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2020 3月 19

論文掲載決定後の手続き

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長かった査読者とのやりとりが終わり、ようやく受理(accept)の通知を受けとると、やがて編集部から連絡が来ます。まさに「もう一仕事」という状況なのですが、有終の美を飾るためにもここはおろそかにすることはできません。今回は、論文の雑誌掲載が決定された後の流れについて見ていきましょう。

受理が決まったあとの大まかな流れ

論文受理の知らせは責任著者(Corresponding author)または共著者全員にメールで知らされます。

少し経ってから編集部から、著者自らが行う校正についての依頼が来ます。

基本的には内容的に修正すべき事はほとんど無い、というのがこの段階の前提です。

そのまえに編集部でどのような作業が行われているのかを説明しますと、

  • 受理(accept)決定、著者へ連絡
  • →編集校正作業のために制作部に論文原稿が送られる
  • →制作部において校正作業、書式を整えるなどの作業
  • →確認のために著者に最終版の校正原稿が送付される

このプロセスの早さは雑誌によってまちまちですが、大体1ヶ月程度のことが多いようです。

アクセプトから出版までに数週から数ヶ月を要することもあるのです。

そして最終的に皆さんの手元に編集部・制作部の手によって加工された論文原稿の最終版が校正依頼とともにやってくるというわけです。

 

著者による校正が許される事項

この段階で行うべき事は、内容に踏み込むことは原則的にないものと理解しておきましょう。

著者リスト、所属、利益相反、などに間違いが無いかを徹底的に確認します。この段階で論文の内容の中にマイナーなミス(綴り、参考文献リストの番号など)を見つけてしまうことがあるかもしれません。

この程度の修正であれば校正での修正で許される範囲と言えるでしょう。

ただし、内容に関すること(表の数値やグラフそのものなど)については校正の段階での修正ではなく、編集部に直接メールで訂正箇所を伝えてみた方がよいでしょう。

なぜなら著者に与えられる時間は48時間程度とかなり限られているからです。

 

校正原稿を提出したあとにミスに気づいたら

まずはこうしたことが絶対に起こらないようにすることが基本です。

しかし見つけてしまった場合にどうなるかは知っておく必要があります。

まず、最悪の場合は論文取り下げです。

致命的な解析ミスにより結果が全く異なるものになった場合などがこれに当たります。

研究者のキャリアに傷が付きかねないのでこれは絶対に避けたいところです。

しかしこれは校正以前の問題であり、解析の体制を二重にするなどミスが生じない工夫を研究室として取り組む事が重要です。

次に大きな作業を要求されるのは、正誤表(erratum)の発行です。

オンライン出版されている場合などは次号で正誤表を出してもらえるようジャーナルに依頼することになります。

校正が終了した直後であればすぐに編集部にメールをしましょう。

そのまま校正の一部として認めてもらえれば上記のような面倒な手間を要することはありません。

 

短い期間で比較的多くの修正を余儀なくされたら

校正段階でも許容範囲と考えられるような修正をしたい場合であっても、その修正が出版までの最終便になることを考えると非常に慎重に取り組む必要があります。

受理されても出版までは気を抜いてはならないのです。

緒言や方法の記載など、論文の結果や結論に大きく影響しない修正であった場合、比較的多くの英文を記述する必要があるならば英文校正を依頼するほうがよいでしょう。

しかしこの校正の段階では大幅な変更は原則的に行ってはならないと考えておいた方がよいでしょう。

 

まとめ

アクセプトされた論文原稿の校正依頼が来た場合は、とにかくこれが最終便であることをしっかりと念頭において対応することが重要です。

そしてその作業に許された期間はそれほど長くありません。

最悪のケースである論文取り下げにだけはならないよう、しっかり最終確認をするとともに誤字脱字、参考文献リストの整合性、著者リストの最終確認を怠らないようにすることが重要です。

これが終われば晴れてあなたの論文は世界に向けて発信されることになります。

最後の最後まで気を抜かないようにきっちりと仕上げましょう。

編集者の決定への対応について

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晴れて論文投稿を終えたあとには編集者のチェックを経た後に査読(review)に回ります。最初の投稿で受理(accept)されることは滅多になく、たいていは何らかの変更、修正を査読者や編集者から求められます。今回は、査読結果が返ってきた場合の対応について見ていきましょう。

