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医学論文のススメ

COLUMN

すべての論文が出版されない理由

5194615_s投稿されたすべての論文が必ずしも出版には至らない、ということは多くの人が理解していることでしょう。しかしジャーナルの数も増えてきているにもかかわらず、すべてが出版されるとは限らない、というのはどういうことなのでしょうか?そのことについて説明してみたいと思います。

 

1.出版されるべきでないものは出版されない

残念ながらすべての論文が、出版されなければならないかと言われれば、そうとも限らないのです。

例えば、患者に危害を与える可能性のある論文があります。行ってもいない研究から結果を無理やり作り出す「捏造」、特定の薬剤の効果を強調して害悪は伏せてしまう、「改ざん」などは代表的なものです。

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しかし実際にはこのような捏造や改ざんといった研究不正をはじめから疑うことは難しいでしょう。

研究者一人ひとりの倫理観が試されます。

しかし、やがてはこのような研究不正は、時間が経過すると白日の下にさらされることになります。

研究費の獲得や学位付与、ノルマの達成などの目の前の小さな目標に目を奪われて大局観をなくしてしまった研究者が犯しやすい研究不正です。

このようなことが起こりにくい研究環境を整えることが研究代表や研究施設代表の務めでしょう。

 

2.論文の雑誌掲載の実情

さて、出版されてしかるべき、という論文であっても掲載されないことがあります。

有名雑誌ともなれば毎日のように論文が投稿されてきます。

投稿された論文が編集者によってその後の査読に回るかどうかを判断されるわけですが、即座にリジェクトされることはそれほど珍しくはありません。

科学的な面白さ(Interest)新規性(Novelty)に加えて結果が信頼できるかどうか、判断されるのです。

もちろんそのジャーナルが全体として「こういう論文を載せたい」というスコープを持っていますので、そのようなスコープにあっているかを確認することというのは非常に重要です。

そのスコープにあったinterestとnoveltyを備えているか、ということが採択のカギを握っています。

ところで、信頼性についてはどうでしょうか?

研究のデータ品質がきちんと管理されている(データセンターの存在)こと、イベントの評価が論文化に都合よく行われているのではなく、第三者によって評価を受けている、Webサイトで研究の概要を公開している、などは重要です。

論文の中で信頼性を高めることも可能です。方法の部分をきっちりと記載することです。

 

3.雑誌容量の限界

近年ではオープンアクセスのジャーナルが増えてきていますが、やはり冊子媒体のあるジャーナルは根強い人気を持ちます。

また、長年築いてきた信頼があるのでimpact factorが安定しやすいのも人気の理由の1つでしょう。

しかし、冊子媒体のジャーナルは、掲載できる容量に限度があります。

そのために採択される論文に限度がある、という側面もあります。

ただし、具体的に容量を明記していることはほとんどありません。あくまで舞台裏の話、と捉えていただくのが良いと思います。

 

4.雑誌に掲載される方法

雑誌に投稿して最終的に採択してもらい、掲載してもらうためにはどうしたらよいでしょうか?

そこには3つの視点が必要です。

  1. ジャーナルのスコープと合致する内容か
  2. 科学的に正しい方法で行われたか
  3. 体裁・必要書類などがすべて整えられているか

前述のように、ジャーナルのスコープに合うような論文を投稿したほうが採択される確率は高まります。

研究の内容だけでなく、研究デザインなどのスタイルもスコープの一部となる場合があります。過去に採択された論文のタイトルや内容に目を通すことをお勧めします。

科学的に正しく実施された研究かどうかは、その記載の厳密さでしか測ることは難しいと思いますが、その道の研究者であれば記載内容をみればその研究のレベルをある程度正しく推測することはできます。

