論文が書き終わり、いざ投稿!となったときに投稿規定を見ると、原稿以外にも提出しなければならない書類があることに気づきます。今回は論文を投稿するにあたって必要な書類、準備などについて説明したいと思います。
1.投稿に必要な書類の準備をしよう
論文原稿を投稿するときに必要なのは、原稿そのものだけではありません。必要な書類を列挙してみます。
- 論文原稿(Manuscript)
- 図表(特に画素数の大きな画像については論文本文とは別に投稿することが求められる)
- カバーレター
- 利益相反申告
- 著者の掲載許可(直筆サインや印鑑が求められることが多い)
- 著作権譲渡(受理後に記入することも多い)
- 患者さんからの同意書(ケースレポートであればしばしば求められる)
著者の掲載許可については直筆サインを求められることが多いため、共同研究者に早い段階で電子署名付きファイルもしくは紙媒体でフォームを送り、必要なサインを回収します。サインしたものをPDFでメール送付してもらうことも考えられます。
早めに投稿規定に目を通して必要書類を準備するようにしましょう。
また、これに加えて英文校正を受けていることを証明する書類を添付する場合もあります。特に非英語圏から英文雑誌への投稿時に添付することでその後の手続きがスムーズに進む可能性があります。
2.『紙』の論文の投稿に必要なもの・こと
最近ではメジャーなジャーナルはほぼ電子投稿システムに移管して紙で提出する機会は激減しました。
しかしまだ少数ながら紙媒体での投稿を貫いているジャーナルも存在します。
論文投稿の方法としてはほとんど共通していますが、紙媒体での提出に加えてCDやDVDディスクとともに提出を求めるケースもあり、それらを準備する必要があります。詳しいことは投稿規定を読みましょう。
なお、商業雑誌では紙媒体での投稿が今なお主流です。原稿を提出してしばらくすると編集部からきれいにレイアウトされた記事の写しが届きます。
そしてそこには編集部目線で不明な点や誤りと思われる場所が赤ペンで指摘されており、そこに直接書き込む形で返事をして修正します。
3.今後の電子投稿について
電子投稿で編集部にかかる手間はおそらく少なからず減ったのではないかと想像するのですが、提出する側の負担は今でもそれなりにあります。
ジャーナルごとに書式やセクションの配置、引用スタイルなどが異なっているなど、リジェクトされるたびに再投稿までに多くのエネルギーを費やさざるを得ません。
現状ではORCID(※)を活用したり、文献管理ソフトを利用したりして作業の簡略化を期待するくらいしかありません。
※ORCID(Open Researcher and Contributor ID)は、非営利団体のORCID.orgが管理するIDであり、ORCID.orgで無料で登録できます。登録すると16桁の番号が与えられ、これが自分のORCID IDとなります。ORCIDには、詳しい所属、過去の論文や助成金、特許情報などを登録できます。2012年のサービス開始以降世界中で数百万人の登録者がいます。同姓同名の研究者を区別したり、結婚などによる改姓による追跡困難を解消したりするメリットがあります。
文献管理ソフトを使えばジャーナルに合わせた文献引用フォーマットにそろえてくれます。ただしフォーマットが更新されていない場合には注意が必要です。
大手の出版社が複数のジャーナルを管理していますが、それぞれのジャーナルは独立していることが多く、投稿先を変更するたびにフォーマットの変更が必要である原則は揺らいでいないのが現状です。(例外として、同じ出版社が管理するオープンアクセスのジャーナルに誘導される場合に、一部のジャーナルではフォーマットを変更せずに手続きを簡略化する場合があります。)