論文を頑張って投稿したあと、リジェクトされると非常にショックを受けると思います。しばらく立ち直れないことだってあります。
しかしそれでもせっかく行った研究ですから、ジャーナルに掲載されたいですよね。
今回は、リジェクトを受けた論文をどうしたらよいか、考えてみたいと思います。
1.リジェクトされた理由をじっくり考えてみる
まず、一生懸命に実施した研究であっても、残念ながらリジェクトされることは多々あります。アクセプトされるよりもリジェクトされるほうが圧倒的に多い、それが普通です。
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しかし、その論文がリジェクトされるには理由があるはずです。
- 研究の着想のポイントが現在の研究のトレンドにあっていなかった
- データのとり方がよくなかった
- データの解析方法に問題があった
- 解析結果の解釈に問題があった
- 投稿するジャーナルのスコープ外だった
- 投稿に必要な要件を満たしていなかった
- 研究倫理その他、研究実施のための要件を満たしていなかった
- 文章のクオリティに問題があった
などが挙げられるのですが、このうち1については結果の解釈の方向性によっては一定の意義を見出すことは可能かもしれないので、あきらめるにはまだ早いでしょう。研究実施の要件として、研究倫理などを満たしていない場合には致命的です。そもそも承認を得た研究でなければ実施すらしてはいけません。
2.結果を受け止めて論文を修正する
しかしたいていはこれらのことはクリアして研究を実施していることと思いますので、いかにして修正できるポイントを探すことができるかがカギとなります。
自分が心血注いだ研究ですから、まずは自分の研究にこだわって、いかにして世に出すことができるかを真摯に、謙虚に考え尽くすことがまずは重要です。
リジェクトを知らせるメールや、運よくレビュアーからコメントをもらっていれば、ぜひじっくりと読むようにしてください。そこにはその論文がアクセプトされるために必要なポイントが書き連ねられていることでしょう。
これらのコメントを真摯に受け止めること、修正できるポイントは修正して次に臨むことが大切です。
しかし、致命的なミスを犯してしまっている場合にはその限りではありません。時には潔くあきらめるしかないこともあります。
できるだけそのようなミスを犯さないように、事前にしっかりと計画を練っておくことは最低限必要でしょう。
3.いずれはどこかの雑誌には掲載されるはず
内容に偽りがなく、正しい研究を行っている限りはどこかの雑誌に掲載されるはず、という信念を持ちましょう。
文章のクオリティに問題があったのであれば、英文校正に出すなどして質を上げることで対応できます。
研究のトレンドを押さえた研究ではない、などの状況であれば、もう一度先行する論文をじっくりと読み込んでみることです。
時々その領域の専門誌に、Perspective, Commentaryなどの形でその領域の未解決課題がまとめられていることがあります。それに合致した研究に近い内容であればしめたものです。
解析内容に問題があればもう一度専門家に相談してみましょう。この段階で相談されることを統計家はあまり好まないでしょうが、どこに問題があったのか、致命的なデータ収集上の欠陥だったのか、あるいは別の方法で代替可能なのか、意見を聴いてみるのは悪くないでしょう。
4.少し”ランクが下”の雑誌を探してみては?
勇気がいることかもしれませんが、先に投稿したジャーナルよりもランクを落として掲載を目指すこともあり得ます。
自分の研究に思い入れや愛着があるかもしれませんが、早く世の中に出すことを優先する、という考え方もあるでしょう。
トップジャーナルへのアクセプトがかなわなかったとしても、別の雑誌で引用回数が多ければそのジャーナルごと価値を上げることに貢献できます。
目当てのジャーナルへのアクセプトに時間を費やすよりも、早く情報発信して大勢の人に引用してもらうことを優先するほうが結果的にはよいこともあるということです。
5.自信を持って投稿しよう
最後に最も大切なことは、自分の研究内容に見合った自信を持つことです。
自分が今までわかっていなかったことを明らかにしたのだ、ということに自信が持てるようなそんな内容の論文になっているかどうかを確認しましょう。
日本人は謙虚に黙々と努力を続けることを美徳としがちですが、それでは世界と戦うことはできません。
自分の研究に自信を持つこと、それを堂々と発信することを意識してみましょう。それだけでも論文の論調は変わるはずです。
さいごに
リジェクトの通知を受けた直後はショックでしょうが、先に進むためには内容をもう一度見つめ直すこと、そして修正後に速やかに再度別のジャーナルに投稿を進めることが重要です。英文のクオリティに自信がなければ、必ず英文校正をうけるようにしましょう。