読み手としては結果に目を奪われがちですが、査読においては方法論の確認を念入りに行っていますので、ここも手を抜かずにきちんと記載することが大事です。

最後に、必要な書類や論文としての体裁です。初心者にありがちなのは、論文の内容に集中してしまい、体裁を整えるのをいい加減にしてしまうことです。

これは避けるべきです。さらに、英語を母国語としない場合には英語での記述に慣れておらず、文法上の「軽いミス」も犯している可能性があります。

投稿規定を厳密に読み、それに沿って記載すること、必要とされる書類を早めに準備すること、そして出来上がった論文ドラフトは必ず英文校正に回しておくことなどが肝要です。

このような基本が押さえられない場合には論文をきちんと読んでもらえませんので十分に注意することが重要です。

研究、論文不正への対処を考える

4458656_s研究成果を論文にまとめる際に、気が付かないうちに「研究不正」を犯している可能性があります。

今回は論文出版時における不正についてまとめたいと思います。

 

 

 

1.論文不正の種類

意図したものであれ意図しなかったものであれ、以下のようなことが論文不正として疑われないように注意を払うことが論文執筆時において重要です。

  1. 二重投稿・二重出版
  2. 剽窃
  3. データの捏造
  4. オーサーシップの諸問題
  5. 利益相反

これらを順に説明していきましょう。

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1.二重投稿・二重出版

同じ研究から複数の論文が作成されることはよくあることで、それ自体は何ら問題はありません。

しかし全く同じデータを同じような方法で解析し、表や図のレイアウトを変更したり、著者の並べ替えをしたり、明らかに同じ内容の論文が投稿されていれば、二重投稿・二重出版ということになります。

しかし、一部が酷似しているがその他の解析においては異なっており、全体としては主旨が異なるようであればそれは二重投稿とはみなされないでしょう。

例えば方法はどうしても共通してしまいますし、異なるサブセットでの解析を追加したり、フォロー期間が異なるデータに基づいた解析を行っているなどの場合が考えられます。

万一査読者や第三者から二重投稿の疑いをかけられた場合に、元の論文との差異を明確に説明できるようにしておくことが重要です。

 

2.剽窃

剽窃とは、すでに出版されている他人の著作から、部分的に文章,語句,筋,思想などを盗み,自作の中に自分のものとして用いることを指します。これは重大な論文不正の1つです。

これも程度の問題があります。明白な剽窃ととらえられるケースは、本文やデータの大部分をその出展を明かさずに、あたかも自らが制作したかのように使用しているような場合です。

短いフレーズのみの剽窃としては、当該言語を母語としない著者によって論文の考察やイントロダクションの中にある表現をそのまま使用してしまうような状況です。これも出展を明らかにせずに表現を使用してしまうような場合には剽窃ととられる可能性がありますので注意が必要になります。

剽窃を確認するようなソフトウェアを必ず通してから投稿を行うようにするとより安全かもしれません。

(学位論文などでは少なくともそのようなことが行われることが義務付けられているケースが多いです。)

 

3.データの捏造

内部告発や剽窃・盗用を契機にデータの捏造が疑われた研究が世間をにぎわせたことがありましたが、データの捏造は事実を歪めて真実から遠ざける行為ですので、厳慎むべきことです。

このようなことが生じないために、研究データを保管することが義務付けられました。研究データの原資料、解析プログラム、解析用データセットなどは論文発表を終えた後も必ず一定期間保管しておくことが求められています。

これは所属する機関などによってもかわりますので、どの程度データを保管しておく必要があるのか、必ず確認するようにしましょう。

 

4.オーサーシップ諸問題

論文の著者として満たすべき条件として、ICMJEでは次の項目が挙げられています。

  1. 研究の構想、デザイン、研究データの取得、解析、解釈のいずれかに実質的に貢献した。
  2. 論文を起草したか、または重要な知的内容について批評的な推敲を行った。
  3. 出版原稿の最終的な承認を行った。
  4. 研究に関するすべての部分に、正確性または公正性に関する疑義が適切に調査され、解決されることを保証し、研究のすべての側面に対して説明責任を負うことに同意した。

これらを満たさずに論文の権威付けなどの目的で著者リストに加えてしまうことも研究不正・論文不正の1つです。

ゴーストオーサーシップ、ギフトオーサーシップなどと呼ばれますが、このようなことが起こらないために、研究を開始する段階で著者の決め方などをきちんと話し合って決めておくことが重要です。

