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抄録(要旨)の書き方

抄録(要旨)の書き方

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論文の内容を読者に効果的に伝えるには、まずは論文をうまく組み立てることが不可欠ですが、抄録にはそのエッセンスをいかにわかりやすく、そして魅力的に書けるかが重要です。しかし抄録(要旨)の書き方にも一定の約束があり、それを守って書くことが必要です。今回は抄録の書き方についてまとめました。

 

1. 抄録(要旨)とは

要旨(アブストラクト)とは、研究の背景や方法から結論まで、論文の概要を規定の語数に従って簡単にまとめた文章です。

「ここを読めば論文全体に何が書いてあるのかがわかる文章」のことです。

査読者も読者も、この要旨を見て論文全体を読み進めるかを判断するので、非常に重要なセクションになります。

アブストラクトには、論文の背景や方法、結論が記載されていて、本文を見なくても論文の内容が理解できるように記載する必要があります。

逆に言えばこのセクションが魅力的でない場合には容易に読み飛ばされてしまいますので、注意して記載することが大事です。

 

2.抄録の長さ

要旨の単語数は各学術誌の投稿規定で上限の単語数が決められています。たいていの場合、200~300語に制限されていることが多く、それゆえ簡潔かつ明快である必要があります。

ポイントとしては、重要なキーワードを4-5個程度含めるようにするとウェブ上で検索されやすくなります。

それゆえ、関連する研究を行おうとして参考文献を検索している人たちにとっては、このようなキーワードがしっかりと埋め込まれた論文が検索上位に入りやすくなり、結果的に引用されやすくなります。このように、キーワードをうまく入れ込むことが検索され引用されるためには重要です。

 

3.構造化抄録

ジャーナルによっては、伝統的な形式であるIMRAD形式、すなわちIntroduction, Materials and methods, Results, and Discussionに分けて研究論文を書くことを要求してきます。もちろんジャーナルによってはこの形式を受け付けない場合もあるので投稿規定を確認してください。

ここでは、それぞれのセクションにおいて書くべきポイントに触れたいと思います。

【Introduction】

自身の研究が、先行研究の中でどのように位置づけられるかを述べるセクションです。研究を行うに至る背景・位置づけで行われた研究であるかを分かり易く説明します。既知→未知→目的と流れるように記載するとわかりやすいです。

このセクションは、最終結論に向けての重要な「伏線」になりますので、文全体の構成を意識した内容にする必要があります。最後まで書いた後に、もう一度じっくりと振り返ることをお勧めします。

 

【Methods】

材料と方法のセクションでは、自分が何を使ってどのように研究を行ったかを詳しく述べます。

論文に書いてある方法に従えば、他の研究者もその論文で得られた結果を再現できるよう詳しく方法を記載します。

【Results】

結果のセクションでは、イントロダクションで述べた問題提起に対して解決できたかどうかを述べます。抄録においては重要な結果に絞って記載します。

【Discussion】

提起した問題に対する結果を受け、考察を述べます。ここではしっかり序論で述べた問題提起と関連させること、つまり伏線の回収が重要です。

得られた結果が意味することについて議論し、その研究が与える影響を理解できるように書くことが肝心です。

まず、「研究から学んだこと」を一言でいうと何か、という問いに答える一文で開始することを勧めます。

 
4.抄録に関するCONSORT声明

ランダム化比較試験の際に、報告の質を一定水準に保つために、準拠して記載することが推奨されているCONSORT声明では、抄録の中に以下の要素を含めるように明記しています。

  • 試験デザイン(trial design)
  • 方法(method)
  • 結果(result)
  • 結論(conclusion)

同様に、観察研究におけるSTROBE声明でも同様に構造化抄録のポイントがまとめられていますが、上記とほとんど共通しています。

 
5.2言語による抄録

ジャーナルによって、あるいは学会抄録などでも2言語による抄録作成が求められることがあります。これは一見面倒ですが、Pubmedに掲載されることがあったり、あるいは海外の研究者の目にも触れる可能性があることを考えると、手を抜くわけにはいきません。

このときに字数が少ないからといって手を抜かずに、英文校正でプロの目を通しておくことをお勧めします。