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タイトルページの書き方

4177351_s論文を執筆する際に、アブストラクトや本文の前に、「タイトルページ」というセクションがあります。論文の構成のなかでは目次の役割を果たします。

「なんだ目次ぐらい」

と思われがちですが、情報に不備があれば次のステップに進めませんので、まずこのTitle Pageをしっかり準備することが大切です。

投稿先の規程に沿って用意すれば、それほど手間のかかるものではありません。

 

1.一般的なタイトルページの要素

論文のタイトルページには以下の項目を記載することが一般的です。

  1. 論文のタイトル
  2. Running head または short title
  3. 著者名
  4. 所属名
  5. 連絡著者(corresponding author)の連絡先

論文のタイトルには試験デザインに関する用語を入れるようCONSORT声明やSTROBE声明等で求められています。

Running headとはジャーナルによって字数制限が異なりますが、完成した論文のタイトルを短縮したもので、完成論文の欄外(ページ上)に印刷される簡略標題です。ここで字数制限はWord count(語数)ではないことに注意が必要です。

著者名は筆頭著者からcontributionの高さに応じて名を連ねていきます。最後に研究責任者やプロジェクト責任者の名前を入れることが多いかと思います。

所属は人によっては複数ある場合がありますので、著者名の右肩に数字を入れて所属名を著者名のリストのあとにまとめてリストアップするスタイルが一般的です。所属組織を記入する際に迷うのは、研究実施時点と論文執筆時点にずれがある場合です。

一般的には現在所属している機関だけでなく、研究当時所属していた機関・組織、所在地も記載することが一般的です。部署名、機関・組織名に略語は使用しないようにしましょう。

連絡著者は論文投稿、査読者や編集者とのやり取りをする人のことです。筆頭著者が兼ねる場合もありますが、研究代表者が務めることもあり、その分野や所属組織の慣習に従うことになるかと思います。連絡著者の連絡先としては、氏名、電話・ファクス番号、メールアドレスを記載することが一般的です。

 

2.何より大事なタイトルの決め方

タイトルは論文の顔です。

論文で一番主張したいこと」が凝縮されていなければなりません。タイトルの決定は、本文を書く前、書いている途中、書き終わってからといろいろなタイミングがあり得ます。一般的には本文を記載し終えるころには論旨が明確化してくるのでその時点で見直しをするとよいでしょう。

逆に、本文を執筆し終えてタイトルを考えている間に、本文の主張がぶれていることに気づいたりすることがあります。そんなときにはもう一度全体を見直し、主張に一貫性があるかどうかをよく検討しましょう。

また、文字数などジャーナルの投稿規定をよく確認することは重要です。それぞれのジャーナルには特定に決まり(投稿規定)が存在します。例えば、ジャーナルによってタイトルの書き方に対する注意事項が明記されているケースもあります。

もっとも重要なことは、報告する以上の内容に”盛る”ことなしに、事実に即した内容であること、そして読者の興味を引くようなタイトルにするべきです。実際にはとても難しい作業ですが。

 

3.タイトルページに記載することを求められることがある要素

上記以外にもタイトルページに求められる要素はジャーナルによって様々です。一般的には以下のような項目を記載することが求められることがあります。

  • Financial support: 研究を実施するための資金の出どころについて記載する
  • Conflict of interest:研究費、機器、薬剤の提供元などを含む利益相反 (COIがない場合もその旨を記載する。)
  • 統計解析・英文校正など論文執筆の際に受けたサポート
  • 本文の総単語数
  • 図表の数
  • キーワード

Financial supportでは、研究のために支給された助成金や提供された薬剤・機器の明示が求められます。

“This study was supported by a grant (No. XX) / YY company. ” など簡単に記載します。

Conflict of interestでは、その研究と関係すると考えられる場合も含めて、論文の客観性に影響する可能性を持つ利益相反について述べます。

ない場合には、“The authors declare no conflicts of interest associated with this manuscript.”, “The authors have no conflicts of interest directly relevant to the content of this article.” などと記載します。ジャーナルによって記載するセンテンスが決められている場合もあるので確認してください。

利益相反があるかどうかは投稿そのものを妨げるものではありませんのでご安心ください。

そのほか、英文校正などもここに記入する場合もあれば、最後の謝辞(acknowledgement)に記載する場合もあります。

本文の単語数や図表の数も規定通りになっているかを確認するために記載が求められる場合があります。

キーワードは本文と関係する3~5個程度のフレーズを記載します。

 

まとめ

タイトルページは論文の顔になりますので、本文同様気を抜くことなく記載しましょう。詳しくはジャーナルの投稿規定をしっかりと読み込むことが重要です。すべての要素がそろっていることを確認してから英文校正に提出しましょう。

論文のレイアウトの組み方について

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研究が一段落し、結果をまとめることになり、いざ論文を書き始めようとすると、様々な”お作法”があることに気がつくと思います。知らずに進めてしまうと後から書き直しを余儀なくされてしまいますし、そのまま投稿するなどもってのほかです。そこで、本日は、論文レイアウトの”お作法”についてご紹介致します。

 

 

1.基本的なレイアウト

以下の様な約束ごとが暗黙のうち、あるいは投稿規定に明示されています。

1)手書きは原則避ける:まあ、今の時代でしたらそうですよね。
2)A4用紙に片面印字する
3)タイトルページから順序よく書く
4)ページの番号をつける
5)マージンを広く取る: よく見かけるのは、1インチ(25.4 mm)空けろとあります。

 

2.フォント・サイズ・行間

読みやすい字体・大きさを用いることが基本となります。

雑誌の投稿規定に詳しく書かれていることが多いですが、

Manuscripts must be double-spaced with numbered pages; use of 12-point Times New Roman and an unjustified right-hand margin is preferred. (Information for Authors and Journal Policies, American Journal of Kidney Disease より抜粋)
We prefer the use throughout of a ‘standard’ font, preferably 12-point Times New Roman. (Final submission, for authors, https://www.nature.com/nature/for-authors/final-submission より抜粋)

