医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

研究対象者の設定

研究対象者の設定

医学研究において新しい知見や研究内容を取り扱う原著論文を執筆する際には、研究対象者とされる患者を選定する必要があります。その多くの場合は、一部の症例を対象に研究を行い、その研究結果によって、母集団と呼ばれるその症例が属するすべての患者における結果も推定します。母集団から研究対象者を選定する場合には、言うまでもなく妥当性が必要とされます。選ばれた研究対象者が母集団を代表するものと認めることが可能か否かが研究の質に大きく影響を及ぼします。今回の記事では、研究対象者の設定方法について詳述していきます。

研究対象者が母集団の代表となるように設定

調査には、大きく分けると全数調査と標本調査の2種類があります。全数調査はその字の通り、対象者すべてを調べることで誤差のない結果が得られる調査方法で、調査の対象が少人数の場合には使用が可能であります。標本調査とは、全数調査ができないほど調査の対象が大規模の時に使用される方法です。対象の一部の人間を選定することで、全数調査と比べ手間と費用を抑えられることが利点ですが、そこには標本誤差も生じてしまいます。

医学研究では、標本調査の方法を用い、一部の症例を対象に研究を行い、その研究結果によって、母集団における結果も推定します。母集団とは研究の対象者すべてを指し、医学研究では、ある症例が属するすべての患者全体を指します。正確な調査内容だと裏付けるためには、研究対象者が母集団の代表だと認められるものでなければなりません。研究者は対象とする母集団の性質を忠実に捉え、それらを代表とする標本を抽出する必要があります。そのさいに研究者の主観や恣意性が介入してはいけないので、母集団の特徴を反映させることを前提としつつ、無作為抽出(ランダム・サンプリング)により対象者を選定することが好ましいです。

 必要十分な対象者の設定

母集団の代表となる研究対象者を選定するためには、選択基準(Inclusion Criterion)と除外基準(Exclusion Criterion)を適切に設定する必要があります。選択基準とは、どのような人が研究対象者としたのかの基準で、除外基準はどの人を研究対象としなかったのかという基準です。しかしながら、標本の研究対象者が抽出された時には母集団の代表と呼べるものであっても、研究が進む上で母集団の代表となれない場合もあります。例えば、研究対象者が途中で研究参加を拒否したり、新薬の投与でアレルギー反応が出たり、誤った薬が投与されたりとそれらの原因は様々で、研究者は選定後にも注意を払わなければいけません。また、選択基準と除外基準のほかにも、対象患者数が十分な数であるのかも重要です。

それらに加え、より質の高い臨床試験を行うために、研究の結果に影響を及ぼす要素を取り除くよう配慮します。効果のない薬を本物の薬と信じて飲み、その後治癒されるなどの結果が出るプラセボ効果や、自然治癒などのバイアスは取り除かなければいけません。研究対象者に現れた結果が治療の効果によるものだと明確に判断するために、対象者の中にプラセボを投与する対照群を設定し、効果の差異が治療によるものであると示すことが可能です。その際は、対象者がどちらの対照群に振り分けられているのか全くわからなくさせる、「患者の盲検化」が重要となります。

研究対象者の選定方針

研究対象者の選定方針を論文内の「方法(Method)」で記載することが一般的です。ここでは、研究対象の患者を記載し、選択基準と除外基準、対照群や症例群の区別の記述、対象患者の病期や診断基準などを詳述します。

選択基準の項目では、研究に参加する対象者の選び方、予定の人数、疾患名、病期、年齢や性別を記載します。自由意志による参加の同意を得ているか否かもこの選択基準に入ります。そして、研究対象者が記載された基準の全ての項目を満たすのか、もしくは〇個以上の基準を満たすのかも必ず明記されていることを英文校正で確認しましょう。

その次の除外基準項目では、どのような患者が対象とならないのかを記述します。たとえば合併症や、妊娠中・もしくは妊娠のおそれのある女性などの除外基準を記載します。ここでも、すべての項目を満たすのか、それとも〇個以上の項目を満たすのかなどの抱含関係も忘れずに書きましょう。

そして、対象患者の人数、対象者がどの機関から募られたのか、研究実施期間など、研究対象者の選定に関わる情報を明確に記載していきます。英文校正の過程では、誤解が招かれない適切な英語表現で選択基準・除外基準、対照群などの区別が記述されているかを確認しましょう。