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研究目的を決める

研究目的を決める

研究開始前および論文執筆開始前において重要な作業が「研究目的を決める」ことです。論文を書こうとする研究者はおそらく漠然とした研究目的が頭にあると思いますが、それを実際に具体化し、研究をどのように進めていくのかを示すコンパスにしなければならず、その作業は想像以上にたやすくはありません。今回の記事では、研究目的の決定の仕方と、研究目的の明確化と設定方法について詳述していきましょう。

研究目的を決めるためには

研究目的は、「なぜ」と問いかけることから生まれます。「なぜ未だ解決されていないのか」、「どうすれば解明することができるのか」など問いかけることで研究目的がよりはっきりしてきます。研究目的は学術的に意義のあるものでなければいけません。学術的に意義のあるものとは新規性があるということであり、それはつまり、問いかける意義と価値があり、答えが出てくるものであるということです。では、その問いかけを行い研究目的を探すためにはどうすればよいのでしょうか。それは先行研究に関する論文を読むことです。研究目的を決定するために先行文献を読み知識を深めることはとても重要です。これは実際に研究を行う前、および論文執筆を意識していない場合にも必ず行うべきものであります。常に自分の専門分野や領域を取り扱う学術雑誌で定期的に論文を読むことにより、「なぜ」の視点が広がります。また、関連のある分野や領域に関する専門用語なども獲得することができます。特に英文で論文の執筆を目指している人は、英文で書かれた論文を読む際に英語の専門用語も同時に記録しましょう。この知識は執筆後の英文校正で大きく役立ちます。

先行文献を通して研究者は、研究済のテーマと、残された課題や問題点の識別ができたり、新たな視点に気づいたり、概念と実践の関連性および課題点を見つけたりすることができるでしょう。つまり、論文を読むことによって最近の研究の動向、過去における研究において未だ解明されていない事項や未解決の課題などを見つけることができ、ゆくゆくは自身の研究のテーマと目的につながる可能性が高まります。

 

 研究目的の設定方法と明確化

前述したとおり、研究目的の設定のためには先行文献を読むことは必要不可欠です。先行文献を読み、研究のトレンドや新たな視点に気づくことで、漠然とした研究への関心が、具体的に研究の目的へと変わっていくでしょう。そして目的が定まってきたらまず、より焦点を絞って先行文献を読み進めていきましょう。関連のある文献に軽く目を通し、自分が思い描く研究内容とイメージが近いものを選別していきましょう。数が多い場合は文献の仕分けと整理も欠かさず行い、後々引用する際に探す必要がないようにしましょう。文献がある程度集まったら、その集めたテーマに関して過去にどのような研究が行われ、明らかになった事柄と未解決な事柄を見極め、自分の研究が医療界にどのように貢献していくのかを考えます。自分が研究することにより何が得られるのか、何を付け加えることができるのかを真剣に考えていくことで、研究目的をより具体的にあらわすことができるでしょう。

研究目的が決まってきたら、今度はそれをより明確にしなければいけません。研究目的を言葉で明確に記述しようとするとなかなか難しいことだと多くの研究者が感じることでしょう。しかし、英文で論文を書く際はアブストラクトとイントロダクションで研究目的を読者に明確に示さなければならず、自分の中でだけ研究目的がはっきりとわかっているだけでは論文執筆において不十分です。逆に言えば、アブストラクトを書くことにより、研究目的をより明確にすることができます。アブストラクトには、自分が取り上げる問題点を挙げ、その問題が現在どのくらいまで明らかになっておりどんな課題が残されているのか、そしてその課題がなぜ重要なのかを専門外の読者が読んでも理解できるように簡潔かつ明確に記述しなければいけません。特に仮説を立てて行う研究である場合は、その後に述べる仮説に説得力を持たせるために「何が問題なのか」を明確に書く必要があります。この過程を通して自分の研究目的を明確にしたら、それをそのままアブストラクトの執筆にも使えます。

 

まとめ

研究目的の設定には、現在の研究のトレンドや、未解決の問題を見つけるために、まず先行文献を読み、知識と新しい視点を得ることが重要です。そしてある程度研究目的が定まってきたら、自分の研究がいかに未解決の課題に結果を残せるのか、またそれは学術的に意義のあるものなのかを見極めます。研究目的の明確化のためには、自分が研究で扱う問題の詳細とその問題の重要性、なぜ自分の研究がその未解決の問題において意義があり、どのように貢献できるのかを掘り下げて考えていきましょう。アブストラクトにおける研究目的の執筆では、上記の内容が明確に記述されているのかを英文校正でしっかりと確認することが重要です。