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2020 7月

論文の雑誌掲載の実情について

実情

研究成果を残すという意味で、論文は最終的な目標地点になりますが、すべての研究論文が無事に受理されるわけではありません.

研究の世の中に対するインパクト、研究そのものの質、結果の頑健性・信頼性などを総合的に評価してジャーナルに採択されるわけですが、それ以外にも掲載に至るまでのプロセスに時間がかかる場合があります.

すべての論文が出版されるわけではない、その理由を、ジャーナル側の実情に合わせて述べていきたいと思います.

 

なぜ全ての論文が出版されないのか?

論文が出版にこぎつけるまでに、

  1. 編集部におけるチェック
  2. 査読
  3. 出版プロセス

の過程を経る必要があります. 編集部によるチェックでふるい落とされるものがかなり多いのが実情で、トップジャーナルでは3分の1程度(あるいはそれ以下)しか査読に回らないとも言われます.

また、編集部による確認を終えた後にも査読者がなかなか見つからないなどの問題があり、時間がかかります.

査読に回ったあとにも厳しいジャッジを受けます. 一流の雑誌であるNatureでは採択率は5%以下と言われています.

論文に掲載されない理由としては、論文も多すぎれば質を損ねる、ということがあると思われます. ジャーナル側としてはインパクトファクターを上げたいと考えていますので、出版後の2年間での被引用数が期待できないような、話題性の乏しい研究は採択率がどうしても下がりがちです.

つまり、論文出版に至る労力と、出版後の研究論文自体のインパクト(=購読者の増加に直結)によって数がある程度制限されてしまう、ということになります.

また、数が多すぎてしまうことで紙媒体のジャーナルは「印刷」という負荷を強いられることになります. このことも数を制限する理由の1つになりますが、eJournal、Open accessのオンライン出版に関してはこの点をクリアできることになります. Open accessの出版に関して障壁になるのは適切な査読者を無事に見つけることが困難になってきていることが原因と言われています.

実際、Open accessでは比較的歴史のある、とあるジャーナルに投稿した際、「2ヶ月で出版に至る」、といううたい文句であったにもかかわらず、2ヶ月経っても査読者を見つけることができなかった、ということがありました.

 

雑誌容量の限界

Open accessではあまり気にされることのない、雑誌容量ですが、冊子体になると話は別です.

ここには厳しい制限があります. あるジャーナルでは週に1冊発行しているのに対し、別のジャーナルでは2~3ヶ月に1冊発行している、といった具合に、ジャーナルによって発行頻度は異なりますが、冊子を手にしたときに掲載されている論文数を見れば自ずとその雑誌が処理できる論文数は限りがあることがわかるでしょう.

 

あなたの研究を掲載に至らせるために

このように、ジャーナル側の都合によっても掲載の上限がある程度決まってしまう、という現状の中で、いかにして論文を掲載してもらえるようになるか、というのは非常に重要な課題です.

日本の研究業績が世界からみて徐々にその順位を下げてきています. 対照的に中国が論文数、研究へのインパクトともに急激にそのプレゼンスを上げてきています.

研究に莫大な資金を投入し、研究者には論文出版に対するインセンティブを与えています. また、広大な国土、非常に多くの人口を抱えていることで研究対象者を容易に集めることができるなどという点からも今後もますますその存在感を増すことでしょう.

では我々に何ができるか. 日本人の緻密で丁寧な仕事には依然として高い評価を受けている印象があります. 自分達の研究の重要性を存分にアピールすることも重要です.

論文を投稿する際に添付するCover letterには自分の研究について簡潔・端的にアピールすることを許されています.

ここを疎かにしない、というのが1つのやり方です. 論文本文だけではなく、Cover letterにも力を注ぐこと、そしてできあがった文章に対して英文校正を行って読み手に不信感を抱かせないこと、ということも非常に重要です.

 

まとめ

今回の記事では、論文が掲載されないことの理由として、ジャーナル側の舞台裏から説明していきました.

ジャーナル側の門戸を通過するのに制限があるならば、自分の研究の重要性をしっかりと主張することが重要です.

入念な推敲と英文校正であなたの論文をアクセプトさせましょう.

