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論文の種類について

論文の種類について

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論文には様々な種類があります。一般的に論文投稿といえば原著論文がすぐに思い浮かびますが、それ以外にも様々な論文のスタイルがあります。それぞれについて簡単に説明していきたいと思います。

タイプ別の論文について

巻頭辞(Editorial)は、現在話題になっている、あるいは今後大きく議論されるであろうトピックや研究に言及した短い巻頭の論文です。主に特定の専門分野に精通する人が執筆しますが、学術雑誌の編集者や専門家の寄稿などによります。巻頭辞(editorial)は、包括的な立場で問題に言及しており、その大きな問題意識の中で掲載された論文の内容や方法などについて言及します。

原著(Original article)は、一般的にはintroduction, methods, results, discussion (IMRD)の形式に則ってまとめられたもので、主に臨床研究と基礎研究に分かれます。最も一般的な論文形式であり、所謂論文といった場合にはこの形式を指すことが多いです。症例報告やケースシリーズと異なり、複数の患者データを一般化し、真理を導くことを目指した論文となります。

症例報告(Case report)は、単一あるいは複数の患者の病気の診断や治療経過を詳細に報告したものになります。原著論文が一般的な事実を導き出すことを目指した論文であるのに対し、症例報告は、それぞれの症例の特徴を詳細に記述し、一般的な事実になる前の仮説を提唱したり、特別な事例の発表を通じて一般化しきれない個別事象に光を当てることを目的としています。

レター(Letter to the editor)は、出版されたばかりの論文に対し、内容や方法に反論をしたり、あるいは似たような事例を引き合いに出して編集部に対して提出する手紙のような論文です。このレターに関しては、出版されたばかりの論文の内容を支持するような他の事例を引き合いに出したりすることも含まれています。

総説(Review)は、編集部からの依頼や著者からの持ち込みにより執筆がなされる形式の論文で、新しいデータについて扱うのではなく、一つのテーマについて過去に発表された情報をまとめた論文。執筆する人のストーリーに合わせて構成されるNarrative reviewと、一定の規則に則って文献検索をしてそれについてまとめたsystematic reviewとがあります。

パースペクティブ(Perspective)は、分野の基本的概念や周知の知見に対する学術的レビューを行う論文です。基本的には、分野に関する一般論への個人的見解を述べたエッセイのようなものです。対象とする概念は、単独のものでも関連する複数のものでも構いません。

意見(Opinion)は、特定の先行研究による解釈や分析、メソッドに対して意見を述べます。先行研究の理論や仮説の強み、また欠点などを指摘します。このタイプの論文では、エビデンスに基づいた建設的な批評を行うのが一般的です。このような論文の存在によって、科学関連の問題に対する議論が活発になります。

コメンタリー(Commentary)は、既存の論文、書籍、レポートに注目を集めたり批評を加えたりするための小論文です。対象とする論文・書籍・レポートの興味深い点や、読むことでどのようなメリットがあるかを説明します。

書評(Book Reviews)は、そのジャーナルの読者層が興味を持ちそうな文献の書評のことです。一つの本や文献について扱うこともあれば、あるいは一つのテーマについていくつかの本をまとめて、それについて評論することもできます。雑誌編集部からの求めの場合にはあらかじめ指定された論文に基づいてかく場合もあります。

学会論文・抄録(Conference paper・Abstract)は一般的には学会発表のための抄録を指しますが、中には非常に採択率の低い場合があり、その場合には論文に匹敵するほどの評価を得る場合もあります。

訂正・撤回(Erratum・Retraction)は、論文の内容に誤りがあったとき発表するものです。訂正(erratum)は、正誤表のようなもので、論文の結果に影響を及ぼさない、些細ではあるものの重要なミスや見落としを、単純に訂正する場合に用いられます。正誤表は、誤りを正直に申告するものですが、すべての誤りが対象となるわけではありません。重要性が高いとはみなされないものもあるからです。例えば、重要度の低い単語の綴りのミスや、参考文献リストの誤りなどには、正誤表は適用されません。撤回(retraction)は、不正行為あるいは悪意はなくとも重大な誤りの結果として、研究の信頼性が疑われることになった場合に行われます。その結果として論文は撤回され、論文の内容は無効とされます。他の出版物からの引用許諾を得ていない論文や、非倫理的な研究とみなされた場合についても、撤回という形で処理されます。なお、論文を撤回する場合にはその理由も述べられます。

最後に

原著論文や症例報告などは多くの方が経験済みか、あるいはこれから投稿するところである可能性が高いと思います。しかし、review, perspective, opinion, commentaryなどの論文を書くには、分野への深い理解が必要です。自分に十分な知識が備わっていると判断できたなら、ぜひ執筆に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

その際には英文校正が重要なステップになると思います。