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論文の種類について

論文の種類について

1. 論文の種類について

医学論文を読み、また論文を執筆することは通常の医療業務に加えて医療従事者の切り離せない業務の一つです。最新の治療法や投与薬に言及した研究内容、症例報告、現在浮上している問題などを言及したエディトリアルなど様々な種類の論文が存在しています。論文の読者、特に論文の執筆に携わる人は論文の種類とそれぞれの特徴を把握しておく必要があります。今回の記事は論文の種類と特徴についてです。

原著論文

まず代表的な論文の種類と言えば、原著論文だと言えるでしょう。原著論文とは、新しい知見や最新の研究内容などをまとめて発表したもので、基本的に査読が行われてから学術雑誌などに掲載されます。著者独自の研究および研究結果である必要があり、論文を投稿する際は他の雑誌にも掲載・投稿がされていない未発表のものでなければいけません。英語で、Original Articleと呼ばれるように、完全オリジナルの論文です。英語では他に、Journal Article、Full Paper もしくはResearch Paper などとも言われます。
原著論文で取り扱われる問題は基本的に1つで、それに関する研究内容と結論が明確に記載される必要があります。取り扱われている問題に対するリサーチや実験とその結果、そして方法(Methods)は客観的に述べられ、その方法と結果は再現性を持たなければいけません。査読の過程において査読者が再現性がないと判断を下した場合、その論文は却下され、掲載されることはまずありません。ちなみに、再現性とは、その研究を論文に記載されている通りに再現した場合、同じ結果が得られることを指します。もちろん新しい知見や研究内容を発表する論文ですので、再現性の有無が論文の質を決めます。

総説論文

総説論文とは英語でReviewと呼ばれるもので、先行研究を集めて、論文にまとめたものを指します。総説論文は原著論文のように新しくオリジナル性のある研究内容ではなく、特定のテーマに関する先行研究をまとめて、概要を記述したり、研究の動向などを発表したりするものです。読者は新しい研究を知ることはありませんが、特定のテーマについて全体像をとらえることができ、誰がどの論文を書いたのかを知ることができます。
原著論文の執筆の際は、先行研究にはどのようなものがあり、どんな課題が残っているかを把握し、解決されていないものを研究テーマに選ぶのが一般的です。そのため、総説論文を読むことは、論文の執筆を始める人には必要不可欠です。それに加えて、英語で論文の執筆を目指す人は、英語で総説論文(Review)を読むことにより、専門用語の英語訳を知ることができ、論文執筆に必要な洗練されたアカデミックイングリッシュも同時に学べるので、後の英文校正にも役立ちます。

症例報告(Case Report)

症例報告は珍しい臨床例や未知の病態や合併症などを取り上げた論文です。診断や治療において新しい知見が得られるなど、過去に症例報告が出ておらず、医療従事者に知られていない事柄を伝えることが症例報告の目的です。珍しい臨床例や合併症の他に、新薬を投与した際の経過を含めた使用例と、投薬の副作用、その他にも新しい治療法などがトピックとしてよく取り上げられます。
症例報告は実際の患者の経過を記述するものですので、執筆の際は患者の描写の仕方に注意が必要です。多くの研究者は、患者を「case」や「male(男性)/female(女性)」で記述するのを好まず、「a man, a woman, a boy, a girl」などを使用します。実際に英語で論文を書く人は、英文校正の際、患者の記述が一般的に受け入れられているものであり、また表記が統一されていることを必ず確認しましょう。

エディトリアル(編集後記)

エディトリアルはあるトピックや問題について執筆者が意見を述べるもので、他の論文同様に専門家によって執筆されます。個人の見解を述べていること、過去の研究内容に対して冷静に分析し批評していることが特徴です。エディトリアルは一般的な論文に比べて短く、簡潔にかつわかりやすく記述されています。専門用語(jargon)の使用も最低限に抑えられ、用語の定義も併せて記述する必要があります。つまり、一般の読者が読んでも理解できる論文がエディトリアルです。英文で論文執筆を目指す研究者は、英文のエディトリアルを読むことをお勧めします。様々な研究や課題について簡潔に英文で書かれているので、英文の表現を学ぶのにも最適ですし、幅広い分野のものに目を通すことができます。一つの分野に特化した論文よりも読みやすいのも着手しやすい理由です。

その他の論文

上記の論文以外にも、学術雑誌に掲載された論文に対する意見、反論、関連データなどを執筆した手紙(Letters to the Editor)があります。こちらは論文が掲載されてから約一か月以内に提出することが望ましいです。また、学位論文もその名の通り論文の一種です。学位論文は学士、修士、博士論文全てを指しますが、参考文献として一般的に使われる論文と言えば圧倒的に博士論文が多いです。

論文には構成や記述の仕方などそれぞれ特徴があります。原著論文と総説論文では論文の目的がまったく異なります。自分が執筆を考えている論文を中心に様々な論文を英文で読み、英文で論文を執筆し世界の研究者に発信できる力を養っていくことが重要になってくるでしょう。