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投稿上のルールを守る

投稿上のルールを守る

4653018_s研究論文を執筆する際に押さえておくべきルールがあります。今回は論文投稿に際してのルールを確認しましょう。

 

1.ルール違反をしないために知っておくべきこと

論文を投稿するときに、利益相反の申告や被験者に対する倫理的側面が十分審査されていることを示すことと同じくらい重要なのが出版倫理です。

具体的には、

  • 以前に別の論文として投稿されていないこと(余剰/重複出版
  • 別のジャーナルに平行して投稿していないこと(二重投稿

を宣言する必要があります。

また、研究結果を細かく切り刻んであたかもサラミのように別々の論文として投稿することもご法度です(サラミ出版)。

これらの行為は容易に発覚する上に、ジャーナルからのペナルティを課される可能性が高いです。(論文投稿の受付停止など)

これらのタブーについて一つ一つ解説してみましょう。

 

2.余剰出版

重複(または余剰)出版とは、すでに出版済みの論文と本質的に同じの論文を、同じ著者が出版することです。

オリジナルの論文と2つ目の論文には、タイトルが少しだけかえてあったり、アブストラクトや記載内容が改変されていたりなどで見た目が少しだけ異なるようになっていることが多いですが、これらの変更は基本的に不必要なものであり、本質的にはデータセットと研究結果は同じものになります。

余剰出版をすることは何がいけないのでしょうか?それは以下の理由によります。

  • 論文の著作権は著者ではなくジャーナルに帰属することが多く、余剰出版により著作権を侵害することになる
  • メタ解析やシステマティックレビューの対象論文として選ばれた際に、同じ結果が掲載された論文をそれぞれカウントしてしまうかもしれず、実証を曲解する可能性がある。医学的・科学的決断の要素となりうるため、重大な問題である 
  • 編集と査読に伴うリソースの無駄である 

なお、以下のような場合は例外として認められます。

  • 学会発表データに基づいて、完成版として論文発表を行う 
  • オリジナルの論文の翻訳
    より多くの読者に周知するために別の媒体等に同一内容を掲載する場合

著者はこのような場合でも以下のようなことに従う必要があります。

  • 著作権者から許可を入手
  • 最初に論文が出版されたジャーナルと、これから再出版されるジャーナル等の編集者から承認を得る
  • 以前に出版された論文を基にしている、または再出版であることを明示した上で引用を行う

 

3.二重投稿

二重投稿とは、その原稿を他のところへ投稿したことをジャーナル編集者へ知らせずに同じ原稿を別々のジャーナルへ同時に投稿する行為を示します。

余剰出版は他のジャーナルで以前に出版された原稿を投稿することを意味しますが、二重投稿とは他のジャーナルで審査中の原稿の投稿を意味します。

これも以下の点で出版倫理に反するとみなされ、ペナルティの対象となり得ます。

  • 同時に異なるジャーナルがその論文の出版を決めた場合、著作権侵害か著作権論争に発展する
  • 複数のジャーナルが出版に伴う同じ作業を行うため、学術的・科学的リソースの無駄である

 

3.サラミ出版

本来であれば1つの研究成果として発表すべき内容を複数に分けて発表する手法のことです。

しかしこれは直ちに重複投稿と判定されるとは言えません。

たとえ結果が一連の研究から出たものであったとしても、それぞれの論文が個別の特徴を有していると判断できる場合には直ちにサラミ出版とは判断されないでしょう。あるいは(軽微な)修正を経て受理される場合もあります。

ただし、研究の類似点をエディターや査読者から指摘され、サラミ出版が疑われた場合には、それぞれの論文を明確に区別するよう注意深く修正する必要があります。

一つの大きな研究課題を追究する中で得られた複数の結果について、それぞれの結果が十分論文としての価値を持つと判断される場合には独立した論文として出版することができるでしょう。

 

4.コピペ(剽窃)

論文の一部の記載を既存の論文からそのまま(しばしば無断で)持ってくる行為を指します。

選考する研究論文の表現をまねることは多くの研究者によってされていることです。しかし、まるごとコピーして貼り付けるような行為は出版倫理違反となりますので注意が必要です。

これは自分の書いた論文であっても剽窃の対象となりうるため注意が必要です。どうしても似たような記載になってしまいがちですが、剽窃が疑われないよう表現方法を修正するなどの配慮は必要になります。

対策としては、英文校正を依頼する際、既存の論文を参考資料として添付したうえで、その論文の記載や表現方法と違う書き方にしてもらうように具体的に依頼するなどすることが考えられるでしょう。

 

まとめ

出版倫理は研究論文を投稿する際に落とし穴となり得ます。しかし、同じ論文を複数のジャーナルに同時に出すことや、出版済み論文の再投稿、一つの結果を細切れに出版するなどの行為は、科学の進歩に寄与しないばかりか、自分の研究結果を毀損するようなことにつながりかねません。

このような誘惑に駆られたとしても決して流されないことが重要です。