研究、論文不正への対処

不正

あってはならないことではありますが、しかし研究を実施する人間は必ず肝に銘じておかねばならないことがあります。
それは、「研究不正」です。
故意に実行してしまう場合もあれば、全くの不注意でそのような事態に陥ることだってあり得ます。本項では、「研究不正」という落とし穴にいかにはまらないようにするためにどのような対策をとるべきかについて、考えてみたいと思います。

 

「研究不正」という名の落とし穴

「研究不正」

そう聞いて自分のこととして耳を傾けようとする人はそんなに多くないと思います。
人はみな、「自分は大丈夫」という根拠の希薄な自信を抱いているからです。自分は平均的な科学者であり、立身出世の欲も人並み、研究成果も人並みに出ればよい。
そう思っている人に対しても、この「研究不正」の落とし穴は待ち構えているのです。

例えばこんなケースを想像してみてください。

  1. 研究計画書を作成して倫理委員会に申請しないままに臨床研究を実施した
  2. 対象者からの同意書を保管していたがどこにあるかわからない
  3. 研究実施承認書が倫理委員会から発行されたことを認識していない
  4. 同じような内容の論文を別々のジャーナルに投稿した
  5. 利益相反に関する申告書類をここ数年ずっと更新していない

 

これらは直ちに重大な事が生じる訳ではないが、いつか手痛い仕打ちを受けることになる可能性のある行為をリストアップしています。
上記の状態に陥っていることを自覚しているならば、ただちに手立てを講じるべきです。

日本学術会議・科学倫理検討委員会(2009年)によれば以下の11項目が我が国で報告される研究不正の主なケースとのことです。

  1. データのねつ造
  2. データの改ざん(矛盾データの恣意的削除)
  3. 研究成果やアイデアの盗用、論文の剽窃
  4. 不適正なオーサーシップ
  5. 個人情報の不適切な扱い、プライパシーの侵害
  6. 研究資金の不正使用
  7. 論文の多重投稿
  8. 研究成果の紹介や研究費申請における過大表現
  9. 研究環境でのハラスメント
  10. 研究資金提供者の圧力による、研究方法や成果の変更
  11. 利益相反

うっかりでは済まされないのが研究不正です。研究計画書の申請書類一式、倫理委員会からの研究実施承認書、対象者からの同意書などの重要書類をしっかり管理することです。
研究テーマごとにフォルダを作成して鍵のかかるラックなどに入れて厳重に保管することが大切です。
特に個人情報を含むような書類の保管には細心の注意を払うべきです。

 

論文不正の「ネカト」

論文不正の中でも最もよく知られているものの頭文字を取っています。

それはすなわち、捏造(fabrication)・改ざん(falsification)・盗用(plagiarism)です。
英語の頭文字をとってFFPと呼ばれる事もあります。
前述の11項目のトップ3にあたりますが、ここでどういった意味なのか確認為ておきましょう。

  1. 捏造:事実でない事を事実のようにこしらえること。
  2. 改ざん:字句などを改めなおすこと。多く不当に改める場合に用いられる。
  3. 盗用:

このうち、論文作成時に不注意でやってしまう可能性があるのが「盗用」です。

 

わざとではないにしても

学術研究の公表をするに当たっては適切な参考文献の表示は必須です。しかしこのことと盗用あるいは剽窃は区別しなければいけません。
問題なのは「意図せぬ」盗用・剽窃です。
特に、英語を母国語としない研究者はなおさら注意が必要です。なぜなら、英語で書き記すのにうまく表現できないと、つい参考文献の表現をまねたくなります。
「まね」が行きすぎればコピー&ペーストに近い形になるかもしれません。
それにたとえ剽窃の意図がなくとも、出版済みの文章をそのままコピーすれば剽窃にあたります。

IT技術の進歩により情報入手が容易になりました。今や研究者はインターネット上で、他者の資料やデータを簡単に閲覧できるようになりました。
それが盗用・剽窃という行為を容易たらしめているとも言えます。

それは例え剽窃の意図がなかったとしても、部分的に同じ文章が出てきてしまう場合には盗用・剽窃と見なされ、学術界での皆さんの地位を脅かしてしまう可能性があるのです。
剽窃を簡単にチェックするツールが登場しましたので、論文投稿の前には必ず確認するようにするとよいでしょう。
また、剽窃の疑いあり、という判定が出た場合に似たような表現に変えたいとき、英文校正の業者にそのように要望として伝えると対応してくれます。

 

まとめ

このように研究不正とは、常に研究者のとなりにいるのです。故意にしても不注意にしてもこのようなことが明るみに出てしまえば研究者の輝かしい未来が台無しになってしまいます。
組織的に研究不正の対策に取り組んでいるCommittee on Publication Ethics (COPE)という団体があります。出版倫理のあらゆる局面、特に研究と出版の不正行為にどのように対処するべきかについての助言を提供し、また、会員向けに個々の事例を話し合うフォーラムも開催しています。興味がある方はWebsiteを覗いてみてはいかがでしょうか。