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2020 2月

編集者からの通知について

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論文を投稿した後に編集者から原稿の受け取りが来ることが一般的です。しかし、通知がすぐに来なかったらどうするのか?今日は論文を投稿した後に編集部で起こっていることを中心に見ていきましょう。

 

論文が編集部に届いた後どんなことが起こっているのか

論文投稿後に編集部内でどのようなことが起こっているのか、あまり知られていません。

編集長のもとに新しい投稿論文が届くと、まずは担当となる編集者に論文を割り当て、査読や意思決定プロセスを任せるのが一般的です。その際の編集者の主な業務は、投稿された論文原稿の決定に関する提案を編集長に伝えることです。

しかしその前に、簡単なチェックを編集助手(editorial assistant)に、投稿規定が守られているか、必要な書類が揃っているか、ジャーナルのテーマに合っているか、ファイルを正しく開けるか、ジャーナルの使用言語で書かれているか、などをさせることが一般的です。

これらの確認の過程で不備が見つかれば責任著者のもとに連絡し、具体的な修正依頼を行います。

 

編集部からの通知の時期

論文の投稿作業が完了すると、電子投稿画面であればほとんど自動でジャーナルからの通知が来ます。どのようなタイミングで通知が来るのかというと、

  1. 論文原稿が編集部に届いたとき
  2. 編集部内でリジェクトの判断がされたとき
  3. 査読結果がでたとき(受理、条件付き受理、不受理)
  4. 論文が公表できる段階になったとき、あるいは公表されるとき

このうち一番最初のステップの受け取りの通知はほぼ自動で送られてくることがほとんどですので、それがなければまずは自身のメールボックスを確認しましょう。迷惑メール、スパムに分類されていないか、単に確認していないだけかもしれません。次に電子投稿システムの不備や編集者の休暇等による一時的な不在の可能性も考えられますので、2~3日経過してから編集部に問い合わせてみましょう。投稿時に参照する投稿規定や投稿画面等に連絡先が記されていることが多いので、そこにメールしてみることです。日本では期日や時間を守るのが常識ですが、他の国ではその常識が必ずしも通用しないことがあります。例えばアメリカではHoliday season、具体的には11月末の感謝祭から年末年始に至る時期は休暇を取る人が多く、その間はジャーナル編集部も査読も滞りがちな印象があります。

編集部への問い合わせの方法

最近ではメールだけでなく、チャットを利用して気軽に編集部とやりとりできる場合もあります。しかし、その場合でも最低限のマナーは守るようにしましょう。通知が来ずに不安になったりイライラしたりする気持ちは十分に理解できますが、あまり攻撃的にならないようにすることが大事です。

編集部へ問い合わせるときには論文の著者リスト、タイトル、所属を伝え、投稿した時期を伝えましょう。そして通知が届いていない旨を伝えるのですが、自分のメールボックスは確認済みであることも同時に伝えておくとスムーズでしょう。

著者による査読者候補提出について

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多くの学術雑誌では、科学者同士がお互いの書いた論文のチェックする、”Peer review”によって正当で公平な評価を下すことでその科学的妥当性や論理性を担保する仕組みになっています。

しかし、研究の世界においても自分たちに対して賛意を示す人や団体もいれば、反対する人達もいます。

そうした人を公平に選ぶことによって偏りのない評価が期待される一方で、敵対的な研究室ではライバルの研究室の成果が表に出ないように悪意を持ってほとんど修正が不可能な反論をしたり、本来不必要な追加実験や解析を著者達に求めてくる事があります。

これも別の意味での偏りを持った評価となるため、科学の健全な発展にとって妨げになってしまいます。

そこで、多くのジャーナルで敵対あるいはライバル関係にある団体や科学者からの査読を避けることをジャーナル側に主張することができるのです。

通常、論文の査読者はジャーナルのエディターが指名することが多く、通常は2名以上5名以下のレビュアーが選定されます。

 

著者が査読者を指名するにはどうしたらよいのか?

論文投稿する際の電子申請画面上に、「公平な審査ができそうな人を推薦してください」と、指名するための特別な書式が用意されていることもあれば、カバーレターにその旨を記載するように論文の提出ガイドに記載されていたりすることがあります。

あるいは、「公平な審査が期待できないためにレビューをされることを拒否したい人をあげてください」など、反対にレビューを拒否したい人を上げるケースもあります。

ただし、ここで指名した人が絶対にレビュアーに回るとは限りません。査読者を選定するプロセスの最終判断はエディターが握っているからです。

しかしどうしてこのようなプロセスを踏むのでしょうか?

 

著者が査読者を指名する、あるいは回して欲しくない人を挙げる理由とは?

  1. 敵対する研究室から研究の進捗を邪魔されないため
  2. 研究の進捗を遅らせるため無駄な研究をさせられないため
  3. 著者に対する過度な精神的苦痛を与えるのを避けるため

近年ではダブルブラインド方式での査読も散見されますが、狭い研究業界であれば方法や論文の書き方を見れば同じ業界にいる人であれば大体誰が出した論文か検討がついてしまうものです。

 

どんな人を指名するのがよいのか

論文を初めて投稿する人や、新たに挑む研究の場合にはその業界のことをよく知らないことがほとんどでしょう。そんな中で、敵対する研究者のことをどこまで気にすれば良いのでしょうか?あるいは誰だったら公平なレビューをしてくれるかなどそう簡単に知ることはできるのでしょうか?

まずはその業界に精通した人に聞いてみるのがよいでしょう。自分の上司、同じ研究室の先輩や指導者などの身近なところから始めることが多いでしょう。

次に、学会や研究会などでその領域の研究者とのネットワーク作りも有効です。最初から敵対的な態度を取ってくることはそれほど多くなく、同じ領域の研究者同士で同じ苦労を分かち合い、最新の情報を仕入れるのにも役立ちます。また、自分の研究を世に広めてくれる可能性もあります。

国内の学会でのネットワーク作りが終われば国際学会です。できればそこで自分たちと似た研究をしている研究者を探しておくとよいでしょう。それが敵対的な研究者になるか、仲間になるかはわかりませんが、情報交換をすることは科学における健全な精神です。

 

最後に ~敵対候補と警戒していたら莫逆の友に~

最後にある知人の研究者から聞いたお話をご紹介します。その先生と全く同じ内容の臨床研究を行っている海外の研究室にいるある先生との逸話です。

その先生も海外の研究者の先生もその領域のtop journalに毎年のように掲載されていたそうです。

あるとき、その日本人研究者が国際会議の際に相手の研究者に話しかけに行ったそうです。そこでは非常に友好的な会話が繰り広げられ、熱い思いを持った研究者として、お互いすぐに打ち解けたそうです。いつしか話は共同研究に発展し、国際共同研究にこぎ着けることができました。こうして世界で最も大規模かつ貴重なコホート研究が実現したのでした。

敵対する研究者は時に自分たちの研究を妨害してくるような悪意を持ったレビューをしてくることもありますが、最後に紹介した逸話のようにさらに科学を発展させるきっかけともなりうるということは心に留めておくとよいでしょう。