 

2.証拠書類の保管

こうした論文不正については、自覚がないままに犯してしまっている可能性がありますので、こういった不正を行っていないことを証明するための証拠を揃えておくことが大事です。

これは嫌疑をかけられたときの自己防衛のためだけでなく、研究不正そのものを防ぐ効果が期待できますので、ぜひ心がけておくとよいでしょう。

  • オーサーシップを決めたミーティングの議事録を残しておく
  • 剽窃チェックツールを使用したらその記録を保管しておく
  • 研究用のデータを保管し、実験ノートや解析ログなどを保管する

このような工夫が大切です。また、剽窃にならないように表現方法が同じにならないようにしてほしい旨を具体的な箇所を指定して英文校正に提出する、といったことも重要です。表現方法がどうしても似てきてしまう場合がありますので、特に英語が母語でない場合には英文校正の力を借りるのも1つの手段かもしれません。

 

3.研究不正を起こさないために

このような研究不正を生じないためにも上記のような書類を保管することは大変有効です。

加えてどのような研究不正があるのかを知っておくことも大事です。そんな時にCOPEガイドラインが対応の参考になります。

トラブル予防のためにCOPEガイドラインを活用しましょう。

 

まとめ

意図せずに研究不正が疑われないためにも研究を行う際には不正を起こさないように積極的な対策を講じることが重要です。

胸を張って研究成果を発表するためにも上記のことを参考に透明性の高い研究を心がけましょう。

分業化のススメ

4092335_s近年は研究の内容が高度になってきただけでなく、研究を実施する前の準備段階でも、そして解析を行う段階においても、非常に高度なことを要求されます。

研究者が一人で頑張っても限界があります。そこで、色々なことを分業で進めていくことを考えてみてはいかがでしょうか?

今回は、研究実施~論文作成に至る過程を分業することをテーマにお話ししたいと思います。

 

1.人それぞれの得意分野を生かす

どんな人であっても、持っている能力は一様ではありません。それぞれ得意なことがあるはずです。それを活かさない手はありません。

次のような人材がいるかもしれません。

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1.アイデアを出すのが得意な人

研究においては着想が最も重要です。

着想は「誰も気が付かなかったこと」が話題にのぼりがちですが、突拍子もないことをいくら唱えても誰も見向きもしてくれません

今の研究のトレンドを的確に押さえる必要があります。

未知のことに挑むということは、すでに知られていることに精通することと同じです。

大きな流れの中で、何が足かせとなって研究が進まなかったのか、正しく理解することが第一歩です。

次に、それを解決するための手立てをどれだけ考えられるか、がカギになります。これまで誰も解決できなかったことに挑むのですから、大変なことです。

解決方法はこれまでの研究の延長にはないかもしれません。とても遠い領域、一見何の関係もないところからヒントを得たりすることがあります。

しかしそれもすでに誰かがやっていることだったりするのです。それを知っているかどうかは、普段どれだけいろいろなことに興味を持ち、アンテナを張っているかにかかっています。

新しい方法に目を付けたらそれに詳しい人につないでもらうこともあります。そういった詳しい人とのディスカッションを通じて具体的な研究に対するイメージを膨らませて、実現につなげることが大切です。

 

2.科学研究費などを取得するのが得意な人

研究を行うためには資金の獲得は不可欠です。日本学術振興会の科学研究費などが代表的な資金源になると思いますが、申請書類の作成をする必要があります。その申請書類の準備だけで論文を執筆するくらいの労力が必要です。

申請書の書き方も特殊です。毎年のように受理されて資金を獲得している人と、なかなか資金を獲得できない人がいます。

書類の書き方にコツが必要なのです。アイディアを別の人にわかってもらう必要があります。

そういうことができなければ資金を獲得することはできません。

研究費を海外に求める場合もあるかもしれません。その場合には英語で記載する必要があります。(当然、正しい英語で記載する必要がありますので、書き終えた後にはきちんと英文校正に提出することをお勧めします。)

 

3.臨床の得意な人

医学論文の読者は研究者だけでなく、臨床医も大勢います。研究者の独りよがりな内容では雑誌に掲載してもらうことも難しいでしょう。

臨床のバックグラウンドを持つ人に、研究が持つ意義を整理してもらうとよいでしょう。

そうすることであなたの研究の価値は何倍にもなります。

臨床医から意見をもらうのはどんなときがよいでしょうか?

