医学論文の英語校正ならジーニアスプラス

「よい科学」をしましょう

「よい科学」をしましょう

言うまでもないことですが、医学領域における科学的によい科学とは、2152436_s臨床的に意味のある研究のことです。

それは研究計画の立案をするところから始まりますが、多くの場合は臨床をやっていく中でふと頭の中に浮かんでくるような疑問を解消するようなテーマであったり、自身の経験から導かれたある種の法則のようなものを証明するためのテーマであったりします。

近年「ビッグデータ解析」がもてはやされていますが、これはデータ駆動型研究といい、主に特定の仮説を設定せずに、大量のデータをある一定の方向性で分析することによって新しい仮説のタネを見つけることが目的です。

これに対して仮説駆動型研究というのは、仮説を検証することが目的です。一定の真理にたどり着くための道筋が異なるだけで、単純に善し悪しを比較することはできません。むしろこの仮説駆動型研究のほうが多くの臨床家にとっては興味深く、共感しやすく、そしてわかりやすい研究であったりします。

そこで、今回はこの仮説駆動型研究を中心に、どのように研究テーマを決めていくかを説明してみましょう。

 

第一段階:臨床的に意味のある研究を見つけ出す

1)研究のタネの見つけ方は、経験にあり

臨床を実際にやっている方であれば、自身の経験を元に探し出すのが最も近道であると言えます。

「この病気の患者さんたちって、いつもこうだよね」

という発見が研究につながるかもしれない、ということです。

経験から導かれた仮説というのは単なる思い込みということも多々あります。しかし、それを自分の経験だけにとどめてしまっては本当に正しいかどうかを知ることができません。そういった観点からも研究につなげることは意味があるのです。

また、仮説がはっきりしていないこともあります。特定の疾患の患者さんを集めてくると共通点がありそうだけど、それが何なのか言葉にできないような状況です。このような状況においても様々な情報を集めてくると共通点が見つかる可能性があります。こういったアプローチの仕方であっても立派な研究の動機となり得ます。

 

2)臨床上の必要度の高い、切迫した疑問

あなたが切実に疑問に思うことは、きっと世界中の他の誰かも同じように疑問に感じている可能性が高いでしょう。そしてそういった疑問は広く現場に還元される可能性が高いと思われます。

わかっていないなら自分で調べればいい!のです。

 

第二段階:研究テーマが解決されていないことを確かめる

折角思いついた仮説ですが、すでに誰かの手によって解決済みであることがあります。それならその解決した人の研究成果を参考にすればよいでしょう。しかし、果たしてその研究が完璧にその疑問の解決や仮設の検証に正しく結論を導けているのか、ということはしっかりと確認する必要があります。

1)文献検索は網羅的に

タイトルや結果の一部だけを見ただけではわからないかもしれません。また、その研究よりももっと素晴らしい研究デザインや解析手法を思いつくかもしれません。そこで、関連する文献集めをします。

一つの論文を書き上げて、参考文献リストを作ると、少なくとも20編、多ければ50編近くの論文を引用していると思います。しかしその文献リストに載らなかったその他の研究もまた、あなたの研究テーマを確認するために読んでおく必要のあったものが含まれていると思われます。

かなり大量の文献を読み込まねば研究を実施することはおぼつきませんので、研究をしようと思い立ったその日から文献集めを始めるとよいでしょう。もっと言えばその疑問を解消しようと思ったところから文献集めは始まっているのかもしれませんね。

文献検索はPubmedを用いることが多いと思われますが、できるだけ広めに用語(MeSH term以外も含めて)を検索することがよいですが、適切に絞り込みができていればそれほど労力をかけずに文献検索を実施できるようになります。

 

2)集めた文献は文献管理ソフトへ

今は文献管理ソフトがかなり充実しており、MendeleyやEndnoteなどが有名ですが、そういったツールを使って文献管理をするとそのまま論文に載せるための参考文献リストを自動的に生成してくれます。

また、ジャーナルのスタイルを選ぶこともできるため、投稿するための労力を最小限に抑えることができます。

 

第三段階:正しく美しい結果を示す

研究成果はテーマでほとんど決まるとはいえ、それを読者にとってわかりやすくまとめるということ、そして読者を不快にさせるようなケアレスミスを根絶することも「よい研究」を形作る重要なパートです。

適切な図表と正しい研究結果をまとめることは言うまでもなく重要です。

しかし、最終的にはいかに細部までこだわりをもって仕上げることができるかにかかっています。

 

「神は細部に宿る」

 

というフレーズはスティーブジョブズが使ったことで有名ですが、まさに最後は細部に神経を行き渡らせることが重要と考えます。

英語論文であればネイティブチェック、英文校正は最低限行う必要があります。

 

まとめ

さて、今回は「よい研究」をするための一つの方向性として、臨床現場からの仮説を元に研究テーマを考る、仮説駆動型研究ついて説明しました。

人によって「よい研究」の定義は異なるでしょうが、より多くの読者の注意を惹きつけ、多くの現場に役立つようなエビデンスを提供できる研究をする、という観点からの話でした。

そして折角よいテーマをみつけたなら論文を投稿する際に細部まで気を配りましょう。