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レターの書き方について

レターの書き方について

研究論文や症例報告などの学術論文の執筆と並んで、レターの執筆も研究者にとっては良い機会です。雑誌に出版された最新の論文に常にアンテナを張り、批判的思考(critical thinking)を持って読み、著者に論理的にコメントをすることは、
批判的に相手の考えを理解し、それについて自ら考えたことを文章化することであり、この姿勢を保持することは研究者にとって大切です。今回の記事ではレターの役割と種類、執筆上の注意点などを中心に詳述します。

レターの役割

レターとは簡潔に言うと、その名前の通り、論文の著者に宛てた手紙です。雑誌によっては、Letter、Letter to the editor、Correspondenceなどとも言われています。雑誌に投稿された論文を読み疑問に思ったことや間違っている点などを建設的に書きジャーナルに送ります。投稿したレター全てが掲載されるわけではありませんが、読者からのレターで議論が活発になること、そして他の読者の興味を引き付けることからジャーナルはレターの投稿を推奨しています。レターにはいくつか種類があり、掲載された論文に対してコメントや意見を述べるレター、自らの研究を短く述べるレター、掲載された論文に対し、自分の研究の記述をもって批判する両者混合タイプのレターがあります。

過去の論文に対するレターについて

一般的にレターと言えば、雑誌に掲載された論文に対しコメントや意見、批判を述べるものを思い浮かべると思います。発表された論文に対するレターにはいくつかのタイプがあります。それらには記事に述べられた内容に対して新たなアイデアを提供するものや、反対意見を述べるもの、疑問に思ったことを問いかけるもの、単純に間違いや著者のバイアスを指摘したものなどがあります。著名な研究者であれば執筆された論文の素晴らしさを称えるレターもありますが、このタイプは若手や無名の研究者が書いても雑誌に掲載されることはないので避けるのがベターです。 論文の著者にレターを書く際は、ジャーナルの規定に従いましょう。基本的には論文が発表されてから数週間以内に投稿します。また文字制限が設けられてあり、350ワードなど雑誌により異なりますが基本的に短いです。論点1つに絞り、文字数を節約するために慎重に語いも選択しましょう。英文校正で無駄な英語表現などがないかネイティブチェックを必ず通し、迅速にレター投稿をすることをおすすめします。 次にレターの執筆上の注意点です。レターの執筆ではアカデミック上の定義でいう批判をしなければいけません。日本語で批判というとネガティブなイメージがありますが、批判とは攻撃をすることではありません。レター欄に投稿する場合であっても、ヘルシンキ宣言の遵守や利益相反の表明など、論文投稿同様の規定に従って書く必要があります。あくまで執筆された内容に関して論理的かつ建設的、そして批判的に(critically)意見をまとめましょう。決して内容のあら捜しや著者自身の人格否定などを行ってはいけません。

批判レターに対する返答レターについて

批判レターを書くと著者から返答レターが返ってくる場合があります。これは自分のポストに届くのではなく、返答レターとして次の雑誌に出版される形です。著者はすべての批判レターに返答をする必要はなく、無視することもできます。著者は批判レターに目を通し返答することを決めると、読者からの指摘に一つ一つコメントを書きそれを編集長に送り雑誌に載ります。批判レターも返答レターもすべての読者が目にするものです。自身が執筆した論文に読者からレターが届いた場合は可能な限り返答レターを送り、読者の疑問やコメントについて説明する責任感を持つと良いでしょう。

ミニマム研究、症例報告としてのレターについて

時として研究論文や症例報告として投稿した論文が、レターにとして格下げされ雑誌に掲載されることがあります。研究論文の場合だと、査読者などがリジェクトと判断しても、雑誌の編集長が完全リジェクトするには惜しく「レター」として小さく掲載する意義があると判断した場合などに起こりうる掲載方法です。残念ながら綿密に記述した方法や分析した結果などの詳細が大きく省かれてしまいます。また雑誌によっては「Research letter」という項目を設定し、語数の少ない研究を取り扱いつつ、長文の研究論文同様に査読者がピアレビューし掲載の可否を決めています。 一方症例報告の場合は状況が少し異なるようです。過去の記事でも述べたように、症例報告は雑誌のインパクトファクターを下げてしまうため多くのジャーナルが症例報告を掲載する枠を大きく設けず、症例報告の掲載は難しくなっている傾向があります。しかし、症例報告も重要な学術論文の一つであり、医学界への大きな貢献です。Full-length、つまり正式なフォーマットで書かれた症例報告は長いので、Full-lengthの症例報告を取り扱わず、レター形式での症例報告を受け付けるジャーナルも多いです。基本的には150-300ワードぐらいの長さに制限がされますが、レター形式で症例報告を投稿することは若手の研究員には取り組みやすいかもしれません。