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論文が雑誌掲載不可になってしまう避けたいミス

論文が雑誌掲載不可になってしまう避けたいミス

4878989_s論文を投稿すると、編集部でのチェックを経て査読に回るか、著者に差し戻されるか、即リジェクトを受けるかのいずれかになります。そして、この「即リジェクト」の中には、研究や論文の質以前の問題が含まれています。今回はそのような問題について説明したいと思います。

 

査読もなしで掲載不可になってしまう論文とは?

査読以前に、研究として問題がある場合があります。研究実施前の手続きをしっかりと確認しておく必要があります。特に昨今では、公正公明、透明性が求められています。

 

倫理事項に関する記載に不備がある

特に人や動物を対象とする研究を実施する上では、特別な倫理審査を受ける必要があります。

人を対象とする研究の場合には、令和3年3月に新しくなった「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に則って研究を実施することが必要です。

また、特定臨床研究の場合には、「臨床研究法」という法律に従って研究を実施することが定められています。

これらの法律や指針の体系は非常に複雑でわかりにくいことがあるので、事前に専門の部署に相談した上で研究を実施するようにするとよいでしょう。

そして、これらの手続きをきちんと済ませたということを論文の中にごく簡単に記載しましょう。

こういった記載がなければそもそも論文として受理するわけにもいきませんし、研究としても認められませんので、初めにきっちりと手続きを踏んでおくことが肝心です。

 

研究の “事前登録” の記載がない

研究の事前登録というのは、特に介入研究や前述の臨床研究法に基づいた研究を実施する際に必要な臨床試験登録です。これらは日本の規制においても守らなければなりませんし、海外の論文投稿の際にも要求されることになります。

論文投稿の際に、臨床試験登録番号について記載する箇所があり、そこに登録番号を掲載することや、論文の本文にも記載する必要があります。

当然のことながら、必要な手続きを踏まずに実施された研究は研究として見なされませんので、論文投稿以前の問題となってしまいます。

 

リカバリ可能なミスについて

上記の問題は非常にクリティカルですが、一方で後から修正することでリカバリできるミスもあります。

 

必要書類が提出されていない

これはただ単に「差し戻し」で済まされる場合が多いでしょう。

著作権譲渡に関する書類、論文投稿に関する共著者からの直筆サイン、共著者の利益相反申告などは抜け漏れが発生しやすい書類です。

その他、観察研究ならばSTROBE声明に沿って記載した旨をわかりやすくするために、チェックリストとして提出させられる場合がありますので、投稿規定をよく読みましょう。

これらはジャーナルによって規定が大きく異なる場合がありますので、投稿規定をしっかりと読むことが重要です。

共著者にドラフトを回覧する際にこれらの書類を提出してもらう依頼を一緒にすることが多いと思いますが、英文校正に提出したあとの時間でこれらの書類に不備がないかを確認するようにすると時間を有効に使うことができるでしょう。

論文を書き上げたあとにも投稿に至るまでに多くのことをこなす必要がありますので、時間を有効に使い、共著者の負担も考えて効率的にこれらの準備を進めることが重要です。

 

雑誌の掲載分野外

掲載を狙っているジャーナルのスコープにあわない内容や論旨である場合には静かにリジェクトになるか、あるいは内容次第では姉妹誌を紹介される場合があります。姉妹誌の場合には体裁を変更せずに投稿できる場合もあるのでその提案に乗ってしまうのも悪くはないでしょう。

しかしあくまで狙っているジャーナルへの掲載にこだわるのであれば、似たようなテーマで掲載されている論文をいくつか読んで傾向をつかんでから書き直すとよい場合もあります。

これも内容や担当する編集者、査読者にも大きく依存してしまうところではあると思いますが。

 

まとめ

今回は論文掲載不可となってしまういくつかのパターンについてご紹介しました。

リカバリ不能なミスは研究計画段階で絶対に阻止すべきです。

一方で、リカバリ可能なミスは、投稿前の繰り返しの確認作業が重要です。

また特定のジャーナルへの掲載にこだわるのであれば、ジャーナルの好みに合わせる工夫も検討してみましょう。