などと書かれています。Times New Romanしかダメ!というところもあるので、このフォントにしておくとたいていは問題がないと思われます。

12ポイントというのも多くのジャーナルが採用しているのですが、投稿規定をみて確認しておきます。

ダブルスペースというのは行間を2行分とるということで、ワードの機能で簡単に設定することができます。

なお、図の中に入れ込む文字は飾り気がないほうが見やすいので、ArialとかHelveticaが好まれるようです。

Question: “Which font looks best in a scientific figure?”
Answer: “Arial or Helvetica, always.” (“Which Font Looks Best in a Figure?”, Jillian M. Buriak, Chemistry of Materials 201628, 689–690.より抜粋)
Lettering should be in a sans-serif typeface, preferably Helvetica or Arial, the same font throughout all figures in the paper.   (Final submission, for authors, https://www.nature.com/nature/for-authors/final-submission より抜粋)

ということで、本文は12ポイント、ダブルスペース(2行)、Times New Romanで記載し、図はArialまたはHelveticaの5~7ポイントで記載するのがよいということになります。ジャーナルごとに必ず確認してください。

 

3.英語?米語?

英米の単語を使い分けることは重要です。イギリス英語なのかアメリカ英語なのか、ジャーナルの投稿規定を必ず確認してください。重要なのは、英文校正を依頼するときからいずれの言語にすべきかが変わります。投稿先がかわると英米の英語も変わりますので、要注意です。

 

4.略語について

Abbreviationやacronymはジャーナルで指定される略語は断わり無く使っていい場合があります。例えばAMは午前のことであるとか、mEqはmilliequivalentのことであるとかそういった常識的に用いられている略語についてです。

そうではなく、本文中でのみ通用する略語を自分たちが作って使う場合には、タイトルやアブストラクトを除き、最初にでてきたときにスペルアウトして括弧に略語を記載(例. fasting blood glucose (FBG))することになっています。しかし、あまり頻繁出でて来ない場合には略語を用いないようにしてください。ジャーナルごとに大体の目安が明示されている場合もありますのでご確認ください。

an abbreviation should be used five or more times in a manuscript; if its mention is more infrequent, then you should cite only the unabbreviated term. (Chicago Manual of Styleより抜粋)
Non-standard abbreviations should not be used unless they appear at least three times in the text. (PLOS ONE, Journal of Experimental Medicine, Journal of Immunology 他の投稿規定を参照)

最低でも3回は出てきてくれないと略語を用いない方がよいということになりそうです。

 

5.単位の表記

国際単位系(SI)を基本的には用いますが、各国の単位系にあわせさせられることも多々ありますのでこれもまた投稿規定をしっかり確認することが重要です。

いずれにしても基本的には単位を本文中、および図中に必ず記載することが重要です。

 

まとめ

論文のレイアウトの方法を概説しました。投稿規定を必ずしっかりと読み込むことが重要です。英文校正以前に、基本的なレイアウトは執筆者自らが頑張る必要がある部分です。そしてここは書いてあることを忠実に守ればよいのです。逆にここで手を抜いてしまうと、論文そのものの内容がいくら優れたものであっても、

基本的なルールも守れない人

という評価になってしまう可能性があります。一つ一つきっちりと仕上げていくことが肝心です。

投稿規定に従うために

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研究成果がまとまり、いざ論文を書こう!となったときに、投稿予定のジャーナルが指定する書式にしっかりと整えて行く作業が必要になります。今回は論文を書き始める前に確認すべきポイントについて概説したいと思います。

1.投稿規定はすべて読む

これはもう当然のことなのですが、投稿→リジェクト→投稿→リジェクト…のサイクルを繰り返してくるとうんざりしてくるものです。しかし、残念ながらジャーナルごとに見事なほどに投稿規定が異なりますので、すべて整え直さなければならないのが現実です。

その現実を踏まえ、みるべきポイントをいくつかご紹介します。

1.字数制限

本文、アブストラクトそれぞれに字数制限を確認する必要があります。アブストラクトは200~300 wordsのことが多いですがそれも本文に含まれるのか、またreference listや acknowledgementも本文にカウントすべきなのか、投稿規定を確認する必要があります。不明ならばエディトリアルに問い合わせをするのもよいでしょう。

2.タイトルページ

タイトル(±ショートタイトル)、著者名、所属、Corresponding authorはほとんどの雑誌で必要とされていますが、キーワード、字数なども入れる必要がある場合があります。

3.アブストラクトは構造化書式か否か

Rationale & Objective, Study Design, Setting & Participants, Exposures/Predictors, Outcomes, Analytical Approach, Results, Limitations, Conclusionsと分けて記載する場合もありますし、小見出しはつけないように指定してくる場合もありますので、従いましょう。

4.リファレンスの書き方

件数、本文中での書き方(文末の右肩に載せる、カギ括弧[]にする、など)、著者の数、First name, Family nameの順番や略し方、年・号・ページの並べ方など、書式が異なりますのでこれも確認が必要です。

最近では多くの研究者が活用している文献管理ソフトを用いて管理する方法もあります。特定のジャーナルの書式に合わせて整えてくれるので時間節約になります。(もちろん登録されていない場合もありますし、最新の投稿規定に従っていない場合もありますので、必ず最終的に目視確認をすることをオススメします。)

5.図表の描き方

manuscriptとは別にアップロードすることを求められたりしますので、そういったことを確認します。色つきにすると費用がどのくらいかかるか、色はRGB、CMKYなど指定がある場合があるので、確認しましょう。

 

2.統一投稿規定とは?

