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西洋科学的な発想を持つことのススメ

西洋科学的な発想を持つことのススメ

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日本人とアメリカ人やヨーロッパ人との間の会話で、コミュニケーション上の大きな違いとして、結論を先に述べるか、長々と背景を説明した上で結論に到達するか、という違いがあります。

こうしたコミュニケーションの違いはアカデミックな世界にも反映され、国際共同研究で欧米の研究者とのやりとりをする際に問題になることがあります。またそれはコミュニケーションだけではなくプレゼンテーションや論文作成についても結論から述べていくスタイルが要求されます。

こうした文章の構成や順番が決まる背景には日本的発想と西洋的発想というのがありそうです。今回の記事ではこれらの違いについて述べていきたいと思います。

 

 

1.西洋的発想の科学→仮説の科学

「西洋的発想」とは書いていますが、現在のアカデミアの主流となっている思考様式と言えます。彼らには最初にストーリーがあります。そのストーリーというのはこれまでにその領域の科学が歩んできた道のりから必然的に導かれるものから、突飛なものまで様々なのですが、最初に到達点である仮説を呈示します。

この呈示された仮説は現在はまだ証明されていないものであり、実験や研究を実施することによって正しさが証明され、事実となる、という哲学に基づいています。

しかしこうした仮説に到達する方法は様々です。これまで築きあげられてきた科学的な事実に基づいて演繹的に到達するものや、断片的な実験結果や研究成果を元に帰納的に導き出されるものがあります。この仮説にたどり着くために鍵となるのは「適切な疑問を持つ」ことです。

すなわちそれは、現状が既存の理論体系で説明されないものに光を当てることで始まります。

オーストリア出身のイギリスの哲学者カール・ポパーは、科学の必要条件として「反証可能性」を挙げました。つまり、既存の科学理論というのは、「反証可能性を持つ仮説の集合体」である、という考えです。これが近現代の科学の飛躍的な発展を支えたと考えられています。

このように、現状が今の科学理論で説明されないことを認識し、それを適切な形で呈示、新たな理論の提唱、という形を取った上で研究を実施した、という体裁にすることが求められているのです。

現行の理論体系に挑戦するような科学的な発見をしていくことが真に科学の世界に貢献したと評価される世界なのです。

 

2.日本的発想の科学→テクノロジーの科学

上記の西洋的発想とは異なり、日本は目先の技術や小さな発見から徐々に積み上げていく、いわばボトムアップ方式といえるかもしれません。実際、そのようにして日々小さな発見をしていくことで大発見や大きな成果につながっていくのですが、西洋的な帰納法に近いのかもしれません。しかし彼らはあくまで「仮説」を立ててそれが当てはまるかを確認する作業を行っています。

昔から日本人は手先が器用といわれ、芸術作品への評価は世界的にも高かったと言えるでしょう。また、戦時下では下士官や兵卒が秀でていたこともよく知られています。その一方でリーダー層の評価がそれほど高くないといったことも無関係ではないかもしれません。

 

3.欧米の雑誌に投稿する場合

現在アカデミアの世界は西洋的発想が主流ですので、西洋式にあわせる必要があります。つまり、欧米系の雑誌へ投稿する際には彼らの発想に合わせて仮説を立ててそれを演繹するという流れがどうしても必要です。

しかしこれは決して我々日本人にできない話ではありません。ボトムアップ方式で帰納的に仮説を生成するところまで計画を練るという発想は、実は効率的に研究を実施する上で非常に役に立ちます。

また、論文を作成する上でも仮説を中心に書いていくことで思考が整理され、結論を先に述べるスタイルで文章を書いていくために文章を理解しやすいものにすることができます。

そして忘れてはいけないのは英文校正です。どうしても日本人である我々は結論に到達するまでに冗長な説明や文章構造になりがちです。こうした「クセ」を見破って自然な文章を書く上で、英文校正は大変協力な手助けとなります。

現行の理論体系に挑戦するような仮説を提唱し、その正しさを示して、皆さんの科学界における貢献を論文出版という形にしていきましょう。