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「結果」の書き方

「結果」の書き方

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今回は論文におけるメインパートである「結果」についてです。結果の書き方のポイント、および各セクションにおける記載のポイントについて説明してみたいと思います。

 

1.「結果」パートの重要ポイント

論文の「結果」の記載のポイントは以下の2点になります。

  1. 事実と解釈を混同しないこと
  2. 全体の流れを意識して理路整然とまとめること

です。

1つ目のポイントである、

「事実と解釈を混同しない」

ですが、これは自然科学の論文の基本といえるでしょう。なぜなら、学術論文においては、事実に基づいた記載が求められるからです。

結果の表現方法は、結果としてでてきた数値をそのまま本文中に書く場合と、異なる群間で比較する場合があります。いずれの場合においても、解釈を与えることなく事実のみを記載するようにします。

ただし、図表で表現した内容を本文中に書き起こす際に図表の丸写しになることは避ける必要があります。

次のポイントですが、単に事実のみを淡々と述べるのではなく、自身が主張したいこと、論じたいことを念頭に置きながら結果を配列していくことを意識します。

これはそのまま考察に生きてきます。

どのような配列にして記載するかを考えた上で、次のような各論的な記載に移ります。

 

2.対象者の選択結果

組み入れ・除外基準に沿って集めた対象者を、どのようなプロセスで解析対象集団にまで絞り込んだかについて、フローチャート等を用いてわかりやすく記載します。

さらにベースラインからフォローアップ期間を経てアウトカムや打ち切り、脱落がどの程度存在していたかについて記載します。

ただし、このセクションについては後ろ向きの観察研究等では方法に記載されることが多いです。前向き観察・介入研究においてはあらかじめ決めた組み入れ・除外基準に沿ってどの程度対象者が集まるかは「やってみなければわからない」ですので、結果に記載することは理にかなっているといえるでしょう。

 

3.対象者の特徴

これはいわゆる「Table 1」というものになりますが、対象者の選択プロセスが妥当であったかを検証したり、比較する群間の背景に偏りがあるのかないのか、といったことを示すために必要です。

対象者の選択が妥当だったかどうかは集めてきたサンプル集団が、自身が想定する理想的な母集団の代表性を保っているかを検証します。当初の予定と異なり、重症あるいは軽症の割合がどうだったか、とか、一般集団に比べて年齢や性別などの基本的な特性において偏りがあるかどうかを検討しましょう。

そして次に曝露因子もしくは介入因子の有無によってサンプルを分けて記述します。そうすることによって介入因子あるいは曝露因子以外の要因に偏りがないかを確認します。これは交絡因子を検討する上でも非常に重要な情報を与えてくれます。

 

4.評価項目に関連する結果の推定

事前に設定した評価項目について、その発生する頻度やリスクを比較することが論文結果のメインになることが多いですが、そのような結果を表現する部分になります。

異なる群同士で比較をする場合には差をとるか比をとるかの2パターンであることが多いのですが、どちらかといえば比をとることが主体でしょう。

オッズ比やハザード比などが典型的な結果の表現方法になりますが、推定した統計量(点推定値)に対しては信頼区間を置くことが強く推奨されます。

 

5.補足的分析

評価項目に対する結果の推定がメインの解析だとすると、

  • 対象者の解析方法を変更する(Intention-to-treat解析からPer-protocol解析に変更するなど)
  • 層別解析を行って効果がより強く表れる集団(あるいは逆に効果が表れにくい集団)を特定する
  • 統計モデルを変更して解析を行う

上記のようなメインの結果の頑健性を確かめる解析方法を、感度分析と呼びます。この感度分析は前向き研究であれば事前に取り決めて実施したりすることもあります。

後ろ向きの研究でも同様に実施することがあり、一貫した結果が出ることによって結果の信頼性が増します。

 

6.有害事象

有害事象に関しては、事前に計画された前向き研究では実臨床で用いられた際よりも過小評価気味に結果が出ることもしばしばですが、何らかの介入を行う場合には必ず記載する必要があります。

 

7.まとめ

結果は事実のみを記載することが大事ですが、自身が論じたい方向性に合わせて結果の並べ方や表現方法が変わりえます。全体としての流れを見失わずに論文を記載していくことが重要です。そうして全体的な内容に齟齬や矛盾がないことをしっかり確認した上で英文校正に提出するようにしましょう。