医学雑誌編集者国際委員会 International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE) が「医学雑誌掲載のための学術研究の実施、報告、編集、および出版に関する勧告」というものを出しています。多くのジャーナルでは個々に準拠した投稿規定にしていますので、ここで概要を把握しておくとよいでしょう。

この勧告の「IV. 原稿の作成および投稿 A. 医学雜誌に投稿する原稿の作成」に詳しくかかれています。

 

3.論文作成の声明と指針について

これまでにさまざまな研究デザインを対象とした報告ガイドラインが作成されています。

  1. 無作為化試験を対象としたCONSORT(www.consortstatement.org)
  2. 観察研究を対象としたSTROBE(http://strobe-statement.org/)
  3. システマティック・レビューおよびメタアナリシスを対象としたPRISMA(http://prisma-statement.org/)
  4. 診断の精度に関する研究を対象としたSTARD(www.stard-statement.org/)
  5. 予測指標の報告のためのガイドライン、TRIPOD声明(https://www.tripod-statement.org/)
       など

それぞれの研究デザインに合わせて報告ガイドラインに沿って論文が書かれているかを確認しておくとよいでしょう。また、ジャーナルによってはこれらの声明の出しているチェックリストを一緒に提出することを求めてくることもあります。

 

4.EQUATORネットワークについて

EQUATOR Networkは「Enhanching the QUAlity and Transparency Of health Research(健康研究の品質と透明性を強化する) Network」の略です。

健康・医学研究の透明で正確な報告を促進することによって、医学研究の信頼性を高めることを目指す国際団体です。主に診断、疫学研究、ランダム化比較試験、観察研究などを対象に、研究デザインや報告に関する新しい声明の作成や改訂を支援することを使命として活動しています。

 

5.CONSORT声明について

最後に1つだけ代表的なCONSORT声明についてご紹介しておきます。

これは、無作為化比較試験の報告のためのガイドラインです。

タイトルの付け方、背景・研究目的の記述、方法(対象者の集め方、無作為化割付の方法、評価項目、統計手法)、結果(対象者が決まって割り付けられるまでの流れ、ベースラインデータ、アウトカム、害)、考察(解釈、一般化可能性、限界)、その他(資金源、試験登録、試験プロトコル)などをどのように報告すべきかについて細かく規定しています。

無作為化試験を行う際には必ず確認しておかなければなりません。そして試験が終わって論文を書いて英文校正に出す前までにこれらのチェック項目を一つずつ確認しておく必要があります。

投稿先の雑誌の選択

3799971_s研究結果がまとまり、いよいよ論文化!という段階になったとき、どんな雑誌に投稿するかというのは非常に大きな選択になります。今回は、投稿する雑誌を選ぶ際にどのようなことを念頭に置くべきか、まとめてみました。

 

1.日本語雑誌か外国語雑誌か?

日本国内の学会に所属するジャーナルも近年では英語版のものが随分と増えてきましたが、それでも一般的には日本語でまとめることが多いかと思います。

外国のジャーナルであればどこの国のものであれ、ほとんどの場合英語でまとめることになるかと思います。

英語にすることのメリットは、読んでくれる人が増える可能性が高いということです。Pubmedなどでもアブストラクトを掲載してもらえますから、一部でも読んでくれる人が世界中にいることになります。その点は日本語雑誌を遙かにしのぐメリットとなります。

しかし英語といっても米国英語と英国英語で分かれますので、投稿する際には注意が必要です。英文校正を出す際にもBritish EnglishとAmerican Englishを指定する必要があるので必ず確認するようにしましょう。

また、単位系も異なることがあるため注意が必要です。投稿規定をしっかり読んで確認するようにしましょう。

 

2.学術雑誌か商業雑誌か?

学術雑誌は査読のプロセス(ピアレビューと呼ばれます)を経て出版可否の判断、内容の洗練に向けた科学的な審査を受けることが多いのですが、多くの商業雑誌は、このプロセスを経ることなく出版されます。しかしながらこのようなプロセスを経ないからといって価値がないわけではありません。実際、商業雑誌にも数多くの利点があります。

  1. 専門家の監修に基づき、そのとき話題になっているトピックが取り扱われやすい
  2. その道の専門家によるナラティブな意見を学べる (Expert opinionの宝庫)
  3. 国内の実情を俯瞰できる

その反面、ピアレビューを経ないことによる、次のような欠点もあります。

  1. 様々な立場の専門家による審査を経ないため、内容が偏る可能性がある
  2. 研究方法や内容の妥当性、信頼性が担保されにくい(特に最新の知見について)
  3. 世界標準からは逸脱している可能性がある
  4. 学術的な意味合いが薄いと解釈され、学位審査の対象とならない

以上のことから、最新の知見を発表する場としては学術誌を選ぶほうがよいでしょう。

 

3.月間誌か週刊誌か?

出版される頻度が高いほど採択される件数は増えるので、単純思考では採択率が増えると考えがちです。しかし同時にそれは人気のジャーナルであるがこそ、出版頻度が高くなっていると捉えることもできます。ジャーナルごとに独自に採択率を公表している場合があり、それを確認するのが一番手っ取り早いでしょう。

 

4.どの分野の雑誌であるのか?

臨床医学研究の場合を例にとると、「高血圧症」をテーマにした研究を行った場合、そのまま高血圧関連の学会やジャーナルでの発表を目指す以外に、循環器学、内分泌学、腎臓病学などがあり得ます。

また、臨床医学ではあっても疫学研究の要素が強ければ公衆衛生学、疫学などもターゲットジャーナルになり得ます。

研究手法で目新しい統計学的な手法を用いている場合には、そのような方法論について特化した分野の発表という形を取りうることもあるでしょう。

ところで、インパクトファクターという指標がありますが、これはどれだけ他の論文に引用されたかによって高くなります。要するに科学的な貢献度が高いと見なされるわけです。その領域の研究者が大勢いるときや多くの関連ジャーナルがある場合に一般的にこのインパクトファクターは高くなりがちです。その領域の規模にかなり依存しているとも言えます。分野が異なる場合に比較する意義は薄いとも言われていますので、「インパクトファクター至上主義」に陥るのはよいこととは思えません。しかし依然としてhigh-impact paperに採択されることを目標にすることは少なくはありません。

また、非常にニッチな分野のジャーナルに投稿してもそれが誰の目にもとまらなければ投稿する意義が薄れてしまうかもしれません。そこで敢えて自分の専門分野とは少しだけ畑違いの領域の、high-impact なジャーナルに投稿する場合もあります。

この場合、その領域の人なら誰でも常識的に考えていること、あるいは独特の不文律のようなものがある場合があります。普段自分が所属している領域との違いに戸惑う場合もありますので、その領域に詳しい人からアドバイスを貰うなどの対策を講じることによって有益な情報を得られる場合がありますので、検討してみてはどうでしょうか。

 

5.紙雑誌かオンラインの雑誌か?

