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投稿規定に従うために

投稿規定に従うために

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研究成果がまとまり、いざ論文を書こう!となったときに、投稿予定のジャーナルが指定する書式にしっかりと整えて行く作業が必要になります。今回は論文を書き始める前に確認すべきポイントについて概説したいと思います。

1.投稿規定はすべて読む

これはもう当然のことなのですが、投稿→リジェクト→投稿→リジェクト…のサイクルを繰り返してくるとうんざりしてくるものです。しかし、残念ながらジャーナルごとに見事なほどに投稿規定が異なりますので、すべて整え直さなければならないのが現実です。

その現実を踏まえ、みるべきポイントをいくつかご紹介します。

1.字数制限

本文、アブストラクトそれぞれに字数制限を確認する必要があります。アブストラクトは200~300 wordsのことが多いですがそれも本文に含まれるのか、またreference listや acknowledgementも本文にカウントすべきなのか、投稿規定を確認する必要があります。不明ならばエディトリアルに問い合わせをするのもよいでしょう。

2.タイトルページ

タイトル(±ショートタイトル)、著者名、所属、Corresponding authorはほとんどの雑誌で必要とされていますが、キーワード、字数なども入れる必要がある場合があります。

3.アブストラクトは構造化書式か否か

Rationale & Objective, Study Design, Setting & Participants, Exposures/Predictors, Outcomes, Analytical Approach, Results, Limitations, Conclusionsと分けて記載する場合もありますし、小見出しはつけないように指定してくる場合もありますので、従いましょう。

4.リファレンスの書き方

件数、本文中での書き方(文末の右肩に載せる、カギ括弧[]にする、など)、著者の数、First name, Family nameの順番や略し方、年・号・ページの並べ方など、書式が異なりますのでこれも確認が必要です。

最近では多くの研究者が活用している文献管理ソフトを用いて管理する方法もあります。特定のジャーナルの書式に合わせて整えてくれるので時間節約になります。(もちろん登録されていない場合もありますし、最新の投稿規定に従っていない場合もありますので、必ず最終的に目視確認をすることをオススメします。)

5.図表の描き方

manuscriptとは別にアップロードすることを求められたりしますので、そういったことを確認します。色つきにすると費用がどのくらいかかるか、色はRGB、CMKYなど指定がある場合があるので、確認しましょう。

 

2.統一投稿規定とは?

医学雑誌編集者国際委員会 International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE) が「医学雑誌掲載のための学術研究の実施、報告、編集、および出版に関する勧告」というものを出しています。多くのジャーナルでは個々に準拠した投稿規定にしていますので、ここで概要を把握しておくとよいでしょう。

この勧告の「IV. 原稿の作成および投稿 A. 医学雜誌に投稿する原稿の作成」に詳しくかかれています。

 

3.論文作成の声明と指針について

これまでにさまざまな研究デザインを対象とした報告ガイドラインが作成されています。

  1. 無作為化試験を対象としたCONSORT(www.consortstatement.org)
  2. 観察研究を対象としたSTROBE(http://strobe-statement.org/)
  3. システマティック・レビューおよびメタアナリシスを対象としたPRISMA(http://prisma-statement.org/)
  4. 診断の精度に関する研究を対象としたSTARD(www.stard-statement.org/)
  5. 予測指標の報告のためのガイドライン、TRIPOD声明(https://www.tripod-statement.org/)
       など

それぞれの研究デザインに合わせて報告ガイドラインに沿って論文が書かれているかを確認しておくとよいでしょう。また、ジャーナルによってはこれらの声明の出しているチェックリストを一緒に提出することを求めてくることもあります。

 

4.EQUATORネットワークについて

EQUATOR Networkは「Enhanching the QUAlity and Transparency Of health Research(健康研究の品質と透明性を強化する) Network」の略です。

健康・医学研究の透明で正確な報告を促進することによって、医学研究の信頼性を高めることを目指す国際団体です。主に診断、疫学研究、ランダム化比較試験、観察研究などを対象に、研究デザインや報告に関する新しい声明の作成や改訂を支援することを使命として活動しています。

 

5.CONSORT声明について

最後に1つだけ代表的なCONSORT声明についてご紹介しておきます。

これは、無作為化比較試験の報告のためのガイドラインです。

タイトルの付け方、背景・研究目的の記述、方法(対象者の集め方、無作為化割付の方法、評価項目、統計手法)、結果(対象者が決まって割り付けられるまでの流れ、ベースラインデータ、アウトカム、害)、考察(解釈、一般化可能性、限界)、その他(資金源、試験登録、試験プロトコル)などをどのように報告すべきかについて細かく規定しています。

無作為化試験を行う際には必ず確認しておかなければなりません。そして試験が終わって論文を書いて英文校正に出す前までにこれらのチェック項目を一つずつ確認しておく必要があります。