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研究、論文不正への対処

研究、論文不正への対処

不正

あってはならないことではありますが、しかし研究を実施する人間は必ず肝に銘じておかねばならないことがあります。
それは、「研究不正」です。
故意に実行してしまう場合もあれば、全くの不注意でそのような事態に陥ることだってあり得ます。本項では、「研究不正」という落とし穴にいかにはまらないようにするためにどのような対策をとるべきかについて、考えてみたいと思います。

 

「研究不正」という名の落とし穴

「研究不正」

そう聞いて自分のこととして耳を傾けようとする人はそんなに多くないと思います。
人はみな、「自分は大丈夫」という根拠の希薄な自信を抱いているからです。自分は平均的な科学者であり、立身出世の欲も人並み、研究成果も人並みに出ればよい。
そう思っている人に対しても、この「研究不正」の落とし穴は待ち構えているのです。

例えばこんなケースを想像してみてください。

  1. 研究計画書を作成して倫理委員会に申請しないままに臨床研究を実施した
  2. 対象者からの同意書を保管していたがどこにあるかわからない
  3. 研究実施承認書が倫理委員会から発行されたことを認識していない
  4. 同じような内容の論文を別々のジャーナルに投稿した
  5. 利益相反に関する申告書類をここ数年ずっと更新していない

 

これらは直ちに重大な事が生じる訳ではないが、いつか手痛い仕打ちを受けることになる可能性のある行為をリストアップしています。
上記の状態に陥っていることを自覚しているならば、ただちに手立てを講じるべきです。

日本学術会議・科学倫理検討委員会(2009年)によれば以下の11項目が我が国で報告される研究不正の主なケースとのことです。

  1. データのねつ造
  2. データの改ざん(矛盾データの恣意的削除)
  3. 研究成果やアイデアの盗用、論文の剽窃
  4. 不適正なオーサーシップ
  5. 個人情報の不適切な扱い、プライパシーの侵害
  6. 研究資金の不正使用
  7. 論文の多重投稿
  8. 研究成果の紹介や研究費申請における過大表現
  9. 研究環境でのハラスメント
  10. 研究資金提供者の圧力による、研究方法や成果の変更
  11. 利益相反

うっかりでは済まされないのが研究不正です。研究計画書の申請書類一式、倫理委員会からの研究実施承認書、対象者からの同意書などの重要書類をしっかり管理することです。
研究テーマごとにフォルダを作成して鍵のかかるラックなどに入れて厳重に保管することが大切です。
特に個人情報を含むような書類の保管には細心の注意を払うべきです。

 

論文不正の「ネカト」

論文不正の中でも最もよく知られているものの頭文字を取っています。

それはすなわち、捏造(fabrication)・改ざん(falsification)・盗用(plagiarism)です。
英語の頭文字をとってFFPと呼ばれる事もあります。
前述の11項目のトップ3にあたりますが、ここでどういった意味なのか確認為ておきましょう。

  1. 捏造:事実でない事を事実のようにこしらえること。
  2. 改ざん:字句などを改めなおすこと。多く不当に改める場合に用いられる。
  3. 盗用:

このうち、論文作成時に不注意でやってしまう可能性があるのが「盗用」です。

 

わざとではないにしても

学術研究の公表をするに当たっては適切な参考文献の表示は必須です。しかしこのことと盗用あるいは剽窃は区別しなければいけません。
問題なのは「意図せぬ」盗用・剽窃です。
特に、英語を母国語としない研究者はなおさら注意が必要です。なぜなら、英語で書き記すのにうまく表現できないと、つい参考文献の表現をまねたくなります。
「まね」が行きすぎればコピー&ペーストに近い形になるかもしれません。
それにたとえ剽窃の意図がなくとも、出版済みの文章をそのままコピーすれば剽窃にあたります。

IT技術の進歩により情報入手が容易になりました。今や研究者はインターネット上で、他者の資料やデータを簡単に閲覧できるようになりました。
それが盗用・剽窃という行為を容易たらしめているとも言えます。

それは例え剽窃の意図がなかったとしても、部分的に同じ文章が出てきてしまう場合には盗用・剽窃と見なされ、学術界での皆さんの地位を脅かしてしまう可能性があるのです。
剽窃を簡単にチェックするツールが登場しましたので、論文投稿の前には必ず確認するようにするとよいでしょう。
また、剽窃の疑いあり、という判定が出た場合に似たような表現に変えたいとき、英文校正の業者にそのように要望として伝えると対応してくれます。

 

まとめ

このように研究不正とは、常に研究者のとなりにいるのです。故意にしても不注意にしてもこのようなことが明るみに出てしまえば研究者の輝かしい未来が台無しになってしまいます。
組織的に研究不正の対策に取り組んでいるCommittee on Publication Ethics (COPE)という団体があります。出版倫理のあらゆる局面、特に研究と出版の不正行為にどのように対処するべきかについての助言を提供し、また、会員向けに個々の事例を話し合うフォーラムも開催しています。興味がある方はWebsiteを覗いてみてはいかがでしょうか。