医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

編集者の決定への対応について

編集者の決定への対応について

9f9d2225992945fe1560f982a6713c1b_s

晴れて論文投稿を終えたあとには編集者のチェックを経た後に査読(review)に回ります。最初の投稿で受理(accept)されることは滅多になく、たいていは何らかの変更、修正を査読者や編集者から求められます。今回は、査読結果が返ってきた場合の対応について見ていきましょう。

査読結果はどのように通知されるか

論文の査読結果は責任著者(Corresponding author)または共著者全員にメールで知らされます。このとき、次の4つのカテゴリーで返ってくることがほとんどです。

  1. 受理(accept)
  2. 条件付き受理(微細な修正)(minor revision)
  3. 条件付き受理(大幅な修正)(major revision)
  4. 不受理(reject)

このうち2または3のカテゴリーに入ると何回か査読者とのやりとりが始まります。ここでいかに頑張れるかで受理されるかどうかが決まります。

 

査読者に対する対応

この段階で行うべき事は、査読に対する反駁(rebuttal letter)を作成し、修正論文を作成することです。責任著者の元に送られてきた査読文を読むと、自分が丹精込めて書いた論文を否定された気持ちになってつい感情的に対応してしまったり、負の感情が前面に出た反駁文になりがちですので、一呼吸置いてから取りかかるようにしましょう。

ここで必要なポイントは以下の3つになります。

  1. 丁寧な対応を心がける
  2. すべてのコメントに対応する
  3. 修正した点を本文中の箇所に照らし合わせて明示的に示す

査読者が論点を整理してくれている場合には原則としてそれに沿って順番に答えていくのがよいでしょう。長文で返答している場合には論点を自分で洗い出していきます。

方法、結果、考察のそれぞれのパートのどこに対応するのか、順を追って整理するとよいでしょう。このとき、次のような一文を冒頭につけておくとよいでしょう。

「回答にあたり統合的なアプローチを取るため、査読者のコメントに対する回答をいくつかのカテゴリーに分けました」
I have separated my responses to the reviewers’ comments according to several categories.

言われたとおりに対応するのか、反論を試みるのか、などの作戦を共著者や指導者とともに議論しましょう。

 

査読への返答の主な流れ

カバーレターのように冒頭にEditor-in-chiefの名前、Journal名、日付、Manuscript numberなどを記載し、書き始め、責任著者の名で締めくくります。内容としては査読してくれたことに対する御礼とeditorから指摘された点についての主な修正点を記載します。editorへのメッセージを締めくくったあとに、それぞれの査読者のコメントに対する具体的な返答を順番に記載していきます。

 

査読者の誤解または対応困難な論点に出くわしたらどうするか

査読者は、自分の専門分野に関する幅広い知識を持った人ですので、著者の表現方法に問題があるからこそ誤解が生じたのではないか、と考えるようにしましょう。間違っても査読者に失礼なコメントをしないことです。

まず、査読者の質問内容が本来の趣旨と合致しないことを説明し、それはこう説明すべきでした、と修正を試みることです。次のターンでより正しい理解に基づいたコメントが来ることが期待できるので、それから対応すればよいのです。

査読者が挙げた論点に対して、対応することが困難であればその理由を説明します。追加の実験、あるいは解析を求めているがそれが難しい場合、あるいは必要であるとは思えない、などの客観的で正当と思われる理由を述べるようにしましょう。

指摘されたことに対しては感謝の意を表明するとともに、可能であれば研究のlimitationとして、あるいは将来的な展望の中で述べるなど、できるだけコメントを反映させるようにすると査読者のコメントが無駄になりません。

 

最後に ~査読者も人間である~

論文は著者と査読者による共同作業です。著者はPubmedに名前が載り、業績としてカウントされるなど、評価の対象になりますが、一方で査読はボランティアであり、賃金が発生しません。

研究論文を世に出すという意味では同じくらい重要な役割を担う査読というプロセスが、研究者の善意によって成り立っているといっても過言ではありません。

自らの業務や研究で忙しい中、自分の持つ時間を削ってまで査読をしてくれているのです。そういった労力に対するリスペクトは非常に重要です。

なぜなら、査読者も人だからです。

人だからこそ感情も起こります。

著者から無礼きわまりない対応を受ければあら探しに専念するようになるかもしれません。自分の指摘をないがしろにされれば気持ちの良いものではありません。感謝とリスペクトを忘れずに、指摘された点はもれなく誠実に対応する、というのは論文を書く科学者としての当然のマナーであり、プロフェッショナルとしてのあり方でしょう。そういった観点で査読に対応していくことが大事です。