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2020 9月 18

西洋科学的な発想を持つことのススメ

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日本人とアメリカ人やヨーロッパ人との間の会話で、コミュニケーション上の大きな違いとして、結論を先に述べるか、長々と背景を説明した上で結論に到達するか、という違いがあります。

こうしたコミュニケーションの違いはアカデミックな世界にも反映され、国際共同研究で欧米の研究者とのやりとりをする際に問題になることがあります。またそれはコミュニケーションだけではなくプレゼンテーションや論文作成についても結論から述べていくスタイルが要求されます。

こうした文章の構成や順番が決まる背景には日本的発想と西洋的発想というのがありそうです。今回の記事ではこれらの違いについて述べていきたいと思います。

 

 

1.西洋的発想の科学→仮説の科学

「西洋的発想」とは書いていますが、現在のアカデミアの主流となっている思考様式と言えます。彼らには最初にストーリーがあります。そのストーリーというのはこれまでにその領域の科学が歩んできた道のりから必然的に導かれるものから、突飛なものまで様々なのですが、最初に到達点である仮説を呈示します。

この呈示された仮説は現在はまだ証明されていないものであり、実験や研究を実施することによって正しさが証明され、事実となる、という哲学に基づいています。

しかしこうした仮説に到達する方法は様々です。これまで築きあげられてきた科学的な事実に基づいて演繹的に到達するものや、断片的な実験結果や研究成果を元に帰納的に導き出されるものがあります。この仮説にたどり着くために鍵となるのは「適切な疑問を持つ」ことです。

すなわちそれは、現状が既存の理論体系で説明されないものに光を当てることで始まります。

オーストリア出身のイギリスの哲学者カール・ポパーは、科学の必要条件として「反証可能性」を挙げました。つまり、既存の科学理論というのは、「反証可能性を持つ仮説の集合体」である、という考えです。これが近現代の科学の飛躍的な発展を支えたと考えられています。

このように、現状が今の科学理論で説明されないことを認識し、それを適切な形で呈示、新たな理論の提唱、という形を取った上で研究を実施した、という体裁にすることが求められているのです。

現行の理論体系に挑戦するような科学的な発見をしていくことが真に科学の世界に貢献したと評価される世界なのです。

 

2.日本的発想の科学→テクノロジーの科学

上記の西洋的発想とは異なり、日本は目先の技術や小さな発見から徐々に積み上げていく、いわばボトムアップ方式といえるかもしれません。実際、そのようにして日々小さな発見をしていくことで大発見や大きな成果につながっていくのですが、西洋的な帰納法に近いのかもしれません。しかし彼らはあくまで「仮説」を立ててそれが当てはまるかを確認する作業を行っています。

昔から日本人は手先が器用といわれ、芸術作品への評価は世界的にも高かったと言えるでしょう。また、戦時下では下士官や兵卒が秀でていたこともよく知られています。その一方でリーダー層の評価がそれほど高くないといったことも無関係ではないかもしれません。

 

3.欧米の雑誌に投稿する場合

現在アカデミアの世界は西洋的発想が主流ですので、西洋式にあわせる必要があります。つまり、欧米系の雑誌へ投稿する際には彼らの発想に合わせて仮説を立ててそれを演繹するという流れがどうしても必要です。

しかしこれは決して我々日本人にできない話ではありません。ボトムアップ方式で帰納的に仮説を生成するところまで計画を練るという発想は、実は効率的に研究を実施する上で非常に役に立ちます。

また、論文を作成する上でも仮説を中心に書いていくことで思考が整理され、結論を先に述べるスタイルで文章を書いていくために文章を理解しやすいものにすることができます。

そして忘れてはいけないのは英文校正です。どうしても日本人である我々は結論に到達するまでに冗長な説明や文章構造になりがちです。こうした「クセ」を見破って自然な文章を書く上で、英文校正は大変協力な手助けとなります。

現行の理論体系に挑戦するような仮説を提唱し、その正しさを示して、皆さんの科学界における貢献を論文出版という形にしていきましょう。

論文の種類について

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論文には様々な種類があります。一般的に論文投稿といえば原著論文がすぐに思い浮かびますが、それ以外にも様々な論文のスタイルがあります。それぞれについて簡単に説明していきたいと思います。