査読結果はどのように通知されるか

論文の査読結果は責任著者(Corresponding author)または共著者全員にメールで知らされます。このとき、次の4つのカテゴリーで返ってくることがほとんどです。

  1. 受理(accept)
  2. 条件付き受理(微細な修正)(minor revision)
  3. 条件付き受理(大幅な修正)(major revision)
  4. 不受理(reject)

このうち2または3のカテゴリーに入ると何回か査読者とのやりとりが始まります。ここでいかに頑張れるかで受理されるかどうかが決まります。

 

査読者に対する対応

この段階で行うべき事は、査読に対する反駁(rebuttal letter)を作成し、修正論文を作成することです。責任著者の元に送られてきた査読文を読むと、自分が丹精込めて書いた論文を否定された気持ちになってつい感情的に対応してしまったり、負の感情が前面に出た反駁文になりがちですので、一呼吸置いてから取りかかるようにしましょう。

ここで必要なポイントは以下の3つになります。

  1. 丁寧な対応を心がける
  2. すべてのコメントに対応する
  3. 修正した点を本文中の箇所に照らし合わせて明示的に示す

査読者が論点を整理してくれている場合には原則としてそれに沿って順番に答えていくのがよいでしょう。長文で返答している場合には論点を自分で洗い出していきます。

方法、結果、考察のそれぞれのパートのどこに対応するのか、順を追って整理するとよいでしょう。このとき、次のような一文を冒頭につけておくとよいでしょう。

「回答にあたり統合的なアプローチを取るため、査読者のコメントに対する回答をいくつかのカテゴリーに分けました」
I have separated my responses to the reviewers’ comments according to several categories.

言われたとおりに対応するのか、反論を試みるのか、などの作戦を共著者や指導者とともに議論しましょう。

 

査読への返答の主な流れ

カバーレターのように冒頭にEditor-in-chiefの名前、Journal名、日付、Manuscript numberなどを記載し、書き始め、責任著者の名で締めくくります。内容としては査読してくれたことに対する御礼とeditorから指摘された点についての主な修正点を記載します。editorへのメッセージを締めくくったあとに、それぞれの査読者のコメントに対する具体的な返答を順番に記載していきます。

 

査読者の誤解または対応困難な論点に出くわしたらどうするか

査読者は、自分の専門分野に関する幅広い知識を持った人ですので、著者の表現方法に問題があるからこそ誤解が生じたのではないか、と考えるようにしましょう。間違っても査読者に失礼なコメントをしないことです。

まず、査読者の質問内容が本来の趣旨と合致しないことを説明し、それはこう説明すべきでした、と修正を試みることです。次のターンでより正しい理解に基づいたコメントが来ることが期待できるので、それから対応すればよいのです。

査読者が挙げた論点に対して、対応することが困難であればその理由を説明します。追加の実験、あるいは解析を求めているがそれが難しい場合、あるいは必要であるとは思えない、などの客観的で正当と思われる理由を述べるようにしましょう。

指摘されたことに対しては感謝の意を表明するとともに、可能であれば研究のlimitationとして、あるいは将来的な展望の中で述べるなど、できるだけコメントを反映させるようにすると査読者のコメントが無駄になりません。

 

最後に ~査読者も人間である~

論文は著者と査読者による共同作業です。著者はPubmedに名前が載り、業績としてカウントされるなど、評価の対象になりますが、一方で査読はボランティアであり、賃金が発生しません。

研究論文を世に出すという意味では同じくらい重要な役割を担う査読というプロセスが、研究者の善意によって成り立っているといっても過言ではありません。

自らの業務や研究で忙しい中、自分の持つ時間を削ってまで査読をしてくれているのです。そういった労力に対するリスペクトは非常に重要です。

なぜなら、査読者も人だからです。

人だからこそ感情も起こります。

著者から無礼きわまりない対応を受ければあら探しに専念するようになるかもしれません。自分の指摘をないがしろにされれば気持ちの良いものではありません。感謝とリスペクトを忘れずに、指摘された点はもれなく誠実に対応する、というのは論文を書く科学者としての当然のマナーであり、プロフェッショナルとしてのあり方でしょう。そういった観点で査読に対応していくことが大事です。