医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

論文を投稿する際のルールについて

論文を投稿する際のルールについて

学術雑誌に論文が掲載されると、その実績が研究論文のデータベースに残り履歴書にも記載できることから、研究論文の執筆は研究者のキャリアアップにとって欠かせないことです。しかしいざ論文投稿に向けて研究計画書を書き、研究を行い、論文を投稿するとなると、目の前に立ちはだかる投稿規定の多さに愕然となるでしょう。 今回の記事では、論文の投稿上のルールについてお話していきます。

 

投稿上のルールとは(禁止されていること等)

投稿上のルールには大きく分けて不正投稿と二重投稿があります。どちらも禁止されている事項ではありますが、論文著者はそれぞれの違いを認識しておく必要があります。

まず不正投稿ですが、正当性がなく倫理的問題がある投稿のことで著者のモラルが問われる問題です。よく取り上げられる不正投稿の項目を挙げてみましょう。まず一つ目は偽りのデータを使用すること、もしくは偽りと知りながらそのデータを使用して論文を投稿することです。二つ目は他人のデータを自身のオリジナルのデータとして取り扱うことです。その他にも研究に関わっていない者を著者として取り扱ったり、著作権に関する情報を偽ったりする行為などがあげられます。

次に二重投稿、もしくは多重投稿と呼ばれるものです。二重投稿とは既に他の雑誌に掲載された論文や、他の雑誌にも同時に同じ論文を投稿することです。ほとんどの学術雑誌の投稿規定では、特別な場合を除き二重投稿は認めておらず、他の雑誌に投稿されていないことを条件としています。ただし他の雑誌にリジェクトされた論文や、学会で発表する際に抄録だけを投稿した研究に関しては投稿することが認められています。二重投稿が原則禁止されている理由としては、二重に投稿された論文であると気づかずに多数の雑誌が同じ論文を掲載してしまう可能性があること、また論文を掲載する際の掲載権において雑誌間で争いが起こることが考えられるからです。

余剰出版について

余剰出版または重複出版とは、すでに雑誌などで掲載され出版された論文と基本的には同じ論文を出版することです。オリジナルと2つ目の論文ではタイトルが違ったり抄録が違ったりなど多少の違いは存在しても、研究内容や結果、考察などがほとんど変わらない、本質が同じ論文の出版もこれにあたります。

余剰出版がなぜ問題なのかというと、余剰出版は出版倫理違反につながるからです。まず第一に、学術雑誌に掲載された論文の著作権は著者ではなく雑誌にうつってしまいます。論文の著者には著作権がないので、他の雑誌で掲載する権利もなくなり、もし他の場所で投稿・出版しようとした場合には著作権侵害にあたってしまいます。

第二に、もし余剰出版されてしまうと、一つの研究内容が多方面で見られることになります。他の研究者は先行研究などの結果をもとに更なる研究を行ったり、治療方針を選択したりするので、他者の決定に大きく影響します。また同じ研究データがシステムなどで二重に計算される可能性があることから事実の歪曲が起こります。特に実証研究は国の政策にまで影響を与えるもので、データに誤りがあることは重大な問題になります。

そのほかにも、余剰出版によって起こる編集と査読の無駄、資源の無駄、競争率の激しい論文掲載の場のスペースを不正にとることと、それにより他の研究者から論文掲載の機会を不用意に奪ってしまうことなどがあげられます。

容認される二次出版

余剰出版は原則認められていませんが、容認される二次出版のケースもいくつかあります。まず一つ目はオリジナルの論文を英語などの他の言語に翻訳して投稿するケースです。英訳する際は英文校正でオリジナルの論文と事実が違って書かれていないかなどを必ず確認しなければいけません。研究結果や考察などが他言語では異なっているという事態は避けましょう。二つ目は、アブストラクトやプレゼンテーション、ポスターなどの形で発表した研究内容をのちに論文の形で完成させるケースです。学会発表後に論文を完成させ発表するパターンが多いでしょう。次に、幅広い読者に読んでもらう必要があるケースです。たとえば政府や専門組織がガイドラインを制作する際に特定の論文を掲載する必要があります。この場合は多くの人々に利益を届けることから二次出版が認められます。ただし二次出版が認められている例外はありますが、著作者からの許可を得ることや、ジャーナル間での許可や承認を得る手続きは必ずふまなければいけません。

サラミ出版について

最後にサラミ出版に関しての説明です。一つの研究として一つの論文でまとめられるような研究内容をあえて複数の研究にこま切れにして論文を出版することをサラミ出版と呼びます。これは論文掲載の実績を得るために行う行為とみなされ、倫理違反にあたります。研究背景、実験の参加者などが同じであるっ倍は、たとえ結果が複数得られても一つの研究論文としてまとめて投稿する必要があります。