昨今では紙媒体は廃止の方向になり、オンラインになっていっています。ページ数の制限が比較的融通が利くということ、さらにsupplementary materialを使えばそれこそ際限なく図表を追加できるからだと考えられます。

また、カラーで追加費用がかからずに済むこともあり、それもオンラインジャーナルのメリットかと思います。

しかし商業誌では依然として紙媒体が多く、実際に紙のほうが読みやすいと感じる読者も少なくないためしばらくは紙媒体での出版は残るものと思われます。

 

まとめ

投稿する雑誌の種類についてまとめました。学術的な価値を優先した場合には学術誌を優先すべきですし、世界中の読者に論文を読んでもらうためには英語で書くべきです。

また実際に英語で論文を書く際には、どんなに自分の英語力に自信がある場合でも、非ネイティブ言語で書いた論文は必ず校正サービスを受けましょう。思わぬところにミスがあるかもしれませんので、ダブルチェックにも活用できます。

適切なデータ収集と解析をする

688402_s捏造・改ざん・盗用は研究における三大御法度です。そしてこのようなことが起こらないようにするためには研究者自身が心を強く持つこと(一種の職業倫理ですね)が大事ですが、そういった不正が起こらない仕組みを整えることも重要です。研究に必要なデータの収集、保管、加工、解析のあり方について説明したいと思います。

 

1.収集するデータの種類と方法

研究で必要なデータを集める際には、データソースとデータ抽出方法によって注意すべき事がかわります。以前から臨床試験といえば患者個票(case report form:CRF)を記載し、事務局に提出する、というのが王道でしたが、近年は電子カルテなどのデータベースから必要なデータを抽出するという研究も徐々に増えてきました。

いずれの場合においても電子カルテなどの診療情報を元にしているのであればそれが「原資料」ということになります。

 

2.収集するデータの品質

データベースからどのようにデータを引っ張ってきたか、プログラムを保管してプロセスを管理しておく必要があるでしょう。

診療記録から転記して作成するCRFは、原資料ときちんと整合性がとれているかをモニタリングする必要がある場合があります。

同じように診療記録からの転記をパソコンやタブレット上でおこなうこともあります。Electric data capture (EDC)といわれますが、代表的なのがREDCapなどですが、これは修正した場合に自動的にログが残ることで改ざんを防止する仕組みになっています。

研究を実施するためのデータがどのように現実に起こっていることを反映しているか、プロセスを含めて透明性を高め、追跡可能性(トレーサビリティ)を担保しておくことが重要です。

 

3.データクリーニングと解析について

収集してきたデータをそのままの形で解析することはできません。欠損の確認、外れ値、入力ミス、転記ミスなどがあるかもしれません。また解析に必要な変数を既存のパラメータの組み合わせによって生成する必要もあります。

そのようなプロセスをデータクリーニングといいます。

研究期間中にデータを預かるデータセンターが重大な欠損値、外れ値、入力・転記ミスが疑われるデータについて、研究を実施している施設に照会をするといったことがモニタリングといいます。実際に施設を訪問することもあります。

データ固定後は研究者自身によりデータ加工を行うことになります。このときにどのようにデータを加工したか、欠損値をどのように扱ったかなどはすべて研究論文に記載することが必要なことです。

あとから結果に疑義が生じた場合にそれを追跡できることが必要ですので、クリーニングのプロセスや解析のプロセスの可視化しておくことが望まれます。そこで研究者自身が解析ソフトなどをプログラミングベースで取り扱えるようにしておくことが重要です。

 

4.データの保管について

医学研究のデータは個人情報だらけです。従ってその取り扱いはたとえ氏名や住所などの個人を識別する情報が削除されていても十分に注意を払って取り扱うべきです。

連結表がある場合はその連結表を使って個人を特定することができるため、研究用データとは別に保管する必要があります。

そして、研究結果の信頼性担保のため、研究が終わって成果が発表されてからもさらに数年間は保管することが義務づけられています。

侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、少なくとも、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管(医学系指針第 20 (5))

このように研究対象者の情報保護と研究結果の信頼性担保の意味からデータ保管については細心の注意を払う必要があります。

 

5.データの”操作”をしない

捏造・改ざんは厳禁です。しかし人間は弱い生き物です。成果を出さねばならないプレッシャーなどが人の心を歪めてしまうことは残念ながらありえます。

重要なことは、そういったことが起こらない体制を整えることです。組織としてガバナンスを確立することに合わせ、研究者個人のレベルでも透明性を高めておくことが重要です。

組織として不正を防止する手立てとして以下のような方法が考えられます。

  • 監査証跡を残せるEDCをデータ収集に用いる
  • 研究計画書・解析計画書の事前提出
  • セキュアなデータ保管のためのサイバースペースの確保(入退室管理などの物理的管理も含める)
  • モニタリング手順、データクリーニングのプロセス可視化
  • 解析プログラムのダブルチェック(別の共著者に実施してもらうなど)
  • 解析実施記録(またはログ)保管の義務化
  • 論文執筆時に剽窃防止のため英文校正前後で剽窃チェックツールを使用する

研究の種類によってはここまでの厳しさは要求されないでしょうが、これらの法規はどんどん厳しい方向に向かっています。できることからはじめてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

捏造・改ざん・盗用の三大御法度を防止するためにも研究用データの管理の一連のプロセスの可視化は非常に重要です。何より研究対象者のプライバシー保護のためにも個人情報保護の重要性はますます重要性を増しています。

研究登録はお済みですか?

