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論文の執筆に一生懸命になりすぎて、ついやってしまいがちなご法度表現

論文の執筆に一生懸命になりすぎて、ついやってしまいがちなご法度表現

5194615_s研究成果をまとめて論文にまとめる段階では、研究を実施するときはまた異なる難しさに直面します。今回は、研究成果をまとめて世に出す際にやってしまいがちな御法度表現についてまとめてみました。

 

1.自分が理解できないことは書かない

当然のことですが、論文を執筆する際には自分が実施してきたことをその通りに記載することが基本です。

自分が理解できないままに研究を実施することというのは理論的にはあり得ないはずですが、難しい実験理論、解析手法などについては理解が及ばない部分がでてくるかもしれません。

その研究手法を専門に実施しているような研究コミュニティの人達が原理的な部分について論文を執筆するときにはかなり厳密に方法を記述する必要がありますが、一般の臨床医にとってそこまで方法の詳述にこだわらなくてもよい場合があります。

自分がよくわかっていないことは、少なからず理解が難しいと感じる人が読者にもいるはずですので、自分が理解できた内容を、自分の言葉で表現するようにするとよいでしょう。

専門家が書く文章よりもわかりやすいでしょうし、読みやすいと思います。ただし、正しくないことは記載してはなりません。専門家が読んでも許容できるくらいに、詳細部分が省かれている程度が理想ですが、ケースバイケースです。このような場合には専門家の立場と臨床医の立場の両方から意見をもらえるのがベストです。

そして英文校正をする際には自分がわかっているレベルでやや詳しく記載することがよいと思われます。冗長な表現を削除することはあとからできますが、校正者が理解できなければ正しく校正を行うことはできません。

 

2.文学的な文章は避ける

自分の研究内容への思い入れが強すぎてつい気持ちがこもりすぎた文章になってしまうことはないでしょうか。もちろんある程度の主張は必要ですが、それが事実からの飛躍が過ぎて「物語」になってしまわないようにしなければいけません。

もちろん、物語としての「仮説」は研究者の頭にきちんと思い描くことは言うまでも無く大切なことですが。

結果の記載は事実に100%基づいて行うこと、そして、考察では見いだした結果を強調することは大切ですが、表現はどちらかと言えば保守的に書くよう心がけるほうがよいでしょう。

 

3.結果と解釈を混同する

科学論文は明確な事実に基づいて結果を淡々と述べ、それを解釈するのが基本です。

「事実を記述(describe)することと、結果を解釈(interpret)することは分けるべきである」

ということを時々耳にすることがあるかもしれませんが、これは科学論文を書く上では非常に重要です。

事実を記述する際には結果のみを述べることです。ここに解釈を交えることは御法度です。

 

4.曖昧で誤解される表現は避ける

誤解される表現を避けること、と一言で言われてもピンとこないこともあるでしょう。

以下の例を見ていただくと少しイメージが湧いてくるのではないでしょうか。

  • 比較級で述べる際に、比較対照について言及しない → 何と比較してどうなのかがわからない
  • 相対リスクやオッズ比などを述べる時に、参照カテゴリーを明示しない → 何と比較しているかわからない
  • 「~含む」「~のような」「~など」という言葉は日本語にしばしば登場するが、論文としては言及している範囲を明確にすべきであり、避けるべき
  • 受動態表現のため、主体が不明になる → 原則として論文は能動態で書くべき

 

まとめ

論文における御法度表現、いかがでしたでしょうか?

日本語の話し言葉は曖昧さに満ちているため、曖昧な表現が増えがちです。科学論文では曖昧さを排除し、事実に基づいて記載することが大事です。

曖昧さが残る文章は、英文校正もしづらく、正しく意図がくみ取ってもら得ない可能性があります。これらのことを意識しながら論文を記載していきましょう。