょう。

 

2.学術雑誌か商業雑誌か?

学術雑誌は査読のプロセス(ピアレビューと呼ばれます)を経て出版可否の判断、内容の洗練に向けた科学的な審査を受けることが多いのですが、多くの商業雑誌は、このプロセスを経ることなく出版されます。しかしながらこのようなプロセスを経ないからといって価値がないわけではありません。実際、商業雑誌にも数多くの利点があります。

  1. 専門家の監修に基づき、そのとき話題になっているトピックが取り扱われやすい
  2. その道の専門家によるナラティブな意見を学べる (Expert opinionの宝庫)
  3. 国内の実情を俯瞰できる

その反面、ピアレビューを経ないことによる、次のような欠点もあります。

  1. 様々な立場の専門家による審査を経ないため、内容が偏る可能性がある
  2. 研究方法や内容の妥当性、信頼性が担保されにくい(特に最新の知見について)
  3. 世界標準からは逸脱している可能性がある
  4. 学術的な意味合いが薄いと解釈され、学位審査の対象とならない

以上のことから、最新の知見を発表する場としては学術誌を選ぶほうがよいでしょう。

 

3.月間誌か週刊誌か?

出版される頻度が高いほど採択される件数は増えるので、単純思考では採択率が増えると考えがちです。しかし同時にそれは人気のジャーナルであるがこそ、出版頻度が高くなっていると捉えることもできます。ジャーナルごとに独自に採択率を公表している場合があり、それを確認するのが一番手っ取り早いでしょう。

 

4.どの分野の雑誌であるのか?

臨床医学研究の場合を例にとると、「高血圧症」をテーマにした研究を行った場合、そのまま高血圧関連の学会やジャーナルでの発表を目指す以外に、循環器学、内分泌学、腎臓病学などがあり得ます。

また、臨床医学ではあっても疫学研究の要素が強ければ公衆衛生学、疫学などもターゲットジャーナルになり得ます。

研究手法で目新しい統計学的な手法を用いている場合には、そのような方法論について特化した分野の発表という形を取りうることもあるでしょう。

ところで、インパクトファクターという指標がありますが、これはどれだけ他の論文に引用されたかによって高くなります。要するに科学的な貢献度が高いと見なされるわけです。その領域の研究者が大勢いるときや多くの関連ジャーナルがある場合に一般的にこのインパクトファクターは高くなりがちです。その領域の規模にかなり依存しているとも言えます。分野が異なる場合に比較する意義は薄いとも言われていますので、「インパクトファクター至上主義」に陥るのはよいこととは思えません。しかし依然としてhigh-impact paperに採択されることを目標にすることは少なくはありません。

また、非常にニッチな分野のジャーナルに投稿してもそれが誰の目にもとまらなければ投稿する意義が薄れてしまうかもしれません。そこで敢えて自分の専門分野とは少しだけ畑違いの領域の、high-impact なジャーナルに投稿する場合もあります。

この場合、その領域の人なら誰でも常識的に考えていること、あるいは独特の不文律のようなものがある場合があります。普段自分が所属している領域との違いに戸惑う場合もありますので、その領域に詳しい人からアドバイスを貰うなどの対策を講じることによって有益な情報を得られる場合がありますので、検討してみてはどうでしょうか。

 

5.紙雑誌かオンラインの雑誌か?

昨今では紙媒体は廃止の方向になり、オンラインになっていっています。ページ数の制限が比較的融通が利くということ、さらにsupplementary materialを使えばそれこそ際限なく図表を追加できるからだと考えられます。

また、カラーで追加費用がかからずに済むこともあり、それもオンラインジャーナルのメリットかと思います。

しかし商業誌では依然として紙媒体が多く、実際に紙のほうが読みやすいと感じる読者も少なくないためしばらくは紙媒体での出版は残るものと思われます。

 

まとめ

投稿する雑誌の種類についてまとめました。学術的な価値を優先した場合には学術誌を優先すべきですし、世界中の読者に論文を読んでもらうためには英語で書くべきです。

また実際に英語で論文を書く際には、どんなに自分の英語力に自信がある場合でも、非ネイティブ言語で書いた論文は必ず校正サービスを受けましょう。思わぬところにミスがあるかもしれませんので、ダブルチェックにも活用できます。