9f9d2225992945fe1560f982a6713c1b_s介入を伴う研究は、対象者に身体的・心理的苦痛を与えうるのにもかかわらず、研究者にとって都合のよい結果しか公表されない可能性があり、それは倫理的に許されないだろうという機運が高まりました。その結果、介入を伴う研究実施に先だって臨床試験を登録する必要があります。今回はその臨床試験登録について説明します。

 

1.登録とは?

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(医学系指針)には次の様に記載されています。

介入を行う研究について、国立大学附属病院長会議、一般財団法人日本医薬情報センター又は公益社団法人日本医師会が設置している公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じ て適宜更新しなければならず、また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録しなければならない。(医学系指針 第9の1)

つまり、研究を実施する前に何らかの方法で研究を登録することが必要ということになります。どうしてこういうことが必要なのでしょうか?それは以下の様に記載されています。

介入を行う研究については、研究のために介入行為をするにもかかわらず、研究者等にとって都合のよい研究結果だけが公開されることを防ぐため、あらかじめ研究の概要を登録するとともに、研究過程における透明性を確保する観点から、進捗状況について登録する必要がある。(医学系指針ガイダンス 第9の1)

確かに、身体的精神的な苦痛を味わってまで行った研究が日の目を見なかったら、参加者としてはやるせないですね。それが倫理的に問題である、ということなのです。これは国際的にももちろんそのような流れがあります(【医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors: ICMJE), 2004)。

臨床試験登録が必要な理由は以下の3つを解決することです。

  1. 出版バイアス:いいとこ取りの研究結果だけが公表されないように
  2. 倫理的問題:折角痛い思いをしたのに…とならないように
  3. 参加者の募集の助けに:情報を公開することによりより多くの人に参加してもらえるようになります

事前に登録がされていない研究論文は雑誌に受理されないという流れになってきています。論文を投稿する際に、clinical trial registrationについて聞かれることが多いと思いますが、きちんとした基準を満たしたポータルサイトに登録しておくことが重要です。

 

2.登録が必要な研究

介入を要する研究は事前に登録することが必要ですが、逆に介入を伴わない観察研究では必ずしも登録を必要としません。

しかし注意したいのは、ここで言う「介入」は、疫学的な用語としての介入研究とは異なり、診断のための検査においても侵襲が加わりますので、診療ではなく研究を目的として侵襲を加えるような検査を行うことも含まれます

また、近年、臨床試験における研究不正が大きく問題になり、「臨床研究法」という新しい法律に基づいて実施するべき研究というのが別のカテゴリとして設定されました。この法律に則って行う研究を「特定臨床研究」と呼びますが、もちろん臨床試験登録が必要です。

この法律ができることによってかなり複雑な法整備の印象を与えることとなってしまいました。英文校正を依頼するときにこの「臨床研究法」とか「特定臨床研究」といった用語を理解して貰うのに少し手間取った経験があります。

 

製薬企業から資金の提供を受けて行われる臨床研究

研究の実施に必要な資金を、製薬企業から提供を受けて実施する場合がこれにあたります。

病院と製薬企業が契約を結び、提供を受ける研究費の金額や使用目的を明確にしたうえで、透明性を確保して行われます。

 

国内で“未承認”あるいは“適応外”の、医薬品等を用いて行われる臨床研究

新しい薬・機器・再生医療等製品は、国の承認を受けることで適応疾患に対して使えるようになります。

日本国内では承認されていない薬を“未承認薬”といい、ある疾患に対しては承認されているものの別の疾患への効能は承認されていない薬を“適応外薬”といいます。

未承認あるいは適応外の医薬品等を用いて、新しい治療法を確立するための臨床研究が行われる場合、この法律が適用されます。

そして登録は事前にないと無効で、登録は研究開始前、すなわち最初の対象者に接するまでに行うことが要求されますので注意が必要です。

 

3.登録先

医学系指針が適用される研究の登録先は、以下の様なものが知られています。

日本:

アメリカ:

特定臨床研究の場合には、jRCT (Japan Registry of Clinical Trials) というところに登録することが必要となります。

 

登録の具体的な方法としては、いずれのサイトもまずはアカウントを開く必要があります。そしてそれぞれのサイトのガイダンスに従って登録していきます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。臨床試験登録は何らかの介入が被験者に対して実施されるときに適用されます。このとき最初の症例が登録される前に試験を登録しておかなければなりませんので注意が必要です。

倫理事項を遵守しよう!

1843455_s人を対象とした臨床研究を実施する上では、被験者を保護することが第一優先事項となっています。被験者を保護するために様々な倫理的な観点での取り決めがあり、国際的な標準と国内の規制に則って研究を行う必要があります。

今回は研究者が守るべき倫理について説明したいと思います。

 

1.人間を対象とする医学研究の倫理的原則 ーヘルシンキ宣言ー

第二次世界大戦中のナチス・ドイツの非人道的な人体実験に対する反省から、世界医師会(World Medical Association, WMA)によって1964年にフィンランドのヘルシンキで採択された倫理原則であり、以後修正を繰り返し今日に至るまで人を対象とした医学研究の倫理的な礎となっています。

この宣言には重要な事項がいくつも盛り込まれていますが、特に重要なポイントが、

  • 個人に対する尊重
  • 自己決定権
  • 研究への参加に関する情報に基づいた決定(インフォームド・コンセント)を行う権利

です。個人の尊重にはプライバシーの保護も含まれ、個人情報の保護が近年では最大の争点の1つとなっています。

医学研究はすべての被験者に対する配慮を推進かつ保証し、その健康と権利を擁護するための倫理基準に従わなければならず、人を対象とするすべての医学研究はヘルシンキ宣言を遵守する必要があります。

 

