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西洋式科学と日本式科学の違い

西洋式科学と日本式科学の違い

英文で論文を書くということはすなわち、世界の医療従事者へと発信するということです。世界に論文を認めてもらうためには西洋の科学的発想に基づいた研究を行う必要性があり、論理的に西洋式に論文を執筆したほうが、論文掲載の確率ももちろん高くなります。一般的に日本式の科学は西洋式科学との相違点が多く、しばしば問題視される傾向があります。西洋式科学の特徴と研究における留意点、日本式科学との違いを中心に見ていきましょう。

西洋式科学と日本式科学の相違点

西洋式科学と日本式科学の研究方法の違いを一言で表すと、西洋式科学が「仮説の科学」なのに対し、日本式科学が「テクノロジーの科学」であるということです。西洋式科学では、まず仮説を立て、それを検証するのが主な方法です。一方日本では、結果を基にそのプロセスを改善していくのが主な方法です。日本式の科学が必ずしも間違っていると断言することはもちろんできません。しかしながら、英語で論文を発表する場合、それは全世界の研究者をターゲットにしており、その研究者の多くは西洋式の科学が基盤です。つまり、研究内容および方法を西洋式で実施すると国際的基準に当てはまり、高く評価もされ、結果、雑誌に論文が掲載される可能性も断然高まるでしょう。

なぜ日本式科学が受け入れられないのか

日本の研究は世界で非理論的と評価される傾向にあります。それは研究方法の違いから生まれるものです。日本では主に、まずデータの収集後、結果を導き、それからその結果から導き出せる法則を考えていくという研究方法が採用されます。しかしその研究方法は、「仮説の科学」を掲げる西洋では、何の仮説も置かない研究方法になります。従って、何の原理もない研究であると認識され、結果科学的ではないと判断されてしまいます。つまり仮説を置かない研究方法は非科学的と自動的に結びついてしまうのが西洋式科学です。西洋の雑誌に論文を投稿するのであれば、西洋の研究方法を採択し、仮説に基づいた科学的アプローチを取る必要があります。日本式の研究方法ではまずAcceptされないと認識したほうが良いでしょう。
実際に、現在日本の論文に対する国際的評価は下がっており、論文発表数も少なくなる一方です。Evidence based medicine の時代において、世界的なエビデンスとなるような高い質を保った論文は減少傾向にあることは否めません。これからの研究者は世界に向けた論文を書くという必要性と貢献性を理解し、日本の臨床医学における衰退を念頭に置かなければいけません。国際的基準を満たすために、西洋科学的発想をもつことは重要だと言えます。

西洋式科学の特徴

先述したように、西洋ではまずは仮説を立てるところから臨床研究が始まります。明確な仮説を立て、検証していくアプローチが西洋式科学の基本です。仮説を立てた後は目的に見合った研究法を構築する為に評価項目を設定し、統計法(仮説検定法)を用いて、仮説が立証されるか否かを検証します。臨床研究では、適切な統計法が使用されているかどうかが論文の質を決めます。統計法が適切ではないと査読者に判断された場合、論文が拒否される可能性が高まります。

西洋式科学を採択した研究の執筆と注意点

臨床研究を始める際に明確な仮説を立て、検証していくアプローチの方法を決定します。そして目的に合った研究法を構築するために評価項目を設定します。評価項目とはその名が示す通り、臨床試験で評価したい項目のことで、主要評価項目と副次評価項目の二つにわけます。主要評価項目はその臨床試験においてもっとも明らかにしたい重要な項目のことで、一つだけ設定されます。副次評価項目はその試験で明らかにしたいもの、されど主要評価項目ほど重要でない項目のことで、複数盛り込むことができます。研究目的にあった評価項目かどうかを論文の英文校正において注意深く確認しなければいけません。評価項目を定めたら、仮説が立証されるかを検証するために統計法を決めます。またデータ収集と解析も、慎重にならなければいけません。データには数多くの種類が存在し、種類によって適用できる統計法が異なるからです。データは、数値データと分類データのふたつがあり、主要評価項目のデータの種類がどちらなのかを判断し、それに合わせて統計法を選択しましょう。
最後に、データの種類と対象者を定め、統計法を決定したら、仮説が成立するか否かを判定します。主要評価項目についての統計結果を重点的に示します。そして副次評価項目の統計結果は参考扱いとし、主要評価項目より重点的に指摘することは避けます。そして最後に、仮説の成立の可否を含め結論を書きます。科学論文は文字によって情報を正確に伝えなければいけません。研究の集大成を、簡潔、明確、かつ詳細に記述することを意識しましょう。英文校正では、結論と研究の記述が明確にされているかをしっかりと確認しましょう。せっかく研究を西洋式科学にしても、論理的に明確に伝えられていなければ意味がありません。英文で伝えるスキルも同時に必要です。

日本式科学と西洋式科学とでは、アプローチの方法が全く異なります。英文で世界に論文を発表することを目指す研究者は、西洋式科学の概念を培うことはとても大切です。西洋式科学に合った方法で研究を行い、明確に英文で記述するスキルを養っていけば、海外の学術雑誌に論文が記載され、世界の研究者に発信できる日も近いでしょう。