研究のアイディアを生み出す段階でも、研究費を獲得する段階でも、そして論文作成する段階でも必要、というのが答えになります。

 

4.データを正確に取得して記載するのが得意な人

医学研究だけでなく、その他の多くの研究において、データの正確性は近年ますます重要視されるようになってきました。

データを正しく記入したり、他の人が入力したデータをチェックしたりする人の役割は非常に重要です。

臨床試験を担当する部門がある施設ならばそういった部門に依頼すればよいのかもしれませんが、そういった人がいなければ自分たちで行わなければなりません。

なお、Electric data capture (EDC)という、電子的な症例登録システムを使うことでデータの正確な入力を促すような仕組みを最初に設定することもできます。

入力するデータの入力規則をあらかじめ設定したり、入力したデータ同士の関係から矛盾や齟齬が生じないような仕組みを整えたりといろいろなことができます。

 

5.統計処理が得意な人

集めてきたデータを解析するのも、やはり得意人がいれば任せたいところです。

様々な統計手法が生み出されてそれを正確にcatch upすることはとても難しいことです。

また、間違った統計の使い方をしていることもあります。そこで、統計解析に精通した人に関与してもらうのが良いと思います。

できれば研究を開始する時点で関わってもらうのが良いです。

どのくらいのサンプル数で研究をするのが適切なのか、データの取得方法はどのようにするのか(身長や体重などを連続した数値として得るのか、カテゴリー変数として得るのか、といったこと)、といったところまで細かく相談しておいたほうが後々問題になることが少ないでしょう。

 

2.他の研究者との共同研究

最後に、他の施設、他の領域との共同研究を積極的に考えるべき、という点を強調したいと思います。

研究アイディアが外に漏れることを恐れて内向きな研究になってしまいがちですが、実際にはそんなことを気にするよりも様々なアイディアをオープンに議論する雰囲気作りに重きを置いた方が良い場合があります。

そんな時、これまで全く知らなかった新しい領域、未知の領域の研究者と知り合いになり、一緒に研究をしてみるとよいと思います。

お互いにアイディア、知識を共有して化学反応が起こしましょう!

 

まとめ

研究分野がますます細分化していく中で、効率的に研究プロジェクトを動かすためには得意な人に得意なことを任せること、そしてプロジェクト全体を研究代表者はきちんと監督することが大事です。

そして大事なことは、分業化したあとも相互に議論を深めることです。そうすることで研究の内容はさらに深まることでしょう。

雑誌掲載不可の結果にショックを受けているあなたに

5002321_s論文を頑張って投稿したあと、リジェクトされると非常にショックを受けると思います。しばらく立ち直れないことだってあります。

しかしそれでもせっかく行った研究ですから、ジャーナルに掲載されたいですよね。

今回は、リジェクトを受けた論文をどうしたらよいか、考えてみたいと思います。

 

1.リジェクトされた理由をじっくり考えてみる

まず、一生懸命に実施した研究であっても、残念ながらリジェクトされることは多々あります。アクセプトされるよりもリジェクトされるほうが圧倒的に多い、それが普通です。

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しかし、その論文がリジェクトされるには理由があるはずです。

  1. 研究の着想のポイントが現在の研究のトレンドにあっていなかった
  2. データのとり方がよくなかった
  3. データの解析方法に問題があった
  4. 解析結果の解釈に問題があった
  5. 投稿するジャーナルのスコープ外だった
  6. 投稿に必要な要件を満たしていなかった
  7. 研究倫理その他、研究実施のための要件を満たしていなかった
  8. 文章のクオリティに問題があった

