医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

著者の決め方について

著者の決め方について

論文執筆にあたり意外と大きな問題になるのが著者の決め方とオーサーシップです。研究に携わった人物は著者とみなし一見簡単に決定されそうな事項ですが、オーサーシップをめぐって研究者間で問題が起こることもあります。また不適切に著者が選ばれた場合には倫理にも関わる深刻な問題へと発展します。
今回の記事では著者になるための資格条件と著者の記載順番を中心に著者の決め方について説明していきましょう。

著者の資格条件

著者になるための条件としていくつか目安が挙げられています。まず1つ目は、研究の場にいて研究に関して発言を行うなどの貢献をしたかです。ただ居合わせて手伝った場合などは著者には含む必要はないとされています。次に実際に実験に携わったかどうかです。ただし実験者がそのまま共著者になる場合の基準であり、専門の実験のみ行った場合は著者と認めない分野もあります。3つ目の基準は、その人物がいなければ実験の結果などが変わっていた可能性があるかどうかです。可能性があるということはその人物の貢献度が高いと認められます。4つ目は、特定の研究やプロジェクトのためにソフトウェアなどを開発したかどうかです。一般的なソフトであれば共著者に含むことはありませんが、特別かつ専門的なソフトウェア開発者の場合は含まれます。最後に論文の文章の校閲を知識面において行ったかどうかで、その貢献度が高い人物は含まれます。一方で共著者に含まれない人物は主に、実験の被験者や校閲での貢献度が低い人物、研究費を獲得した人物、そして実験に関わったが論文内では結局使用されなかった人物などが挙げられます。つまり研究に関わっていても論文執筆において重要な役割でなかったり、その役割の部分が使用されなかった場合には共著者として認められることはありません。

著者の記載順番について

著者の記載順番は研究者にとって大変重要です。第一著者(first author)は読者の目に一番とまり、論文執筆において最も重要な役割を持った人物であるという印象を強く与えます。また、他の論文で引用される際、場合によっては第一著者の名前のみ記載され残りの共同著者は「et al.」と省略されてしまいます。そのため第一著者は研究者が憧れる地位であるとも言えるでしょう。また、最終著者(last author)も存在します。これは一般的に指導教授や研究責任者のことであり、責任著者(corresponding author)を指す場合もあります。第一と最終著者には明確な基準がある一方、残りの共同著者の記載順番については決まった規定がなく、いくつかの決め方が存在しています。 まず代表的な決め方の一つは、「研究への貢献度」によるもので、こちらが一番多く採用されている決め方です。もちろん研究および執筆に一番貢献した研究者が第一著者となり、続いて貢献した度合いの高い研究者から名前を記載します。しかし分野によっては最終著者が最高責任者になる場合もあります。そして人数も一人に限定することなく、複数人の第一著者および最終著者をおくことも可能です。次に採用されている決め方はアルファベット順で、たいてい大規模な研究が行われる場合に使用されます。いずれの場合も著者が議論を重ね決定する必要があります。

不適切に行われている著者の決め方について

実際に研究に関わっていないのに著者として名前が載る例が「guest author」と言われています。Guest authorは他者の研究実績やアイデアを盗んで自分のものとして発表しているものとして、倫理に反し、剽窃(plagiarism)と認識されます。Guest authorだと認識されればその論文がジャーナルに受理されることは皆無となるばかりでなく、それに携わったすべての研究者の他の論文への信頼もなくなってしまいます。一方で研究に多大なる貢献をもたらし執筆活動も行ったのにも関わらず著者からはずされてしまうことを「ghost author」といいます。Ghost authorは研究者間で対立が生じた際に、他の研究者を著者から外すという行為から生まれる場合もあると言われています。Guest author同様にGhost authorも出版における倫理に反します。

著者の役割の報告と謝辞について

著者を決定し記載する際に、個々の著者が研究および執筆過程で担当した役割を明記する必要はありませんが、ジャーナルの中にはオーサーシップの問題を防ぐために役割の記述を義務付けているものもあります。英文校正時にでもどの著者がどの役割を担ったのかを明確に記載されているかどうか確認する必要があります。また、先述したように、著者として記載されるほどの役割を担っていなくとも、研究に携わった人の名前を謝辞に記載することが推奨されています。謝辞に記載されるべき人物は、研究への協力者、技術や執筆過程の補佐役や研究の実施のための環境提供者などが挙げられています。

研究に携わった人物が論文発表時に自分が著者から除外されているとわかれば、その研究者は二度と共同研究に参加してくれなくなるかもしれず、最悪の場合にはジャーナルや委員会にその旨を暴露されてしまう可能性もあります。つまり不適切な著者の選択は、研究者間の信頼感がなくなるだけでなく、研究の取り消しや倫理問題へとは発展してしまい、研究者にとっては不利益しか生じません。著者間での紛争を回避するには、研究に携わった人物全員が一同に介し、著者として記載される人と謝辞にて記載される人について議論をし、全員が納得のいく形で著者の決定を行うことが理想的です。