タイプ別の論文について

巻頭辞(Editorial)は、現在話題になっている、あるいは今後大きく議論されるであろうトピックや研究に言及した短い巻頭の論文です。主に特定の専門分野に精通する人が執筆しますが、学術雑誌の編集者や専門家の寄稿などによります。巻頭辞(editorial)は、包括的な立場で問題に言及しており、その大きな問題意識の中で掲載された論文の内容や方法などについて言及します。

原著(Original article)は、一般的にはintroduction, methods, results, discussion (IMRD)の形式に則ってまとめられたもので、主に臨床研究と基礎研究に分かれます。最も一般的な論文形式であり、所謂論文といった場合にはこの形式を指すことが多いです。症例報告やケースシリーズと異なり、複数の患者データを一般化し、真理を導くことを目指した論文となります。

症例報告(Case report)は、単一あるいは複数の患者の病気の診断や治療経過を詳細に報告したものになります。原著論文が一般的な事実を導き出すことを目指した論文であるのに対し、症例報告は、それぞれの症例の特徴を詳細に記述し、一般的な事実になる前の仮説を提唱したり、特別な事例の発表を通じて一般化しきれない個別事象に光を当てることを目的としています。

レター(Letter to the editor)は、出版されたばかりの論文に対し、内容や方法に反論をしたり、あるいは似たような事例を引き合いに出して編集部に対して提出する手紙のような論文です。このレターに関しては、出版されたばかりの論文の内容を支持するような他の事例を引き合いに出したりすることも含まれています。

総説(Review)は、編集部からの依頼や著者からの持ち込みにより執筆がなされる形式の論文で、新しいデータについて扱うのではなく、一つのテーマについて過去に発表された情報をまとめた論文。執筆する人のストーリーに合わせて構成されるNarrative reviewと、一定の規則に則って文献検索をしてそれについてまとめたsystematic reviewとがあります。

パースペクティブ(Perspective)は、分野の基本的概念や周知の知見に対する学術的レビューを行う論文です。基本的には、分野に関する一般論への個人的見解を述べたエッセイのようなものです。対象とする概念は、単独のものでも関連する複数のものでも構いません。

意見(Opinion)は、特定の先行研究による解釈や分析、メソッドに対して意見を述べます。先行研究の理論や仮説の強み、また欠点などを指摘します。このタイプの論文では、エビデンスに基づいた建設的な批評を行うのが一般的です。このような論文の存在によって、科学関連の問題に対する議論が活発になります。

コメンタリー(Commentary)は、既存の論文、書籍、レポートに注目を集めたり批評を加えたりするための小論文です。対象とする論文・書籍・レポートの興味深い点や、読むことでどのようなメリットがあるかを説明します。

書評(Book Reviews)は、そのジャーナルの読者層が興味を持ちそうな文献の書評のことです。一つの本や文献について扱うこともあれば、あるいは一つのテーマについていくつかの本をまとめて、それについて評論することもできます。雑誌編集部からの求めの場合にはあらかじめ指定された論文に基づいてかく場合もあります。

学会論文・抄録(Conference paper・Abstract)は一般的には学会発表のための抄録を指しますが、中には非常に採択率の低い場合があり、その場合には論文に匹敵するほどの評価を得る場合もあります。

訂正・撤回(Erratum・Retraction)は、論文の内容に誤りがあったとき発表するものです。訂正(erratum)は、正誤表のようなもので、論文の結果に影響を及ぼさない、些細ではあるものの重要なミスや見落としを、単純に訂正する場合に用いられます。正誤表は、誤りを正直に申告するものですが、すべての誤りが対象となるわけではありません。重要性が高いとはみなされないものもあるからです。例えば、重要度の低い単語の綴りのミスや、参考文献リストの誤りなどには、正誤表は適用されません。撤回(retraction)は、不正行為あるいは悪意はなくとも重大な誤りの結果として、研究の信頼性が疑われることになった場合に行われます。その結果として論文は撤回され、論文の内容は無効とされます。他の出版物からの引用許諾を得ていない論文や、非倫理的な研究とみなされた場合についても、撤回という形で処理されます。なお、論文を撤回する場合にはその理由も述べられます。

最後に

原著論文や症例報告などは多くの方が経験済みか、あるいはこれから投稿するところである可能性が高いと思います。しかし、review, perspective, opinion, commentaryなどの論文を書くには、分野への深い理解が必要です。自分に十分な知識が備わっていると判断できたなら、ぜひ執筆に挑戦してみるのはいかがでしょうか。

その際には英文校正が重要なステップになると思います。