医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

医学論文とインパクトファクターに関して

医学論文とインパクトファクターに関して

今回は英文校正の際に知っておきたいインパクトファクターについてお話します。英文で論文を作成し、学術雑誌に投稿するとなると、気になるのは、どれだけの人に読んでもらえるか、また、どれだけ他の論文などで引用してもらえるかだと思います。読者が多く、引用率が高い学術雑誌に論文を掲載したいと思うのは、論文に携わる人すべての当然の望みだと思います。その指標になるのがインパクトファクターというものです。今回は、まずインパクトファクターとは一体何か、インパクトファクターの高い雑誌と低い雑誌の違い、そしてインパクトファクターにおいて意識しておきたい留意点などをまとめました。英文校正後のステップに是非参考にしてください。

インパクトファクターとは?

インパクトファクターとは、文献引用率のことであり、自然科学および社会科学の分野における学術雑誌に掲載された論文が、特定の期間内に引用された頻度を平均値であらわした尺度であり、その学術雑誌の影響力の指標を指します。現在インパクトファクターの対象雑誌は11,000誌にのぼり、クラリベイト・アナリティクスIP&Science 部門が持つWeb Scienceという引用文献のデーターベースから算出されています。一般的にはインパクトファクターが高い学術雑誌ほど名声があるとの認識がされます。雑誌そのものの質を表す場合にはあながち間違いとも言えない要素です。しかし、今日の研究者の間で、インパクトファクターの低い雑誌に載っている論文の評価は低いなどと言われる場合もあり、インパクトファクターの高い雑誌に掲載されている論文にばかり注目されますが、これは大きな誤解です。インパクトファクターは雑誌全体の質を示すだけであるので、その雑誌に掲載されている論文そのものに対する評価とはまったく異なります。インパクトファクターの低い雑誌に掲載されている論文の質が必然的に低いということはありません。 また、インパクトファクターが低い理由が、ジャーナルの質だけにとどまらない場合もあります。例えば疾患の専門雑誌であったり、災害対策であったりなど、医療や科学分野においても特殊なケースを取り扱う学術雑誌であれば、引用率も自然と低くなってしまいます。ですが、雑誌の中には世界に貢献するような論文ばかりかもしれません。つまり引用されやすい内容であるかどうかも、インパクトファクターを見る際には忘れてはならない要素の一つです。
それにも関わらず、インパクトファクターが高いジャーナルに投稿するのが全てという風潮があります。インパクトファクターが低いジャーナルより高いジャーナルに掲載されたほうが評価があがったりする場合もあるそうです。ですが、一概にインパクトファクターの高い雑誌に投稿すればいいとは言い切れません。何故なら過去の記事にも書いたように、論文投稿先の雑誌の決め方は、その雑誌と執筆した論文がきちんと見合っているかどうかだからです。自分の専門に沿った学術雑誌に論文を投稿してこそ、論文の価値は高まるでしょう。第一に、インパクトファクターの高さだけで雑誌を選んでしまっては、論文の内容が雑誌に合わないと判断され却下される場合もあります。一方、インパクトファクターが低い雑誌は掲載されやすいと思う人もいるようですが、こちらも同様、論文の内容と雑誌のコンセプトの一致が重要です。掲載されやすいかもと、わざわざインパクトファクターが低い雑誌を選ぶのも賢い選択ではありません。

インパクトファクターの算出方法

インパクトファクターは対象雑誌の過去3年分のデータを用いて算出されます。2017年度のインパクトファクターを算出する場合、2015年と2016年度のデータが用いられます。つまり、2015年と2016年に対象雑誌において掲載された論文の数と、2017年度に引用された合計数との割合が2017年度のインパクトファクターになります。例えば、ある対象雑誌Aが2015年と2016年の二年間に1,000の論文を掲載したとします。そして2017年に合計500回引用されたとすると、2017年度における雑誌Aのインパクトファクターは0.5となります。論文の被引用率であるので、論文数にはニュースや投書の類のものは含まれていません。一方、引用回数には、論文の最後にある参照文献すべてが対象なので、全てのタイプのドキュメント(ニュースや投書)も含まれていることを知っておく必要があります。

インパクトファクターにおける留意点

前述したように、インパクトファクターは雑誌の質を直接評価する指標ではないということ、そして、研究者の影響力や質を評価する指標ではないということを念頭に置くことが大切です。大切なのは、自分の専門分野に合った雑誌を見つけ投稿するということです。また、インパクトファクターを調べる際、違う分野のジャーナル間の影響力の比較には有効ではないことも覚えておきましょう。同じ分野の雑誌のインパクトファクターの比較はもちろん投稿先を選ぶ上では参考にはなりますが、盲信しないよう注意が必要です。最後に論文投稿先でインパクトファクター以外のものを指標にするのも大切です。Source Normalized Impact per Paper (SNIP)やScimago Journal Rankなど他の指標も視野に入れ、学術雑誌の質を判断し、投稿先を選ぶ参考にしてください。