などが挙げられるのですが、このうち1については結果の解釈の方向性によっては一定の意義を見出すことは可能かもしれないので、あきらめるにはまだ早いでしょう。研究実施の要件として、研究倫理などを満たしていない場合には致命的です。そもそも承認を得た研究でなければ実施すらしてはいけません。

 

2.結果を受け止めて論文を修正する

しかしたいていはこれらのことはクリアして研究を実施していることと思いますので、いかにして修正できるポイントを探すことができるかがカギとなります。

自分が心血注いだ研究ですから、まずは自分の研究にこだわって、いかにして世に出すことができるかを真摯に、謙虚に考え尽くすことがまずは重要です。

リジェクトを知らせるメールや、運よくレビュアーからコメントをもらっていれば、ぜひじっくりと読むようにしてください。そこにはその論文がアクセプトされるために必要なポイントが書き連ねられていることでしょう。

これらのコメントを真摯に受け止めること、修正できるポイントは修正して次に臨むことが大切です。

しかし、致命的なミスを犯してしまっている場合にはその限りではありません。時には潔くあきらめるしかないこともあります。

できるだけそのようなミスを犯さないように、事前にしっかりと計画を練っておくことは最低限必要でしょう。

 

3.いずれはどこかの雑誌には掲載されるはず

内容に偽りがなく、正しい研究を行っている限りはどこかの雑誌に掲載されるはず、という信念を持ちましょう。

文章のクオリティに問題があったのであれば、英文校正に出すなどして質を上げることで対応できます。

研究のトレンドを押さえた研究ではない、などの状況であれば、もう一度先行する論文をじっくりと読み込んでみることです。

時々その領域の専門誌に、Perspective, Commentaryなどの形でその領域の未解決課題がまとめられていることがあります。それに合致した研究に近い内容であればしめたものです。

解析内容に問題があればもう一度専門家に相談してみましょう。この段階で相談されることを統計家はあまり好まないでしょうが、どこに問題があったのか、致命的なデータ収集上の欠陥だったのか、あるいは別の方法で代替可能なのか、意見を聴いてみるのは悪くないでしょう。

 

4.少し”ランクが下”の雑誌を探してみては?

勇気がいることかもしれませんが、先に投稿したジャーナルよりもランクを落として掲載を目指すこともあり得ます。

自分の研究に思い入れや愛着があるかもしれませんが、早く世の中に出すことを優先する、という考え方もあるでしょう。

トップジャーナルへのアクセプトがかなわなかったとしても、別の雑誌で引用回数が多ければそのジャーナルごと価値を上げることに貢献できます。

目当てのジャーナルへのアクセプトに時間を費やすよりも、早く情報発信して大勢の人に引用してもらうことを優先するほうが結果的にはよいこともあるということです。

 

5.自信を持って投稿しよう

最後に最も大切なことは、自分の研究内容に見合った自信を持つことです。

自分が今までわかっていなかったことを明らかにしたのだ、ということに自信が持てるようなそんな内容の論文になっているかどうかを確認しましょう。

日本人は謙虚に黙々と努力を続けることを美徳としがちですが、それでは世界と戦うことはできません。

自分の研究に自信を持つこと、それを堂々と発信することを意識してみましょう。それだけでも論文の論調は変わるはずです。

 

さいごに

リジェクトの通知を受けた直後はショックでしょうが、先に進むためには内容をもう一度見つめ直すこと、そして修正後に速やかに再度別のジャーナルに投稿を進めることが重要です。英文のクオリティに自信がなければ、必ず英文校正をうけるようにしましょう。

論文執筆の上達法

2538246_s論文執筆はとてつもない労力が必要ですが、年間に何十本もの論文執筆をこなす人がいます。そして書き慣れている「達人」たちは、文章が安定していて読みやすいという特徴があります。今回は、そんな論文執筆の達人がどのように上達させてきたかについてのお話をしたいと思います。