2.日本における倫理指針

我が国では、人を対象とする研究を実施する際の指針や法が近年やや複雑化していますが、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年12月22日 (平成29年2月28日一部改正))」(以下、医学系指針)に基づいて臨床研究を実施するのが基本となっています。内容としては以下の点に集約されます。

  • 研究者が負うべき責務
  • 研究対象者の保護(有害事象への対応、インフォームドコンセント、個人情報保護)
  • 研究の信頼性確保

数年前に起こった研究不正に端を発し、研究倫理の大幅な見直しが行われました。具体的には2017年に医学系指針の内容改訂が行われたことと、臨床研究法が制定されたことです。

まず、医学系指針においては以下のことが追加されました。

  • 1.(特に個人情報に関する)用語の定義の追加・ 見直し
  • 2.インフォームド・コ ンセント等の手続き の見直し
  • 3.第三者提供時の記録 の作成等の追加
  • 4.海外への試料・情報 の提供手続きの追加
  • 5.匿名加工情報等の取 扱手続きの追加
  • 6.研究に関する試料・情報等の保管

この改定では個人情報の取り扱いが大きく問題になりました。これまで単独で個人を特定できるような情報のみを個人情報として捉えていたのですが、病歴も含めて個人情報である(具体的には要配慮個人情報)、という考えの基でこれらの情報をしっかり保護しよう、という内容に変わりました。匿名化されていたとしても個人情報であることには変わりがないので、しっかりと保護しましょう、ということで、原則的に本人からの同意を得るようにということになったのです。ただし本人からの同意取得が困難で、公益性の高い医学研究であって被験者に拒否の機会が与えられるときに限っては例外的に本人からの同意はとらなくてもよい、ということになりました。第三者や海外への情報提供について新たに手続きの仕方が盛り込まれたのも、個人情報の保護に関する考えが根底にあります。

そして研究に関する試料・情報の保管に関しても、研究不正が起こらないように研究終了後も情報を保管しておく義務が生じました。具体的には、介入研究に関わる情報等は、研究終了後5年または最終公表後3年のいずれか遅い日まで保管しなければならなくなりました。

そして「臨床研究法」が「企業から資金提供」「未承認・適応外薬」の臨床研究(=特定臨床研究)を規制する目的で制定され、2018年4月より施行されました。前述の医学系指針との大きな違いは、「法律」であること(=違反した場合に罰則がありうる)です。通常の医学系研究とは運用する決まりが異なるため、最初にまず特定臨床研究にあてはまるかどうか、という点を鑑別せねばならない、という点が煩雑です。

 

3.研究計画書の作成について

前述の医学系指針において、「人を対象とした医学系研究を実施(研究計画書を変更して実施する場合を含む。) しようとするときは、あらかじめ研究計画書を作成し、倫理 審査委員会の審査、研究機関の長の許可を受けることが必要」と明記されています。

記載が必要とされる項目を要約すると以下のようなものになります。

  • どんな研究を、誰が、どのデータを使って、どのように行うのか(方法)
  • 研究を実施する正当性(理論的な根拠や意義)
  • 研究対象者が被る利益・不利益
  • 研究対象者に対する侵襲の程度(侵襲あり・軽微な侵襲あり・侵襲なし)
  • 研究対象者の権利保護(インフォームドコンセントな個人情報保護)

より具体的な項目を知りたい方はこちらのリンクを参照してください。(人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス

そして施設の倫理審査委員会において審査・承認の手続きを踏むことになります。

 

4.インフォームドコンセント

インフォームドコンセントはヘルシンキ宣言にも医学系指針においても明記される研究対象者保護のための重要なコンセプトです。一部の例外を除いて原則研究対象者へのインフォームドコンセントは義務となっています。例外としては、

  • 侵襲がない
  • 介入がない
  • 生体から試料を採取しない

という場合に限られ、また要配慮個人情報を含む場合はこれらの条件があっても原則としては必須です。しかし同意取得が極めて困難な状況(ご本人が死亡している、など)にある場合には、研究内容の公開と本人または代諾者による研究参加への拒否の機会が保証されている場合に限り、オプトアウト(明示的な拒否の意思表示があったときのみ研究対象から外れること)でよいとされます。

 

まとめ

研究を実施する際には必ず研究計画書を作成するのですが、このときに研究対象者の保護を考える必要があります。これは情緒的なものではなく、きちんとした手続きに則って進めていく必要があり、適切に成されない場合には処罰の対象となりますので十分注意が必要です。

また、論文中にも研究倫理についてはしっかりと述べられることが求められます。論文を書き上げて英文校正に出す前に、記載漏れがないかもう一度よく確かめるようにしましょう。

仮説の検証が可能な統計を設定しよう!

1224206_s研究を実施するときに、得られたデータを客観的に評価するときに統計学的に検定を行うことが多いですが、適切な統計手法を選んで実行することが必要です。最低限の生物統計に関する知識が必要といえます。しかし詳しく統計学を学ぶ前に、押さえておきたい最低限のことについて今回は説明してみたいと思います。

 

統計法も研究前に決める

研究計画書を作成するときにサンプルサイズを最初の段階で決めておくことはすでに述べているのですが、統計手法についても研究を行う前に決めておくことが必要です。世の中には様々な統計手法が存在しています。手当たり次第に実施すると少しずつ結果が異なることがあります。

もし最初の段階で指定していない場合には、都合のよい方法を選択してしまう可能性があり、いわゆる「後出しじゃんけん」状態になってしまうことがあります。これでは研究の公平性が担保されません。よってどのような集団にどんな統計手法をどの段階で用いて検定するのかを指定しておくことが重要です。

主に介入を要する研究においてはこのような厳密な方法をとることが一般的です。後ろ向きの観察研究においてはその限りではありませんが、どちらにしても計画段階でどのような統計手法を用いるかについては十分に議論を尽くしておくことが重要です。

最初の段階で統計まで含めて議論しておけば論文の「方法」の部分はもう書くことができます。それだけかけたからと言って英文校正にだすのは請求ですが…。

 

