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論文掲載の流れから査読コメントの書き方

論文掲載の流れから査読コメントの書き方

前回は、論文投稿の流れについての記事にて、論文校正の体裁の整え方から、投稿の準備と投稿先の選択について説明しました。今回はオンライン投稿についての話と、Revision requestへの対応について説明します。そして、最後には、論文不正と査読コメントの書き方についても触れていきます。

オンライン投稿

 多くの雑誌は今日オンラインでの投稿を受け付けるようになりました。ファイル自体をアップロードするのはさほど難しくなく、論文を電子ファイルで用意しておけば問題はありません。必要項目も順を追って画面上に出てくるので、指示に従い埋めていくといいでしょう。しかし、論文には付き物の図や画像のアップロードには時間がかかる場合もあるので、比較的時間に余裕のある時に投稿します。また、図表には特定の条件が求められる場合がありますので、投稿先に必ず確認しましょう。解像度や図表のフォーマットには特に注意します。

Peer-reviewとは

 論文を投稿した後に待ち構えているのがPeer-review、査読と呼ばれるものです。これは、同じ分野で活躍する人が投稿された論文を読み、採否を決定するというものです。査読者は論文を読み、Major comments と Minor comments を記述し、回答します。論文採用のためにはどんな要素が必要であるのかというコメントが書かれていて、英文のスペルミスや文法の間違いも指摘してくれます。基本的にはまず編集者による予備審査があります。ここでは、独創性があるか、欠陥がないか、読者に合っているかなどが審査され、それを通ると査読へと渡されます。査読結果の通知は査読に回されてから2週間から1か月が通常です。採否の他にも、訂正などの要請が来る場合もあります。もしRejectされたら、査読者のコメントを大きく活用しましょう。Rejectされても落ち込む必要はありません。Rejectは珍しくないどころか、むしろよくあることで、半数以上の論文投稿者はこの経験があります。Appealは時間と労力の無駄遣いになります。次回に向けて改善点を見つけていきます。

Revision requestがきたときの対応について

 査読の後、採否の他にRevision requestが来る場合もあります。改定の要請が来たということは少なくともRejectされていない状況です。重要な局面を迎えている状況なので、一気に挽回できるよう論文校正をしていきます。Revision request が来たときの極意が3つあります。まずRevisionの極意1ですが、初回投稿時よりももっと心血を注いでRevisionにかかりましょう。論文の内容と、研究結果、引用した参考文献がすべて完璧にまとまり、Discussionで明確に記述されているかを論文校正で確認しましょう。研究のデータと結論がどこからも攻撃されることなくどの読み手にも受け入れてもらえる内容になっているか、矛盾点や不足している点はないかもう一度確かめます。よくある指摘点は、研究の限界についての説明が不十分である、などが挙げられます。

 次にRevisionの極意2です。編集者および査読者に敬意を払うことは重要です。査読員からの質問や要求には一つ一つ完璧に答えていきます。その対応が完璧かつ迅速であればあるほど、アクセプトも早くなりますし、編集者との余計なやり取りもせずにすみます。中には、厳しい要求やコメントを残す査読員もいます。しかし、投稿された論文を訂正し、掲載できるようにとのコメントです。それらのコメントを真摯に受け止め、明確に返答し、適時論文校正をしていきます。

 最後にRevisionの極意3です。長い研究の後に、精力を注いで書き上げた論文。それらに査読員から多くの回答やコメントをもらうことになります。そして何より、皆が同じことを書いてくれるわけではなく、コメントがバラバラの時もあります。しかし、ここで我慢が大事です。ここで冷静に対処し、ひとつずつ確実に訂正を入れていき、論文校正することで、最初に投稿した論文とは見違えるような内容になるでしょう。辛辣なコメントがあっても落ち込まないでください。辛辣なコメントが寄せられた論文が素晴らしい論文として掲載されたケースも数多くあります。

 査読員のコメントに回答とコメントを送り、原稿を修正したのちは再審にかけられます。もしAcceptの通知が届けば、掲載までは4か月ほどです。しかしその雑誌の出版頻度によっても異なるので、4か月経っても掲載がないといって焦る必要もないでしょう。そして掲載後は別刷りの発注ができます。親しい人に配布するようにはもちろんのこと、将来のキャリアアップのためにも是非発注しておきます。申請時に添付して提出すると大きなアドバンテージになります。また、PDFでサイトからのダウンロードもできます。URLなどを伝えれば、自身で手に入れることもできるので、必要な量を見極めて発注しましょう。そして、せっかく掲載されたら多くの人に読んでもらいと願うのが常です。自分のウェブサイトやブログなどに業績を書き掲載することも忘れないでください。

論文不正について

 論文不正について軽く説明しましょう。Fabrication(偽造)、falsification(改ざん)、ghost-writing、ghost-reviewer、plagiarism(剽窃)、duplicated submission(二重提出)などは不正扱いとなります。倫理問題が疑われたり、問題があると見なされた場合は、論文が取り下げられます。まず、上に挙げた偽造、データの改ざん、ねつ造などはすべて倫理問題です。盗作はもちろんのこと、画像の信ぴょう性も問われます。そして利益相反の非開示も論文の取り下げの理由になります。著者は論文を投稿する際、考えられる利害関係を報告する義務があります。研究助成金や謝礼、特許権使用料がその例です。

 他にも、倫理的問題はないが修正を要する事柄が指摘される場合もあります。意図的でない方法上の誤り、杜撰な報告、表現上の誤りなどがこの例です。

査読コメントの書き方

 最後に査読コメントの書き方についてです。自分が書いた論文が査読員に読まれるのと同様に、自分自身がその役割に選ばれることもあります。査読とは前述したとおり、その専門で研究している人が選定されます。もし自分の専門外であればもちろん断りますが、基本的には依頼を受けます。これは、まず第一に自分の論文を査読してくれた多くの研究者たちへの恩返しにもなり、いい査読は医学・医療の進歩にも寄与するからです。査読コメントによって著者は論文の修正ができ、素晴らしい研究内容を掲載することができます。つまり査読はお互いにとっての財産になるのです。

 査読者に選ばれたら役割と心得を持ちます。まず、これは学術的な財産になりうるものです。決して私情を挟むことなく、建設的かつ教育的なコメントをすることに徹することが重要です。また、フィードバックをするとなると、アラ探しを始めてしまう人は少なくありません。しかし査読の意義は、投稿された論文について論理的に論文に不足している事柄や矛盾点を建設的に指摘し、著者を導くことです。アラ探しを始めてしまうと、それは批評ではなく文句になります。そしてLimitationを許容することを忘れず、自己流を押し付けてはいけません。自分の論文や見解と違うことは何の問題でもありません。私情を挟まないことにも繋がるので注意します。そして背伸びしたコメントを書く必要もありません。自分の言葉で建設的なコメントを、品位と礼節を失うことなく著者へと返します。査読コメントを書き終えたら、英語の文法やスペルの間違い、著者が読んだときに混乱するような書き方ではないことを確認します。