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論文を書く前の下準備から校正まで~前編~

論文を書く前の下準備から校正まで~前編~

英語で論文を書く際、一定のルールに則り文章を書く必要があります。それを無視して書いた論文はアカデミック(学術的)とは見なされず、場合によっては剽窃(ひょうせつ)とされてしまう場合もあります。そして第一に、読み手が論文の構成と趣旨を問題なく理解できるように書き上げなければいけません。論点がずれているなどして、書き手の意図が伝わらなければ、論文としての機能がありません。こちらの記事では、英文の論文を書く前の下準備、アカデミックイングリッシュ、イントロダクション、およびメソッドの観点から論文を書く際の留意点をご紹介します。

論文を書くための準備

論文を書くにあたり一番大事な工程とも言えるのが下準備です。まず、論文のテーマを決定するところからすべては始まります。テーマを決める際には、「なぜそのテーマで論文を書きたいのか」、「論文を書くことでどのように貢献したいのか」の二点を常に考える必要があります。自分の書く論文に意味や価値を見出せない、ましてや自分自身がテーマに興味が湧かなければ後々苦痛になってきます。「論文の貢献」については特に強く意識を持つ必要があります。論文を書くということは後々研究の発表会や学術誌での執筆に繋がる可能性があるからです。言い換えると論文を書くということは世の中に何かしらの影響を与えるということです。
次に論文には必ず参考文献が必要で、その参考文献を元に自分の主張を記述します。つまり学術的な根拠が論文を書く際には必要です。文献探しには多くの本や資料に目を通さなければいけませんが、時間が有限の中、莫大な量の資料を全て読むのは不可能に近いため、効率的に自分の主張を裏付ける学術的論証を見つけるスキルが必要になります。まず、本から資料を集める場合、最後のページにあるIndexを活用します。Indexには簡単に言うとキーワードが載ってあり、それに該当するページも記載されています。例えば論文のテーマが「eating disorder among teenagers」なら、「eating disorder, anorexia, bulimia, psychological, teenager」などのワードを探すと、該当ページだけ読むことができます。論文には必要のないページは読まないと割り切ることが、効果的な資料集めに繋がります。インターネットで本やウェブサイト、学術雑誌などを読む場合は、「Ctrl + F」で検索モードにし、気になるワードをタイプするだけで、該当箇所を提示してくれます。論文作成には、「書く」ということを意識して「読む」ということが必須です。必要な情報を確実に見つけ、理解し、保存します。参考文献欄では、筆者、出版年、本のタイトルなどの情報を正確に記載しなければ剽窃とされてしまいます。書き始める前であろうとも、書くことを意識しながら文献を読まないと、後々収集した情報も労力も水の泡となってしまいます。
準備段階において最後に用意しておくのが英文の頻出表現リストです。論文の作成や読解に必要な英語をまとめてリストを作る作業は必須です。読み手の助けにもなります。また論文のテーマや分野によって一定の表現というものは決まっています。自分で頻出表現リストを作っておくと、各段階になった時に表現で悩むことが格段に少なくなります。また参考文献を読んでいる時によく見かける表現や語彙もまとめておくとより効率的です。

Fool-proof Englishの表現技術

続いて論文を書く段階での留意点です。英文の論文では冗長なライティングは嫌われます。関係代名詞を必要以上に使った文章などがその例です。同様に曖昧な表現も徹底的に排除されなければいけません。主語が明確でない、広義に解釈できる単語などを頻繁に使ってしまう、などにより読み手が間違って理解する場合があります。関係代名詞でなく分詞構文で書き換えられないか、そもそも複雑な言い方をする必要があるか、アカデミックな単語を使って誤解の生まれない語彙選択をしているか、書いているときはもちろん、論文校正の段階でも第三者の目になって読み直す必要があります。読み手の誤解はほぼ間違いなく書き手の表現力不足です。書き手はすべての考えが頭にあるため、曖昧な表現を使っていても気づかない場合が多いです。論文に携わっていない人に読んでもらうのも、誤解の生まれない論文作成に欠かせません。
それに加えて研究計画段階から論文を書き始めることも重要です。下準備でも挙げたように、文献探しは始まっています。ある程度の情報が集まり考えがまとまったら論文のBodyのパートから書き始めるのが肝心です。研究方法自体は最初の段階で決まっておらずとも、大まかな内容や研究内容は方向性が定まってきたら、先行研究の概要を書き始めることはできます。収集した先行研究の概要やそれに対する批判などのパートは先に書き始めることで論文校正も楽になり、研究の内容や考察、問題提起を書く際には大きな助けにもなります。言い換えれば先行研究を書かずして自分の研究内容を書くというのは困難です。

Introductionの書き方

論文に欠かせないのはIntroduction、序章です。基本は4パラグラフ構成を基本とし、研究の背景、動機、目的、そして論文の構成について明記します。研究の内容と、なぜその研究を選んだのかの動機と目的、現在の問題点があればそれも書き、論文がどのような流れで進むのかも書きます。それにより、読み手は何が書かれているのか簡潔に知ることができるので、読みやすく混乱することも避けられます。
各パラグラフに意識的にキーセンテンスを入れ、論文の主旨を確実に伝えます。そして特にIntroductionでは冗長な説明は避けます。先行文献解説も入れる必要はなく、ただ「先行文献」も論文で説明されるということだけ論文構成の説明箇所に明記すれば十分です。末尾の研究目的に向けて一直線に理論展開することがIntroductionの書く際の大切なポイントです。また、書き終わった後、必ずIntroductionが論文全体の内容と完全に一致しているか論文校正する際に必ず確認します。Introductionと論文の内容がずれていることは絶対避けなければいけません。

Methodsの書き方

研究内容の章は論文の中でも一番重要な箇所と言えます。ここではMethods、研究方法を明らかにして記述しなければいけません。研究方法は論文の形式によって異なりますが、実証論文であると、定量的研究なのか、ケーススタディなのか、もしくは両方使われたのか、正確に述べなければいけません。アンケートを用いた場合はアンケートの質問内容、インタビューであれば会話の内容を全て書きおこす必要も出てきます。科学的な論文の場合では、Methodsの再現性を最重要視しなければいけません。そして、デザイン、介入、曝露、適格基準、セッティングを明記するのも忘れないでください。実験参加者についてのプロフィヒールや暴露/非暴露なのかの記述も必要になる場合があります。Methodsの再現性や適性基準、セッティングなどを正確に述べ適切であることを示さなければ、確証のある論文と認められにくくなります。信頼される論文を書くには、必要な情報を正確にしかし冗長にならずに記述しなければいけません。その他にもアウトカムの定義と測定法を明記し、統計解析方法を完璧に記述します。Methodsを書き終わり論文校正に入る場合は上記の内容がきちんと明記されているか厳しく確認します。第三者に読んでもらうのもお薦めです。

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