 

 

1.まずは書くことに慣れる

言うまでも無く、論文の達人たちは、数多くの論文を書いています。達人だからたくさん書くことができることは間違いありませんが、最初からたくさん書けたわけではありません。 (さらに…)

論文の執筆に一生懸命になりすぎて、ついやってしまいがちなご法度表現

5194615_s研究成果をまとめて論文にまとめる段階では、研究を実施するときはまた異なる難しさに直面します。今回は、研究成果をまとめて世に出す際にやってしまいがちな御法度表現についてまとめてみました。

 

1.自分が理解できないことは書かない

当然のことですが、論文を執筆する際には自分が実施してきたことをその通りに記載することが基本です。

自分が理解できないままに研究を実施することというのは理論的にはあり得ないはずですが、難しい実験理論、解析手法などについては理解が及ばない部分がでてくるかもしれません。 (さらに…)

論文が雑誌掲載不可になってしまう避けたいミス

4878989_s論文を投稿すると、編集部でのチェックを経て査読に回るか、著者に差し戻されるか、即リジェクトを受けるかのいずれかになります。そして、この「即リジェクト」の中には、研究や論文の質以前の問題が含まれています。今回はそのような問題について説明したいと思います。

 

査読もなしで掲載不可になってしまう論文とは?

査読以前に、研究として問題がある場合があります。研究実施前の手続きをしっかりと確認しておく必要があります。特に昨今では、公正公明、透明性が求められています。

 

倫理事項に関する記載に不備がある

特に人や動物を対象とする研究を実施する上では、特別な倫理審査を受ける (さらに…)

別刷り請求とオープンアクセスで気をつけなければいけないこと

4809747_l論文を書き上げたら、せっかくの成果ですから世の中の人に少しでも知ってもらいたいですね。そこで、自分の論文をどこまで共有できるのか、著作権に問題がないのか、について説明したいと思います。

 

1.別刷り請求とは

論文の「別刷り請求」とはいったい何でしょうか?

投稿した論文の出版が決まった後に、出版社に注文しておくと、自分の論文のページだけが印刷されたものを冊子として何部でも購入することができます。

これを「別刷り(offprint)」と呼びます。

大学や研究機関に所属している場合には論文を入手するのは比較的容易ですが、そうではない場合に、費用を抑えて本文を入手する方法としてこの「別刷り請求」という慣習があるのです。

具体的には、論文の著者の誰かに論文のコピーをくださいとお願いすることを指します。

かつてはこのように小冊子となった別刷りをわざわざ著者が注文しておいて別刷りをリクエストされたときに嬉々として送ったり (さらに…)

いまさら人に聞けない編集者のチェックポイント

4986370_s提出された論文を、編集者たちはどのようにチェックして査読に回しているのでしょうか。そして査読結果をうけて編集者としてどのように受理・不受理の判断を下しているのでしょうか?今回は編集者目線で論文のチェックポイントをご紹介してみたいと思います。

 

1.論文の質をどう判断している?

編集部には連日多くの論文原稿が届きます。それらを一つ一つ隅々まで確認して査読に回しているのかというと、そうでもありません。

査読に回す前にいくつかのチェックポイントを設けて一次審査という (さらに…)

論文掲載が決定した後の手続きで知っておかなければならないこと

979471_s苦労して書いてきた論文が、ついにアクセプトされ、掲載が決定した後はどのようなプロセスを経ていくのでしょうか。編集部からの連絡をうけてからの流れを説明していきたいと思います。

 

1.雑誌編集部から論文の受理の連絡が来た後

査読に関するやり取りを終えた後に、雑誌編集部から論文受理の決定に関する連絡が来ます。

その後、投稿者にとっては以下のようなことを求められます。

投稿前よりタイトなスケジュールが要求されることが多いので、集中して取り組むことが重要です。

 

1.License Agreement

ひとつ目は、著者の全員に出版に関する同意を得るプロセスです。論文の内容として (さらに…)