仮説の検証が可能な統計法を用いる

そもそも統計を使う目的というのは、何らかの差を検出するために行うのですが、結果は実質的な差、比べる群内のばらつき、サンプル数に依存します。つまり数を増やせば非常に小さな差であっても統計学的には有意になってしまう可能性があるということが言えます。

自分が示そうと思っている仮説が正しく検証できているかどうかは、実質的な差がきちんと存在していて初めて成立するものであるはずです。

サンプルサイズが少なかった

という言い訳を時々耳にすることがありますが、それはどんな研究結果においても大なり小なり成立しうることですので、結果が有意でなかったときにはサンプルサイズが小さかったことだけで説明しようとしてしまうのは乱暴なのです。

また適切な統計モデルを選択するということと正しい前提に基づいたモデルのあてはめ、というのも重要です。

線形の関係(Yに対するXの関係が直線的であること。Xが1増えるとYがいくつ増える、というのが正比例するもの)になっていなければ成立しないモデルであるにもかかわらず、YとXの関係がU字型の相関を持っている、などの状況ではうまく当てはまりません。

また、「比例ハザードモデル」という医学研究でよくつかわれる統計モデルは、二つの曝露状態におけるハザード関数が平行であることが前提として必要です。そういった前提が崩れてしまったときの対処方法も含めて計画しておく必要があります。

このように、統計モデルの最低限の前提を確認することは非常に重要です。

 

エフェクトサイズと信頼区間について

エフェクトサイズ、というのは実質的な効果量のことを指します。何かの治療が、何もしなかった場合に比べてどのくらい効果があるのか、あるいは何かの危険因子がある場合、ない場合と比べてどのくらい危険性があがるのか、ということを示します。多くの場合は発生率の比をとるか差をとることになります。

そして真実の値というのはサンプル集団に応じて微妙に変化します。この真実の値のばらつき具合を表現したものが信頼区間ということになります。統計モデルでは一つの効果量である点推定値と信頼区間(通常は95%信頼区間)が出力されます。

比で効果の比較を行った場合には、発生率比が大きくなるときは信頼区間の下限が1を超えていると有意である、と言えます。逆に発生率比が下回るときには信頼区間の上限が1を下回るときに有意であると判断されます。いずれにしても信頼区間の中に1を含まないことで統計学的な有意性を示すことができます。

差で効果の比較を行った場合には0を信頼区間の中に含まないことで統計学的な有意性を示すことができます。

さらに効果の差の逆数、特に発生率の引き算の逆数を取ることでNumber needed to treat(=何人に治療薬を使うとイベントの発生を防ぐことができるか)を求めることができます。これも効果の大きさを表現するのに便利な指標になります。

重要なのは、単にP値のみに着目するのではなく、効果の大きさ自体に着目するということです。

 

まとめ

このように、研究を実施することを決めた後には研究計画の中に統計学的な検討を加えることが必須です。統計を考慮に入れることで前もって症例数を見積もることができ、また効果の推定を正しく行うことができます。最初の段階で計画しておくことが重要ということになります。

効果の推定は比や差で表現しますが、信頼区間がそれぞれ1,0を跨がないことで統計学的な有意性を示すことができます。

重要なのは、統計学的に有意であるかどうかだけではなく、効果の大きさを表現すること、そのために点推定値と信頼区間を評価することが重要です。研究計画段階でそのような統計学的な検討をしっかり行っておくことが重要です。

対象者を設定しよう!

967007_s人を対象とした研究(臨床研究)を実施する上で、どんな人を対象にして、どのくらいの人数規模で実施するか、ということは非常に切実です。また対象者の選び方によっては大きく偏りがでてしまうことがあります。研究の対象となる集団を適切に選び出し、適切な人数だけを偏りなく集めるためにはどうすればいいのでしょうか?今回はその解説を行います。

対象者が母集団の代表となるように設定する

ある研究を実施するとき、対象となる集団を想定しますが、そういった対象集団のことを「母集団」と言います。より正確に言えば、母集団とは、「条件を満たすすべての患者」ということになります。研究対象者はその母集団から「ランダムに」抽出した代表者である必要があります。現実の世界から限られた数の標本を集めることを「サンプリング」といい、そのような集団のことを「サンプル」と呼びます。よく誤解されるポイントですが、選び出された集団のことを母集団とは呼ばないことに注意しましょう。

ではどのように選んでくるのでしょうか?そこら辺にいる人を捕まえてくればよい、という条件のものから、ある特定の疾病、あるいは投薬を受けている患者であって、研究に適したタイミングである、という厳しい条件が必要な場合もあり、サンプリングの難易度はバラエティーに富んでいます。しかしここで注意したいのは、背景特性に偏りがあると、選択バイアスを生じうるため、比較の質を落としかねない、ということです。

母集団を適切に設定するために選択基準と除外基準をしっかり決める必要があります。これを元にして現実の世界では研究対象者を集めてきます。

偏りがないように集めるにはどうしたらよいでしょうか?一人の医療従事者の担当する患者さんだけよりも複数のほうがよいですし、病院全体の傾向をつかむのに1つの病棟だけよりも複数の病棟のほうがよいでしょう。また、より大規模な研究となってきた場合には単施設よりは多施設のほうが偏りは少ないとされます。このように施設を増やすことで、単純にサンプル数を増やすという事以上のメリットがあるのです。

必要十分な対象者を設定する

では、対象者の数はどのように決めるのでしょうか?それには2つの約束があります。

  1. 必要対象者を研究開始前に決める必要がある
  2. 必要対象者数は主要評価項目に対して求める必要がある

対象者数を研究開始前に決める必要性について

「サンプルサイズ設計」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?これは研究を始める前に必ず行う統計手法の1つで、必要な標本の数を見積もるために行います。

多ければ多いほどよいのか、というとそうではありません。数が多すぎることで統計学的な有意差が付きやすくなるのが一つ目の理由です。事前の仮説があって、その仮説を示すに必要十分な症例数というのは計算上求めることができます。詳しくは正書に譲りますが、そのサンプルサイズ設計に基づいて必要症例数を算出することを事前に行うことが求められるのです。また、もう一つの理由としては、コストがかかりすぎる、ということです。対象者1人増える毎に書かねばならぬ書類はそれだけ増えますし、検査や治療薬にもお金がかかります。なのでできる限り最小限で抑えたい、というのが偽らざる本音でもあるのです。

必要対象者数は主要評価項目に対して求めなければならない点について

臨床試験のエンドポイントというのは一次エンドポイントと二次エンドポイントとありますが、必ず一次エンドポイントに基づいて設計を行う必要があります。これは、例えばランダム化比較試験などを行うときにはそのエンドポイントに基づいてサンプル設計をし、ランダム化を行うからです。二次エンドポイントに基づいて計算としてしまうと、後出しじゃんけんになってしまうというのが問題です。また、特に介入研究においてはプライマリーエンドポイントのみが本来の正しい結果として解釈されます。つまりそれ以外のアウトカムを中心に論じるときにはすでにそれは介入研究の域を出てしまっているかも知れないのです。

まとめ

以上まとめますと、必要症例数は事前に十分な検討を行う必要があるということ、そして一次エンドポイントに基づいて症例数設計を行うということが最重要ポイントとなります。これは決まりきったお作法なので、きちんと従来からの方法を押さえておけばよいということになります。また、文章としては非常に明快であり、すでに出版されている数多くの論文にある記載から大きく外れることは少ないと思われますので、過去の論文を読み込んで記載の参考にされるとよいと思います。もちろん剽窃は問題です。英文校正に出す際にはそういった剽窃がないかについてご自身での確認や専用のソフトウェア、あるいは校正者に直接お願いされることをお勧めします。

 

目的に合った研究を組み立てる

1246029_l素晴らしい研究成果を挙げるためには研究目的を設定することが重要です。核となる研究目的をしっかりかためること、そして核となる研究目的に合う研究をどのように組み立てていけばよいのか、について解説したいと思います。

 

優れた研究目的を設定するために必要な要素

優れた研究目的を設定するためには、いかに優れた仮説を案出できるかにかかっています。そしてその仮説を構成する要素に分解する作業も必要です。このようにして目的を設定するための要素を揃えていきます。

 

仮説の設定

仮説がどのように生み出されるかといえば、日頃から疑問に思っていることやこれまでの知見から予想を立てることになります。

「答えがわかっているのなら調べる必要はないのではないか?」

そんな声が聞こえてくるかもしれませんが、誰かが証明したことがないことを事実として仮定して動いていることというのは実はたくさんあります。しかし本来はどんなに些細なことであっても直接的に答えが示されていない限りは証明する余地が残っています。

 

「わからないから調べるのではないですか?」

これもありがちな疑問です。確かにわからないから調べるわけですが、「結果を予想する」というのは実は重要なプロセスです。研究を行うのは、予想した結果が正しいかどうかだけでなく、その背景やメカニズムに対する考察の正しさも確かめることになります。

 

「予想したのと違っていたらどうするんですか?」

予想と違う結果であったということは立てた仮説が間違っていたことを意味するのかというと、そうとも限りません。どうして結果が予想と違っていたのかを考察することで違う可能性を検討するきっかけにもなります。事実そのような考察から新しい発見が生まれたことは珍しいことではありません。

 

評価項目の設定

一度仮説を思いついたら、何を最終的に評価するのか、具体化していく作業が必要になります。疑問を解決するためのフィールドとして、医学研究は基礎研究と臨床研究に分かれますが、そのどちらのフィールドを用いて仮説を証明するのかをまずは決めることになります。

基礎研究であれ臨床研究であれ、まずは「何かの条件Aに対して結果Bが導かれる」という命題の形に落とし込みます。A⇒Bに対する因果関係を示すことを意識した場合に、B⇒Aとなる関係を否定し、順行性にA⇒Bであることを示すことが必要です。そのためにはAとBを明確に定義することが重要です。

臨床研究ではさらに、以下の要素に分けることが一般的です。

  • 研究対象集団(Participants)
  • 介入(Intervention)あるいは曝露因子(Exposure)
  • 比較対照(Comparison/Control)
  • 結果(Outcome)

どのような対象集団を想定して、どのような集団からサンプルしてくるのか。実はこの部分が研究のフィールドを決める第一歩になります。先進国の高齢者を対象とした研究を想定しているのに、若い人しか住んでいない地域の住民コホートを使うのは正しい結論が得られるとは思えませんし、入院患者のデータ解析をするのに大学病院のデータしか集められなければ偏った集団になってしまうでしょう。

介入や曝露因子についても定義を明確に決める必要があります。

そして重要なのはアウトカムの設定です。例えば「死亡」は、厳然たる事実になるので誤分類が起こりにくく、ハードアウトカムと呼ばれます。それ以外にも代理アウトカム(サロゲート)という考え方があり、これにはあるバイオマーカーの上昇や画像所見、疾患の発症などというものが含まれます。ハードアウトカムは結果がぶれないのが利点ですが、数多く起こらないこともあるために研究として実施する場合にサンプル数がとても多くなることがあります。これに対してサロゲートアウトカムは、数を揃えることが比較的容易な一方、定義付けが曖昧だとバイアスを生み出す可能性があります。

 

まとめ

よい学術論文を書くためにはしっかりとした目的を持つことの重要性が認識できたでしょうか。さらに優れた研究目的のためには仮説を立てることが重要です。立てた仮説がいつも正しいとは限りませんが、仮説を立てるに至るまでにきちんと筋道を立てることは最終的に論文を書くときにも生きてきます。

筋道が整った研究は英文校正を行う際にも校正者に意図が伝わりやすいという事実があります。よい論文を作るための第一歩として研究目的の明確化・仮説の呈示を中心として組み立てていくことが重要です。